しをんのしおり (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101167527

作品紹介・あらすじ

「漫画の王国」に生れた小説家の乙女な日常生活。バンドを追っかけ上方へ、愉快な仲間と朝まで語り、わきあがる妄想の楽園に遊ぶ…色恋だけじゃ、ものたりない!なぜだかおかしな日常はドラマチックに展開-日本の政局も、家族の事件も、人気のTVドラマも、考え始めたらいつのまにかヒートアップ!「読んで楽しく希望が持てる」、笑い出したら止まらない、抱腹微苦笑ミラクルエッセイ。

感想・レビュー・書評

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  • 「極め道」「妄想炸裂」と読んだので、「しをんのしおり」。
    これで2002年の春までの三浦しをんさんの人間関係と素行調査終了。

    自分の名前をタイトルに入れるのはチョット…ということもあり、本来なら「人生劇場」をこの本のタイトルにしたかったようです。
    そんなこだわりもあってか、本書に続くエッセイ第4弾は「人生劇場」改め「人生激場」です。
    立て続けに読み過ぎたので、少し間を開けてから読もうと思います。

    平凡な日常の一コマから、無制限にネタが湧いてくる三浦しをんさんの脳みそは凄いなーと思います。
    少なくとも常に私の10倍ぐらいは脳細胞が活動している。
    「高倉健の一日」というテーマで軽く本が一冊書けちゃうというのも良く分かりました。
    エッセイなので4ページ程でストップしていますが、
    例えば、歯磨きのシーンを書いてと頼めば、すぐに10ページくらい書けちゃいそうです。

    本書でも、妄想が湧き出てくるスピード感を感じながら、しをんワールドに引きずり込まれました。

  • さてさて、私は、さてさて。皆様お待ちかね。これは三浦さんのエエ、エッセイ!です。ぐるぐるしたり、悶絶したり、おともだちからお願いされちゃうのですうっ!エッセイと言っても他の作家さんと同じに考えてはいけません。GWが終わったからといって悲しんではいけません。コロナ禍だから、まだまだ外出してはいけません。orz orz orz
    これではいけない。テンション高く、空高く、気温も高く、ちょっと違うけど、もう行ってみようー。(って、初めて読まれた方は、この人危ないと思われそうで怖いヨォ。もういいけどねぇ)

    で、ですよ。このエエ、エッセイはちょっと古いのだぁ。2002年4月刊行だから、2006年に三浦さんが、あの天下の直木賞作家様におなりになる前だから、次のような話が出てくるのだ。『私の漫画体験は、小さいころ近所のお兄さんから貸してもらっていた「週間少年ジャンプ」に始まる』という三浦さん。少年漫画に疎くなった自分を『これではいかん』と感じて、『私は職権を濫用し、アルバイト先(古本屋)に入ってくる少年漫画を重点的にチェックしはじめた』。えええっ!ア、アルバイトだって!天下の直木賞作家様は本屋大賞も取ったから、流石にもう印税生活を満喫?されていらっしゃるかもしれないけど売れるまでは大変なんだなあ、と。さらに『ここ二カ月ほどビラ配りしている。「古本屋でーす。安売りしてまーす」と言って、道行く人にビラを配る』。えええっ、てっ、天下の直木賞作家様(しつこい!orz)がビラ配りとは、こりゃびっくり、りを取ってビックマックだよぉ。でも、今だったら、ビラにサインを書いて配れば、瞬配(って言葉あるのか?)、ヤフオクで売れちゃうよぉ。三浦さんが配っていたビラって今から手に入らないかな。レアものだよぉ。これほど、ドラえもんのタイムマシンが欲しいと思ったことないぞぉ。って、なんだよぉ、それ。

