家族八景 (新潮文庫)

著者 :
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101171012

感想・レビュー・書評

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  • 『「もっと、おつゆを召し上がる」(殺してやりたいわ)
    「うん。貰おう」(なんだ。その声色は)
    「ナナちゃん。おつゆ、もう一度温めてきてね」(殺してやろうかしら)(破綻)』

    『やはり自分にはこの相手しかいないのだということをなんとかして自分に納得させようとする倦怠期の中年夫婦の、一夫一妻制という社会道徳への無意識的な心的規制と都合のいいすり替え、そして何よりも繁栄と平穏と余暇と満ち足りた栄養の中で育まれた中年男女の、そのはげしい情欲のはけぐちを求めようとする心理に彼女は負けたのだった。』

    『ことばでの争いが、互いを果てしなく低次元へひきずり落としあい、底知れぬ憎悪の坩堝で責め苛みあうことになるのを、天洲は何度かの経験でよく知っているにちがいなかった。』

  • 所持/お手伝いさんとして様々な家庭を渡り歩く、エスパーの七瀬。読み進めるにつれて七瀬自身の感情の振り幅が大きくなってきて、面白さがぎゅーんと増していくかんじがした。〝はやく続きが読みたい〟と感じた本。
    人の心は見えないようにできているのは、そのほうが幸せだからかなと思ったりして。

  • 2018.2.16

  • 2018年1月5日読了。
    2018年12冊目。

  • テレパスの能力を持つ七瀬は自らの力を隠しながら住み込みの家政婦として様々な家庭で働くものの、期せずしてその家庭の偽りや歪みを浮かび上がらせてしまう…という短編集。

    お互いを憎み、軽蔑し合いながら偽りの平和な家庭を演じる家族「無風地帯」
    不潔さを暴かれた家族の暴走「澱の呪縛」
    年齢を気にせず人生を謳歌しようとする妻とそれを苦々しく思う夫を襲う悲劇「青春謳歌」
    エロ親父に七瀬が襲われる「水蜜桃」
    研究に没頭したい夫と嫉妬心の強い妻による「紅蓮菩薩」
    お互いに隣の家族の配偶者が気になっている「芝生は緑」
    家族から厄介者扱いされながらも絵画に没頭する画家に七瀬が好意を抱く「日曜画家」
    強権的だった母親の葬儀がやがて壮絶な結末を迎える「亡母渇仰」
    の八編収録。

  • 変わった小説だった。普通ではない8家族、謎が多くどこか人間味がない変な主人公。この小説を読んで残ったものは性は人生とは切り離せないものなのかなーと。
    ドロドロしていてあまり好きないが続きがあるので読んでみようとは思う。

  • やっぱり筒井康隆は面白いし、凄い。
    これが40年以上も前の作品だなんて。文体にも感心しちゃうけど、何より人間の醜さをこんなに分かりやすく描ききれれるなんて。

  • 読心術の能力をもった女子の話。確かに目の前に立ってるひとが自分を見てどう思ってるか吹き出しのように見えたら気持ち悪いわな。

  • 人の頭の中、のぞきたくないですね

  • 高校2年生のときに読んで、大変な衝撃を受けた。今読んでも当時ほどの衝撃は受けないが、やはり傑作だと思う。「家族八景」と「七瀬ふたたび」を読んだのは、NHK少年ドラマシリーズの「七瀬ふたたび」を見た後だと思っていたが、ドラマの放送開始は、ウィキベディアによれば1979年8月6日なので、記憶違いのようだ。「家族八景」も「七瀬ふたたび」も、買ったのは同じ年の6月だというメモがあるし、当時は買った本はすぐに読んでいたから、ドラマが始まる前に読み終わっていたはず。妻がコンドームを明かりにすかして夫の精液の量を目測するという場面が記憶に残っていて、長い間、いったい誰のどの作品に出てきたのかと思っていたが、やっと分かった。「紅蓮菩薩」に出てきたのだった。奥付には、昭和五十年二月二十七日発行、昭和五十四年四月三十日十四刷とある。209ページ。定価220円。
    収録作品:「無風地帯」、「澱の呪縛」、「青春讃歌」、「水蜜桃」、「紅蓮菩薩」、「芝生は緑」、「日曜画家」、「亡母渇仰」

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著者プロフィール

筒井 康隆(つつい やすたか)
1934年大阪市生まれ。日本を代表するSF作家の一人と目され、小松左京、星新一と並び「SF御三家」と称されることもある。
1981年『虚人たち』で泉鏡花文学賞、1987年『夢の木坂分岐点』で谷崎潤一郎賞、1989年「ヨッパ谷への降下」で川端康成文学賞、1992年『朝のガスパール』で日本SF大賞をそれぞれ受賞。1993年に断筆宣言を行ったことは大きな話題になった。1996年断筆解除後には、2000年『わたしのグランパ』で読売文学賞、2010年に第58回菊池寛賞、2017年毎日芸術賞をそれぞれ受賞。2002年には紫綬褒章も受章している。
代表作のひとつ『時をかける少女』は度々映画化、アニメ化され、多くの読者に愛される。ほか『日本以外全部沈没』、『文学部唯野教授』、『旅のラゴス』、『残像に口紅を』などは機会あるごとに話題となり、読み返されてきた。

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