きみはポラリス (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 12382
レビュー : 1211
  • Amazon.co.jp ・本 (394ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101167602

作品紹介・あらすじ

どうして恋に落ちたとき、人はそれを恋だと分かるのだろう。三角関係、同性愛、片想い、禁断の愛…言葉でいくら定義しても、この地球上にどれひとつとして同じ関係性はない。けれど、人は生まれながらにして、恋を恋だと知っている-。誰かをとても大切に思うとき放たれる、ただひとつの特別な光。カタチに囚われずその光を見出し、感情の宇宙を限りなく広げる、最強の恋愛小説集。

感想・レビュー・書評

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  • 恋は苦しい。恋は苦い。もし「本気を貫く男」に出会ってしまったら、すべて受け入れるか全力で逃げ出すしかないんだからね、という多恵子さんの言葉は背筋が凍るほど恐ろしい。

    それでも人はだれかを好きになってしまうのだ。その気持ちを思い切り外に出せる人は幸せだ。抑えこんでひたすら自分一人で抱え込んでいくしかない思いもある。その苦しさがまた恍惚を呼び込むことすらあるから、恋はやっかいなのだ。

    ひたすらハッピーエンドのベタ甘恋愛小説じゃなくてよかった。
    帯に「最強の恋愛小説集」と書いてあったので恐れをなして手を出せないでいたのだ。でもそうじゃなかった。どうしようもなく落ちてしまう「恋の罠」が、さまざまなパターンで描かれている。「幸せ」というにはあまりにも深くて苦い。
    「春太の毎日」は微笑ましい描写が続くけど、その背後にある絶対的な断絶を思うと途方に暮れる。それでも春太は麻子を愛する。「本気を貫く」オトコなのだ、春太は。種が違っててよかったのか悪かったのか。

    どんなに苦しくても、一度も恋に落ちないよりはいい。あの苦しさと裏腹の光り輝く一瞬を知っていることが、恋をした者の特権なのだと思う。

  • 様々な愛の形をリアルに描いた
    11編の恋愛短編集。

    禁断の恋、三角関係、同性愛、
    片思い…

    たとえ未来が見えなくとも
    人が人を好きになるということを
    誰が責められるだろう。



    最後の最後に
    思いがけない人の
    切ない想いが浮かび上がる
    「永遠に完成しない二通の手紙」


    家庭を築くことや
    本気を貫くことの意味を考えさせられる
    「裏切らないこと」


    白夜行を思わす世界観で
    後の長編『光』の元ネタとなった
    「私たちがしたこと」


    純文学の香り漂う
    亡き恩師への慕情を描いた
    「骨片」


    ある復讐の形を描いた
    「ペーパークラフト」


    職業不詳の同棲相手・捨松を尾行する
    うはねの冒険譚
    「森を歩く」


    大きくて一途な無償の愛に
    思わずうちのメタボにゃんを抱きしめてしまった
    「春太の毎日」


    など、秘めたる想いが
    痛くて怖くて
    きゅい〜んときて
    胸に沁みる、
    濃密な短編がズラリ。


    しかしこの人の小説は、
    エッセイとは全く違うテイストで
    面白いですね。

    短編集だけど
    語り口が上手くて
    バラエティーに富んでいるので
    ページをめくる手が止まらなくなり
    とにかく読ませます。


    ありきたりな
    甘ったるい恋愛だけではなく、
    重く湿り気のある
    ダークで切ない話が多いのも自分にとってはツボでした。


    秀逸過ぎるタイトルと
    中村うさぎによる
    解説文がまた素晴らしい。


    人それぞれにお気に入りの一編を見つけるだろうけど、
    個人的には
    「裏切らないこと」
    「春太の毎日」
    「冬の一等星」

    お気に入り。


    読み応えあってかなりお得なので、
    ありきたりな恋愛ものに飽きた人や
    短編が苦手な人にも
    オススメです。



    普段は気付けないけど、
    夜道を照らす一等星のように

    誰もが誰かに
    守り守られて生きている。


    あなたにとっての
    ポラリス(北極星)は
    誰ですか?

