格闘する者に○ (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 3859
レビュー : 581
  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101167510

感想・レビュー・書評

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  • タイトルに反して主人公はほとんど格闘していない。家庭事情がちょっと複雑という背景はあるものの、就職活動に無気力な理由にはなりえないし、まったく就活をしないのかと言えばそうでもない。行き当たりばったり&無計画、ちょっと世間を甘く見ているとも言える主人公だが、一方で元気で明るく、どうも憎めない雰囲気があり、嫌いではない。快活な彼女は時に、心の中でとっても面白いボヤキをする。また老人の西園寺さんと付き合っているという設定もなかなか面白い。やる気のない大学生を中心にした学生→社会人の過渡期を描いた青春小説であるが、単純にハッピーエンドで終わる小説と異なり、現実的な終わり方をしているあたりは評価できる。三浦しをんさん特有の世界観が出ているあたりはよかった。

  • 三浦しをんさんのデビュー作。
    何やら変わったタイトルだなーと思っていましたが、なるほど、そういうことですか(笑)
    いわば原点とも言えるデビュー作ですが、これを24歳で書いたとは。
    主人公である女子大生可南子の語り口は、ユーモラスでちょっと毒があり、愛らしく、じじむさい。
    絶妙ですね。
    テンポ良くお話が進んで行くので、一気に読了。

  • ほぼ何もしていないくせに就活うわー!という気持ちになり、買ってしまった。読みやすい。笑える。タイトルは素晴らしいセンス。家族の問題がぼんやりしていたり、忍くんとか、パッと出てきて全体が散らばった感はあったけども。さらっと書くので気にならないです。面白いです。
    ゆるかった…。半分ファンタジーだとは分かっているが、可南子たちがなんだか羨ましかった。落ち込んでも、マイペースに、自分を持ってて。好きなものに真っ直ぐ向かう。

  • ・漫画以外何も考えていなかった可南子が、就活、家の跡継ぎ、弟の家出、西園寺さんとの別れを経て成長していく物語
    ・就活物語だと評するものもあるが、ここで就活は単に自己(可南子)を相対化していく道具として使われているように思う。というのも、面接の場面などはやはり彼女がどんな価値観なのかわかりやすいから。
    ・だから、この本が描きたかったのは就活ではなくて、就活という避けがたい社会の仕組み、家の事情という自分自身が一生背負っていくもの、恋人という自分自身の選択、家族という切り離せないもの、大学の友人というゆるいが大切なつながり、そういうものを抱えて、それぞれとどう格闘していくかなのではないか。

  •  直木賞作家、三浦しをんのデビュー作。
     漫画大好きな女子大生が、漫画雑誌編集者を目指して就職活動に奮闘する姿を妄想爆走で描いている。「K談社」「集A社」「S学館」など、出版社名を隠しているのか隠していないのかよくわからない記述がまた面白い。
     一癖も二癖もある登場人物が脇を固めていることもあり、全体的にぶっ飛んだ感がぬぐえない。そこをどう捉えるかで好みが分かれそうな作品と思う。
     話はテンポよく進んでいくので、270ページほどあるが一気に読めてしまう。

  • 就活の話だと聞いて、興味を持って読み始めた。
    主人公の女子大生可南子とその友人二名(二木君と砂子)らが就職活動をしていくのだが、途中から可南子の家庭の事情なども出てきた。

    主人公の性格がお気楽な感じで、文体も読みやすかった。24歳でこのデビュー作を書き上げた三浦さんの力量は流石だと思った。
    主人公の恋愛事情や、二木君、砂子、弟など他の登場人物のエピソードが掘り下げてあっても面白いだろうなと思った。

  • 就活中に読んでたら、イライラしたんじゃないかと思うような話

  • ★3.5
    三浦しをんのデビュー作。こよなく漫画を愛する女子大生の可南子、呑気でマイペースな友人、複雑で訳ありな家族、祖父ほどに歳の離れた恋人と、その設定は現実離れで妄想全開。が、これでこそ三浦しをん!と思える妙な説得力と、漫画や本に対する愛情をひしひしと感じる。と同時に、就職氷河期の倦怠と挫折、あからさまな男女差別といった当時の深刻な問題が、著者の若さも相俟ってコミカルかつ真っ直ぐに綴られる。中でも、非常識な輩どもに対する可南子の妄想に何度溜飲を下げたことか。そして、まさかのタイトルの由来に思わず吹いた。

  • 就職活動の採用面接は体験談!?と思わせる感じで面白かった。ラストがもう一盛り上がりあるとよかったと思う。

  • 主人公の可南子の家周りの事情は現実的ではないし正直完全なファンタジーといった印象ですが、それが可南子の就活での苦闘をいい具合にユーモラスに中和したお話です。
    全員同じ格好で同じような美辞麗句を盛り込んだESを提出して、こんなんやる意味あるのか?と思われる試験だのどうでもいい面接の質問だのを繰り返す昨今の就活というのは端から見ると本当に滑稽だと思いますが、それでも当の学生たちには重大な問題で、毎年内定をまだ得られないと悲壮な顔をする学生たちが溢れかえります。このお話は少々皮肉がかった文体で軽快に描かれているので、まさにこれから「格闘する」学生たちの箸休めに読んでほしい作品です。

著者プロフィール

三浦 しをん(みうら しをん)。
1976年、東京生まれの小説家。出版社の就職活動中、早川書房入社試験の作文を読んだ担当面接者の編集者・村上達朗が執筆の才を見出し、それが執筆活動のきっかけになった。小説家の専業になるまで、外資系出版社の事務、町田駅前の古書店高原書店でアルバイトを経験。
2006年『まほろ駅前多田便利軒』で直木賞受賞。2012年『舟を編む』が本屋大賞に選ばれ、翌年映画化された。2015年『あの家に暮らす四人の女』が織田作之助賞受賞。また、『風が強く吹いている』が第一回ブクログ大賞の文庫部門大賞を、2018年『ののはな通信』が第8回新井賞を受賞している。
Cobalt短編小説賞、太宰治賞、手塚治虫文化賞、R-18文学賞の選考委員を務める。最新刊に、『愛なき世界』。

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