ヨーロッパ退屈日記 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 2626
感想 : 174
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101167312

作品紹介・あらすじ

1961年、俳優としてヨーロッパに長期滞在した著者は、語学力と幅広い教養を武器に、当地での見聞を洒脱な文体で綴り始めた。上質のユーモアと、見識という名の背骨を通した文章は、戦後日本に初めて登場した本格的な「エッセイ」だった。

感想・レビュー・書評

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  • 私としては、映画俳優というより、奥様の宮本さんとの映画監督のイメージが強い。映画面白かったですよね。こちらは、1960年代初め、単独渡航していた国際俳優時代のエッセイ。
    生き方も考え方も、昭和のカッコ良さ。死語になりつつある自然体のキザでお洒落。多少、悪態気味の文章は、かの、メロン・ド・ヒマワリの様でもある。挿絵もご本人のもので、さすが、元商業デザイナー。
    当時、すでに英語が堪能。小学校を特別化学教育学級で戦時中英語を勉強していたらしく、最後の方に発音のテキスト風もある。出てくるカタカナ語がやたらオシャレ。ジャギュア(当然ジャガー)なんかもうこれに統一しましょうぐらいの響。
    深夜特急の時代より、こちらの方が古いみたいですね。やっぱり時代を感じるエッセイもありますが、俳優、監督、芸術と多彩な才能の方でありました。

    • 1Q84O1さん
      おびのりさん

      おはようございます!
      日本勝っちゃいました!
      スゲーっ!
      新潮文庫からワールドカップ2022の本出ませんかね?w
      おびのりさん

      おはようございます!
      日本勝っちゃいました!
      スゲーっ!
      新潮文庫からワールドカップ2022の本出ませんかね?w
      2022/12/02
    • おびのりさん
      勝っちゃいましたね。

      狭い日本、書籍もコンパクトがよろし。
      あ、それだと電子書籍の方が、上位になっちゃう。

      本は、匂いも大事。
      勝っちゃいましたね。

      狭い日本、書籍もコンパクトがよろし。
      あ、それだと電子書籍の方が、上位になっちゃう。

      本は、匂いも大事。
      2022/12/02
    • 1Q84O1さん
      そして手触りも大事

      アナログ人間なので電子書籍より紙の方がいいです♪
      そして手触りも大事

      アナログ人間なので電子書籍より紙の方がいいです♪
      2022/12/02
  • ヨーロッパを旅した伊丹氏の小話が詰まった作品。
    イギリス、しかも上流階級の贔屓がすごい。
    それ以外ははっきりいってバカにしている。
    時代を感じた。
    ためになりました。

  • 映画をあまり見ないせいか、著者のことは俳優で映画監督もしていた方、というくらいしか知りません。
    読み始めてすぐは、なんだか気障だ…という印象が強く、遠巻きに様子をうかがうような感じで読んでいたのですが、だんだんその気障さがかっこよくなってきました。

    着るものや食べるもの、言葉の使い方やふるまい方。
    著者の中には、よいものとよくないものがはっきり分かれていて、その点に一切妥協はありません。
    著者の哲学や感性の鋭さを感じさせるエッセイにしびれます。

    表紙や本文中の挿絵は著者の手によるものなのだそう。
    独特の味がある線で描かれる、身の周りの品や人の表情の数々に、つい見入っていたのでした。

  • これを読んでニヤッとしたら、あなたは本格派で、しかも少し変な人です。――文庫表紙より

    まずこの、『ヨーロッパ退屈日記』というタイトルがいいではないか。タイトルで思わず借りてしまったではないか。
    内容のほうも、題名に反して(笑)退屈することなく楽しめた。今よりずっと海外に行くのが大変であっただろう時代に、「退屈」というタイトルをつけるだけあって、なかなか挑戦的で、それでいてキザな内容である。
    しかしその「キザさ」には、覚悟と信念があった。いいものはいい。格好悪いものは、格好悪い。どうせやるなら、おいしいものを食べて、高いもので洒落込み、贅沢をして何が悪い。ああ、こんな台詞、一度でいいから言ってみたいものです。

    自分の目で「本物」を見極めることは、自意識を満足させてくれると同時に、自分にも他人にもモノにも妥協しない、行動力と気力が必要なのだろうな。

    著者のことはよく知らないけれど(『お葬式』という映画は聞いたことがあるようなないような・・・その程度)、なんだか気になる人だと思った。生き方が物語になりそうな人、というかんじ。
    溢れ出しそうな教養を持った人、というのに憧れます。

  • 間に浮気しまくって読み終えた。
    開高健が同時代の人だと思うと、当時の若者たちから同じように憧れられる大人でも、その生い立ちや過ごし方が全然違うのが面白い。
    伊丹十三は、映画が大好きで本についてはまだ自分は入り口に立ったばかり。
    読むと大人の嗜みとして色々やっておきたいことがあるものだなぁと思う。でも、ただやるだけぎゃなくて、それを体験し、その体験を生きたものとして自分の中でも育て続けるには、物事ひとつひとつへの向き合う姿勢のようなものが問われるのだなと思った。

  • 映画監督、俳優、デザイナー、エッセイストと多くの肩書を持つ著者による1960年代のヨーロッパ滞在経験をもとにしたユーモアエッセイ。
    語学、車、ファッション、料理、音楽などのさまざまなジャンルにたいしての「こだわり」がメインで、正直、キザで鼻につかなくはないが、不快感はいっさいない。
    本書が書かれた時代を考えると、その粋でオシャレで洗練された感覚には驚きを禁じえない。

  • 映画俳優、デザイナ-、映画監督として多彩ぶりを発揮した伊丹十三氏(1933-1997)の若き日のエッセイ集。いち映画ファンとして注目したのが『北京の55日』で共演したチャック(チャ-ルトン・ヘストン)やデヴィッド・ニーヴン、エヴァ・ガードナ-、ニコラス・レイ監督の回顧場面であり、『ロード・ジム』では主演のピータ-・オトゥ-ルの律儀な役者魂を誉めちぎっているところ。語学堪能で若さほとばしる、軽快にして豪胆なエッセイの数々がギュウギュウ詰めにされている。いまは亡き伊丹さんの非凡な才能を偲びながら読む。

  • 20歳後半にしてこのようなエッセーが書けるのはすごい。1960年代に書いたようなので、日本人がまだ海外というものをよく分かっていなかった中での話なので、当時は大きな衝撃があったと思う。今読んでも非常に的を得た話が多いし、十分にためになる。伊丹十三はやはり天才なんだなぁ。池上正太郎の流儀本のような時代遅れ感がない。

  • 昭和40年(1965年)に発売されたエッセイ集。

    この頃はおそらく海外の情報が少なくて、このような本も
    面白くて価値のあるものだったのかもしれない。

    しかし今読むもまったく面白みがなくて、どうでもいいような内容だった。

    時の流れに風化した、という感じだろうか。

  • 読みやすさ ★★★★★
    面白さ ★★★★★
    ためになった度 ★★★★

    何回めの通読だろうか。私にとってはバイブルともいえる名作の一つ。スパゲティの食べ方、山口瞳に教わったという校正のこと、クラシック音楽と楽器についてなどなど、粋であるとはどういうことか、この本から多くを学んだ。60年以上も前に書かれたが、いまだ色褪せない一冊。

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著者プロフィール

1933年生まれ。映画監督、俳優、エッセイスト、テレビマン、CM作家、商業デザイナーなど、興味のおもむくままに様々な分野の職業に分け入り、多彩な才能を発揮。翻訳も多数手がけた。1997年没。

「2020年 『ちょこっと、つまみ おいしい文藝』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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