  • 強く印象に残ったものが…

    ・裏切らないこと
    ・私たちがしたこと
    ・夜にあふれるもの
    ・優雅な生活
    ・春太の毎日

    の5つでした。世の中にはいろんな愛の形がある。
    きっかけが何であっても、好きという気持ちに気づいた瞬間から自分との格闘が始まる(はず)。好きな対象がどんなものであれ、時に喜び、時に悲しみ、いろんな瞬間を経験することになる。
    人間関係において(特に恋愛ごと)マニュアルなんて通用しないのかもしれないが、みんな思い悩みながら、いつもどこかで、各々が各々のいろんな恋愛ストーリーを奏でているんだろうな。

    なかなか感情移入できないストーリーもありましたが、
    この作品に出会えてよかったです。

    中村うさぎさんの解説もよかった!!

    • hatachu0103さん
      ぴちほわさん、「西の魔女が死んだ」にコメントありがとうございました!お返事が遅くなってしまってごめんなさい(>_<。)

      魔女修行、私も...
      ぴちほわさん、「西の魔女が死んだ」にコメントありがとうございました!お返事が遅くなってしまってごめんなさい(>_<。)

      魔女修行、私もしてみたかったです♪
      「西の魔女が死んだ」は、どうしても些細なことに感情を動かして疲れてしまう私には、教科書のような物語でした。おばあちゃんの考え方が好きでした。
      自分の指針をしっかりとしたものにしていくって、難しくて大切なことですよね。

      こちらの「きみはポラリス」は、何度か本屋さんで手に取りながらもまだ読んでいない小説です。
      愛の形って、本当に様々ですよね。「正しい形」にとらわれそうになるけど、マニュアルなんて通用しないんだなって、ぴちほわさんのレビューを読んで再認識しました。読んでみますね(*^^*)

      またぜひコメントいただけたら嬉しいです!こちらこそ、これからもお付き合いいただければ・・・よろしくお願いします。
      2014/10/21
  • 穏やかな幕開けながらも最後にはがらりと雰囲気を変え、突然断ち切られるように終わるショート・トラック「永遠に完成しない~」に始まり、力強い声で高らかに歌う「裏切らないこと」、ミステリアスな曲調で先を急かす「私たちがしたこと」と続き、重苦しくも荘厳な主題を持つ「夜にあふれるもの」、ノスタルジックなバラード「骨片」につながっていく。別々の物語ではあるが全体の構成としてはしっかりと緩急がつけられており、通読すると、まるで1枚のCDアルバムを聴いているかのような感覚がある。
    その後もスリリングで危うい雰囲気の「ペーパークラフト」をはさみ、王道ポップス路線の3曲「森を歩く」「優雅な生活」「春太の毎日」で和んだところへ、表題曲であろう「冬の一等星」の、センチメンタルなイントロが流れてくる。そして、1曲目と同じメロディを含む「永遠に続く手紙の最初の一文」で、まさに永遠に続く時間を思わせながら全ての曲の終わりを迎える。
    まるで三浦しをんのラブソング・ベストアルバムとでもいうべき、異なった魅力を持つ12編が収録された、内容の濃い、お得な一冊。

  • ポラリス。
    北極星のことだったはずだけど、不動の星のように変わらないような恋心ということなのかな?
    それとも、指針ってことかな?

    とにかく様々な恋愛ものの短編集。
    ただ、オーソドックスなものではなく、多様な題材で書かれているので、どの話も面白い!!

