天国旅行 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 3338
レビュー : 304
  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101167626

感想・レビュー・書評

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  • 「死」とか「心中」がテーマの短編集
    …と言ってしまうとなんかイメージが偏ってしまいそうだけど、秀逸の物語ばかり。ハッとさせられる切り口に、作家の力量を見る。
    普段は文庫本の解説って余計だと思うけれど、角田光代の解説は、そうそうとこちらを頷かせる。
    死んだらおしまいよ。感じることができるのは、面白いと思えるのは(いろんな意味で)生きているからこそ、です。

    「初盆の客」
    「森の奥」
    「遺言」

  • 面白かった。心中もしくは死をテーマにした短編集ですが、軽いタッチのものもあればどんより重いものもあり何人かの違う作家さんの作品を読んだような満足感。特に良かったのは「君は夜」。前世と現世とのシンクロがいい。「初盆の客」も良かった。

  • 死をテーマにした7編の珠玉の短編集。
    哀しさが底流に流れる愛の物語。セックスの描写はどれも寂しくてエロい。
    ゴシックメタルで例えると言MY DYING BRIDEかな。なんで、あまたあるPEACEVILLEのバンドの中からMDB なのか?それはオレにもわからん。ふと、頭に浮かんできたのがこの老舗ゴシックバンドだった。
    どれも傑作だけれど内田春菊の『南くんの恋人』テイストの「星くずドライブ」を推しとこ。角田光代のあとがきではひとことも触れられてないし。香那とちよみのキャラも被ってるような気もするし。映画『星くず兄弟の伝説』やフロイドの「星空のドライブ」を思ひ出すから。

  • 心中をモチーフとした連作集。
    流麗な文書表現で綴られ、結末が気になりさくさく読み進められます。
    心中がテーマなので暗くなりがちかといえはそうでもなく、「初盆の客」のように心温まるようなものもあり飽きが来ない。「星くずドライブ」のカノジョのように少し感触のあるユウレイという設定はセンスがありますね。
    それにしてもタイトルと表紙はまるで「君はポラリス」のヒットにあやかりたい魂胆がみえみえであざといなぁ、と。特にタイトルと内容はなんだかミスマッチな気がします。

  • 「死」をテーマにした短編集。自分の死、身内の死、赤の他人の死。自殺、他殺、心中。そしてそれにまつわる遺書、幽霊、前世、などなど。なのに不思議と重すぎず、暗すぎず、いろいろな人のいろいろな死と向き合っています。死に方=生き方なのね。解説を角田光代さんが書いてるのがちょっとうれしい。

  • 再読。心中をテーマにした7つの短編集。再読のわりには覚えてないものもあった。こんなに印象的なのになあ。爆笑エッセイや爽やか職業小説が続いたので、ちょっと重めなカンジが「そうそう、しをんさんってこういうのも上手いんんだよなあ」と味わえた。最後の「SINK」のラストシーンは美しくてせつなくて泣けた。角田光代さんの解説も納得。

  • 軽い読み物と思いきや、思いのほかの重量級。
    テーマは心中。
    主人公たちのほとんどは、あまりうまく世渡りするタイプではない。
    生きあぐねて、あるいはパートナーの死に直面して、揺らぐ心のありようが描かれる。

    「遺書」。愛を確かめるために自殺しようとする妻に残す遺書の形式の短編。
    二人のなれそめまでもがそこには書かれているが、妻に翻弄される彼の姿に、何とも言えないおかしみが漂う。
    老齢に達した彼が、もし妻が後に残されたら、と考えてこの「遺書」を書くのだが、最後の数行の彼の気持ちは崇高だ。

    「星空ドライブ」は、ひき逃げで死んでしまった恋人につきまとわれる大学生の物語。
    最初は死んだ彼女が自分のもとにやってきたことに愛情を感じていた佐々木だが、自分が死ぬまでずっとそばにいられることにぞっとし始める。
    こういう細やかな心理描写がすばらしい。

  • 森の奥…「心配してくれるひとが一人もいないまま生きていくってのが、どんなことなのか」、この言葉が胸に深く突き刺さった。想像を絶する孤独を抱えて寂しさから抜け出せないという地獄。
    遺言…捉えどころのないご主人とエキセントリックな奥様。
    初盆の客…誰の子供なのかが奇々怪界だった。
    君は夜…この永遠にループするような愚かさに怒り心頭。
    炎…仇を取ったというには程遠いし、真相もわからずじまい。
    星くずドライブ…場所はつくばかな。ちょっとあり得ない完璧な結びつきと永遠性に到達した二人に羨望した。
    SINK…評価はこの作品。主人公の厭世的姿勢は男なら理解できる人は多いだろう。真っ黒な絶望と悲劇的状況でも可能性が万に一つあるのなら試してみる価値はあるとお母さんは思ったのだろう。お母さんの意思をそう解釈するのなら主人公は極めて幸運だと言えるのではないか。万に一つで生き残ったのだから。
    解説は角田光代さん。

  • 心中の話。三浦しをんさんの文体が好きすぎ。

  • 160611*読了

著者プロフィール

三浦 しをん(みうら しをん)。
1976年、東京生まれの小説家。出版社の就職活動中、早川書房入社試験の作文を読んだ担当面接者の編集者・村上達朗が執筆の才を見出し、それが執筆活動のきっかけになった。小説家の専業になるまで、外資系出版社の事務、町田駅前の古書店高原書店でアルバイトを経験。
2006年『まほろ駅前多田便利軒』で直木賞受賞。2012年『舟を編む』が本屋大賞に選ばれ、翌年映画化された。2015年『あの家に暮らす四人の女』が織田作之助賞受賞。また、『風が強く吹いている』が第一回ブクログ大賞の文庫部門大賞を、2018年『ののはな通信』が第8回新井賞を受賞している。
Cobalt短編小説賞、太宰治賞、手塚治虫文化賞、R-18文学賞の選考委員を務める。最新刊に、『愛なき世界』。

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