    さらにさらにお皿に、こんな記述も見つけちゃいました!『何を隠そう、私の見る悪夢の中で、「頻度と恐怖感ナンバーワン」は、「飛行機に乗っている(そして墜落する)夢」だ』、ええと、どこかで聞いたような?『本当に飛行機は嫌いでごわす。乗っている間も、手足を冷たくしたまま地蔵みたいに硬直している』。そ、そーなんだぁ、三浦さんも飛行機ダメなんだぁ。確か、そ、そうだよぉ、恩田陸さんとおんなじだぁ。ピンポンパンポン!、ここで大切なお知らせがあります。恩田陸さん著『「恐怖の報酬」日記ー酩酊混乱紀行』のブクログの感想にさてさて氏渾身の一作とも言える感想があるぞー。まだ、読んでない貴方、これを読み終わったら読みたまえ、もとい、読んでくださいませませ。脱線したよ、ごめんねー。で、恩田さん、ちゃうちゃう、三浦さんはこうも書きます。『もちろん立って機内を歩くことなんてできない。私が歩くことによって重心が傾いたりしちゃったら』。これ私も同感だぞ。飛行機の重心って大丈夫なんですかねぇって。先日読んだ湊かなえさんの「絶唱」、これもさてさて氏の感想が絶品だから読みたいものだ、いやいやそうではなくて、この作品中で、トンガ王国の国内線は乗機前に体重計に乗って、それで席を振り分けられるっていう記述があったので、そんな的はずれじゃないかも。まあ、小型プロペラ機とジェット機を一緒にするんじゃないという声も聞こえるかもしれない。何れにしてもだ、だ。もしかすると作家さんは飛行機に乗るととんでもない恐怖のストーリーが瞬時に頭に浮かんじゃうのかもしれない、だから飛行機なんてヤダ!ってなるのかも、って思った。

    最後にもう一つ挙げよう、そうだなあー、『横浜トリエンナーレに行ってきた』という記述。これがいい。去年ニュースになったけど、これは2000年くらいのお話だから、あのニュースとは関係ないのだ。そうか、あのイベント自体はこんな昔からやってるんだ。そんなイベントに出かけた三浦さん。『展示館の中には「秘宝館というブースもあった。秘宝館…懐かしい言葉との再会だ』。おおおっ!「ぐるぐる♡博物館」にも出てきた、三浦さんが大好きな秘宝館!登場!『ねえ、秘宝館ってなに。秘宝館に行きたい』という子供の頃の三浦さん。でも大人たちは『私の魂の底からの欲求をきっぱりと無視した』。まあ私が親でもそうするでしょう。だって秘宝館だよぉ。『「県の指令により、六才以上十八才未満の方の入場をお断りします」というプレートが掲げられていた』と掲示を見つけた三浦さん。『六才未満ならあれを見てもいいのか。その微妙な年齢指定には、ロリコンならずともときめくこと請け合いである』とまとめます。う〜ん、すごいなぁ。これが天下の直木賞作家様のまとめ方だぁ。しつこいよね。ゴメン。でも、この秘宝館の面白さは「ぐるぐる♡博物館」を読むのがオススメだな。三浦さんの秘宝館への想いがよくわかるぜ!

    …う〜ん、ちょっと調子に乗りすぎたような。もっと書きたいけど、これでは、流石に長くなってきたよぉ。クレームも出そうだし、皆さん画面閉じちゃうよぉ。なので、まとめよう。真面目なさてさてに登場してもらおう。よろしく頼む。はい、分かりました!自分。

    ということで、他にも『和菓子のエロティシズム』とか『超戦隊ボンサイダー』など三浦さんならではの視点で書かれたエッセイが盛り沢山のこの作品。若干の政治ネタなど少し時代を感じさせるものもありますが、三浦さん独自の感性、独自の観察力、そして独自の文章表現の魅力にどっぷりと浸れます。ただ、ちょっと『オタク』度が強すぎる感があるので、間違いなく人を選ぶのは他のエッセイ同様です。

    〈あとがき〉で『身辺きわめて多忙になり、古本屋さんのアルバイトをやめました』と書いた三浦さん。この後一気に売れっ子作家へと駆け上がる、そんな三浦さんのまさに作家としての夜明けを見ることのできる作品。『起伏のない日常の中にこそ、面白いことやヘンなこと、怒りが炸裂するようなことがあるのだ、という信念のもと、日々の生活ぶりを綴ってまいりました』という三浦さんの魅力はエッセイ抜きには語れないと改めて思いました。傑作揃いの小説と共にエッセイも続けて読んでいきたい、改めてそう感じさせてくれた作品でした。

    うん、綺麗にまとまった。やっぱり真面目が一番。

  • 2001年~2002年にかけての初期のエッセー。実家暮らしで、古本屋でのアルバイト生活が綴られていたりする。著者の原点とも言える(のかな?)、オタクワールド・妄想ワールド全開エッセー。

