男たちのかいた絵 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (257ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101171067

作品紹介・あらすじ

おくびょうで意気地なしでも、拳銃片手に怖いものなし-チンピラやくざの、カッコいい兄貴分へのあこがれが、屈折した心情に映し出される時、オナニズム、同性愛、エディプス・コンプレックス、多重人格などの持主を主人公にした、筒井康隆の強烈な世界が展開される。『夜も昼も』『星屑』『二人でお茶を』など、ジャズのスタンダード・ナンバーにのせておくる奇妙な味の連作小説集。

感想・レビュー・書評

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  • また読みたくなって久しぶりに読んでみた。

    主人公はすべてやくざの連作小説集。

    やくざさんについて、
    なんだか詳しいような気持ちでいても
    元ネタがだいたいこの本からって、どうなの。

    それでも強ち的外れでも無い事も無い、事も無いのか、
    どうなのか?、それは、やっぱりわからないけれど、

    例えば「極道の妻たち」が公開された当初、
    「こんな訳、あるか!」とその筋の方々から苦情が届いた、
    と聞いたことがあるけれど、
    この本だったら、多少うーん?、と思っても
    ニヤッと笑って許してくれそうな気が…。
    (あくまで私の想像です)

    人生に「兄貴」がいるってのも、良いな、なんてね。

    虚言癖のある男の話(『嘘は罪』)、この話が印象深くて、
    なんとなくふとしたときに思い出すことがある。

    お父さんへの思いが…の『アイス・クリーム』も、
    一般人だって素知らぬふりして、とぼけて、
    十分いんちきなことがある!と突然憤ってみたり。

    同性愛、それも純愛の『恋とは何でしょう』、ラストは切ない。

    筒井さんはなんでもわかっている!、と言う気がしていて、
    なんだか犬のように懐いてしまっている私でした。

    おまけの話として、筒井さんのエッセイに、
    ずっと前にだけれど、
    関西のやくざの割と偉い人が
    筒井さんとよく似ていて、
    またその人が過激な人で
    「落とし前つけてもらう」だの、
    もっともっと物騒なことも色々発言されるので、
    『人違いで消されるのではないか?』と
    日々怯えている、と書いておられたの、
    面白かった!(面白がって、すみません)

  • アブノーマルな性的嗜好をもつヤクザたちが登場する短編集です。

    「恋とは何でしょう」は、ヤクザのホモ・セクシャルな純愛をあつかった話です。「解説」の中島梓が、ヤクザ映画への偏愛を熱く語っていますが、そのような世界を筒井康隆が書くと、こういう作品になるのかという納得感があります。もっとも、著者ならではの過剰なエネルギーの横溢はあるものの、パロディ作家としての著者の手腕はこの作品にはあまり見られません。

    むしろそうした方面への期待は、「アイス・クリーム」という作品によって満たされるのではないかという気がします。幼少期の父子関係にトラウマをもつヤクザが登場する物語なのですが、彼の暴力性を露悪的に拡張したストーリーになっており、個人的には本書のなかでもっとも印象深い作品でした。

  • 変態やくざが登場するエログロ短編集。
    すき間時間に読んだ一冊。

    8つの短編のうち、3つはここで書くのが
    はばかられるくらいのエログロ。
    どこをどうしたらこういう小説が書けるのか…。

    でも、父親への歪んだコンプレックスを持った
    チンピラが出てくる「アイス・クリーム」や、
    多重人格者の「二人でお茶を」は、切なくて、
    それでいてちょっと暖まる感じもして、絶妙な
    味わい。

  • やの付く自由業につく登場人物たちの喜劇を描く連作
    よくよく思い返すと任侠モノ映画というのをみたことがないので
    この分野の味わいについて思い入れがないが
    示威暴力を生業とする場ならではの常識があって
    そこからのズレもまたその他一般との差異が広く楽しめるものかもしれない

  • 同時に『プリズンホテル』を読んでいることはセレンディピティと言えるかも。しかし、著者の描くヤクザの世界はかなり倒錯している。いきなりのホモ。そして終いには獣姦だ。各短編のタイトルもふるっていて良かった。

  • 2016.10.1(土)¥30(-2割引き)+税。
    2016.10.8(土)。

  • チンチン立ちっぱなしのヤクザとか、犬と深い仲のヤクザとか、変なヤクザがいっぱい登場です。
    ヤクザのというか(男の?)渋さや悲しさ(聖書でいう原罪のような)を感じる短編集でした。解説が「中島梓」!昭和のあのころに気持ちの良いトリップでした。

  • 筒井先生の本なら何でも来い!って頃に読んだ本です。
    わあ と思いながらも好奇心いっぱいで読んでしまいました。
    やっぱり先生のお話は怖くても面白いから。

    あんまり覚えてないけど、拷問の時に自らすすんでやってもらう(?)ヤクザの話が印象的でした。
    こういうお話も読めるんだって思って、大藪さんや勝目さんの本をアレコレ読んだりすることになったんだ、たぶん。

  • 高校生のとき、なぜか友人が無理矢理貸してくれた本。
    あまり接していたくなくて(笑)
    大急ぎで読んで早々に返却したことを思い出す。
    様々な性格・性癖を持つヤクザたちの群像で、
    各短編にジャズ・ナンバーのタイトルが付されているが、
    内容はかなりお下劣。
    二重人格で嗜好が異なり、
    コーヒーを飲むか紅茶を飲むかで揉める「二人でお茶を」が
    一番苦痛を覚えずに読めた。

  • 男って悲しい生き物だね。

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著者プロフィール

小説家

「2017年 『現代作家アーカイヴ2』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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