    もともと三浦さんの短編は大好きだったのであっという間に読み終えた。また、良作には良い解説もつくということで、解説までもが成る程と思えるものに仕上がっている。

    欲をいうならば、最初と最後を飾ったあの男の子の話を、もっとしてもらえたらな。

  • 何回も何回も読み返していて、私にとって特別な、墓まで持っていきたいくらい好きな本。
    ひとつひとつの短編がどうしようもなく魅力的で、恋愛の形の多様性を私に教えてくれた小説でもある。
    人を一途に想う心は美しいなあと、じんわり思わせてくれる。

  • 三浦しをんの最強の恋愛小説集なんて謳い文句にあれば手に取らないわけにはいかなかった。
    どんな恋愛小説を書くのだろうーー。
    わくわくしたのは久しいことだった。
    何を隠そう、友人に勧められた著作「シュミじゃないんだ」を読んでから、三浦さんには興味もとい一方的な親近感があったからだ。

    短編集のなかで一番震えたのは「裏切らないこと」だろうか。誰もが触れたがらないものに潜む奇妙な部分。それが映し出されていた。
    「私たちがしたこと」はミステリー調で、「夜にあふれるもの」はどことなく恐ろしげだ。恋愛と一括りしても多種多様な引き出しに陶酔する。
    そして後半に続く面白おかしい短編にも、三浦さんのさっぱりとした文体と素朴だか的を射る言葉たちが光った作品集だ。

  • 11編の短編小説からなる、三浦しをん氏の恋愛小説。
    個性的な物語ばかりで、「恋愛って色々あるよなぁ」と思いながら、とても楽しく読むことができました。

    私が特に気に入ったのが、「春太の毎日」。

    展開が衝撃的すぎて、思わず声を上げてしまうくらいでした。

    気になった方は是非読んでみてください。

  • 再読。

    いろんな恋愛のかたちが描かれている。
    そのかたちは一見バラバラなようだけど、共通しているのは、相手への想いを自分の中で大切にする、ということなのかなと思った。

    相手に伝えても伝えなくても。
    一緒にいてもいなくても。
    自分の心の中にしかなくても、ちゃんと存在を感じられるし、いつでも取り出して触れたり眺めたりできるもの。
    それをずっとずっと大切に持ち続けることが愛なのかなー、なんて。こんな言葉でしか表現できないけど。

    それぞれ短編のテイストが異なるので飽きない。
    個人的に印象に残ったのは以下のとおり。

    「永遠に完成しない二通の手紙」
    「永遠に続く手紙の最初の一文」
    タイトルがすごく良い。
    この手紙に綴られる想いは、永遠に届けられることはない。でもきっと、筆を置かれることも永遠にないんだろう。

    「骨片」
    主人公は自分の想いも骨片もぜんぶ心の中の嵐が丘に閉じこめて生きていこうと決意する。というより、嵐が丘にすべてがあるから、それをよすがに生きていけると思ったのもしれない。強い覚悟が美しい一編。

    「春太の毎日」
    春太から麻子への想いが、息子への気持ちと重なって泣いてしまう。自分よりも誰かの幸せを願えるって、そんな相手がいるって幸せなことだ。

    「冬の一等星」
    ほんの一瞬のできごとや、たったひとつの言葉や、一緒に過ごしたごく短い時間が、いまでも自分の道しるべになっていると思うことがある。私も私のポラリスに守られているんだなぁ。

  • 偏愛集。かな。
    「気づかれないことこそが愛」
    という思想が刺さった。

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著者プロフィール

三浦 しをん(みうら しをん)。
1976年、東京生まれの小説家。出版社の就職活動中、早川書房入社試験の作文を読んだ担当面接者の編集者・村上達朗が執筆の才を見出し、それが執筆活動のきっかけになった。小説家の専業になるまで、外資系出版社の事務、町田駅前の古書店高原書店でアルバイトを経験。
2006年『まほろ駅前多田便利軒』で直木賞受賞。2012年『舟を編む』が本屋大賞に選ばれ、翌年映画化された。2015年『あの家に暮らす四人の女』が織田作之助賞受賞。また、『風が強く吹いている』が第一回ブクログ大賞の文庫部門大賞を、2018年『ののはな通信』が第8回新井賞を受賞している。
Cobalt短編小説賞、太宰治賞、手塚治虫文化賞、R-18文学賞の選考委員を務める。最新刊に、『愛なき世界』。

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