    「和菓子のエロティシズム」満載の久生十蘭の「湖畔」、ちょっと気になった。

  • 再読にも関わらずにまにま笑いが止まりませんでした。
    しをんちゃんの内面や私生活が包み隠さず書かれているせいか、1冊読み終えるころには親しい友達の日記を読んでいるような気持ちになっています。
    そのせいか、面識なんてあるわけもないのですが、ついつい"しをんちゃん"なんて呼びたくなってしまうのです。

    みつね(平安歌人の凡河内躬恒のことです)の恋歌にダメ出ししつつも応援してみたり、新たな戦隊モノ(ボンサイダー)を考案してみたり…。
    そんな中でも作家の本気、というか、しをんちゃんの妄想力の底無し具合が申し分なく発揮されていたのは、高倉健の日常を詳細に描写したエッセイでしょう。
    健さんの寝る姿勢やタバコの銘柄まで…ものすごい愛を感じました。

    久しぶりに読んだらすっかり楽しくなってしまったので、ちょいちょいしをんちゃんのエッセイを再読していこうと思います。

  • しをんさんのデビューエッセイ♪

    ホント、この人の頭はいつもフル回転!休むことを知らないと思う。

    どのエッセイを読んでも違った色が出ていてそこがまた、魅力。

  • 歌人みつね、すごく気になる。
    あんなに脱力系な歌が古今集に載っているとは、和歌って案外面白いのかなと興味が湧いてきた。
    著者は本の紹介が上手いなあ。

  • 著者の作品の初読みなのですが、なぜ、これを選んでしまったのでしょう?
    とにかく想像していた著者のイメージがガラッと変わってしまいました。
    マンガ好き?ロックおたく?ってか、おっかけ?ヅカファン?
    あ~こんなに作家さんを身近に感じたことないですよ。
    これから作品をじっくり読む気にさせてくれました。

  • まるで自分と友人達を見ているようだった。歳も近くて趣味なども似ているせいか…とにかく文章がコミカルで、やはり少しオタクっぽくて、自分の中にすっと入ってくる。この人の文章が一番自分に近くて気持ち良い。
    特にエッセイではそう感じた。

  • 三浦しをん氏のエッセイで6、7年前の発行本。 初めて三浦氏のエッセイを読んだけど、本当に面白い人でますます筆者を好きになりました。 漫画が大好きでコミケやま○んだらけにも行くオタクぶりに、バンドのライブにも参戦する。そんな三浦氏がとても身近に感じます。それに爆裂する妄想力には圧巻!普段の生活でも溢れ出る妄想には流石です。その妄想が作品に繋がっているんだと胸熱になりました。 それにしても、三浦氏のエッセイ本は外で読むには笑いが止まらなく危険ですね(笑)

  • 三浦しをん氏の日常をまとめたエッセイ集。
    三浦しをんさんの作品に漂う、ちょっと古風で込み入った感じが大好きなのですが、この日常からあの作品が生まれるのかー……と、しみじみ眺めつつも、「ぷぷぷ」と笑えるようなお話が満載で、ついつい目尻を歪めてしまいました。

    特に面白かったのが弟さんとスーツを選びにいく話(「アイコンタクトレンズ探し」)、マックブックと冷蔵庫の話(「白雪姫の毒りんご」)、ワンピースが欲しい話(「罪深いがゆえに人は」)、ちょっと抜けているファッションの話(「キメきれない」)、ホワーイの話(「暗黒禅問答」)でした。

    エッセイってこんなに面白かったのか、と思わされるのは、それが三浦さんの文体と語り口調を以て示されるからなのかもしれません。しかし、それにしても面白い。クスッと笑える話から、思わず声を出して笑ってしまいそうな話まで……。
    気になる方は是非。

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著者プロフィール

1976年東京生まれ。2000年『格闘する者に○』で、デビュー。06年『まほろ駅前多田便利軒』で「直木賞」、12年『舟を編む』で「本屋大賞」、15年『あの家に暮らす四人の女』で「織田作之助賞」、18年『ののはな通信』で「島清恋愛文学賞」19年に「河合隼雄物語賞」、同年『愛なき世界』で「日本植物学会賞特別賞」を受賞する。その他小説に、『風が強く吹いている』『光』『神去なあなあ日常』『きみはポラリス』、エッセイ集に『乙女なげやり』『のっけから失礼します』『好きになってしまいました。』等がある。

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