七瀬ふたたび (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
3.65
  • (268)
  • (428)
  • (623)
  • (46)
  • (10)
本棚登録 : 3177
レビュー : 341
  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101171074

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 僕らの世代とって、眉村卓、光瀬龍、筒井康隆の3巨匠は、SFの面白さを教えてくれた恩人だ。その中でも僕が最も好きだったのは筒井康隆だった。
    「七瀬ふたたび」を読んだ時の衝撃は今でも忘れられない。当時、中学生の僕は本の中の七瀬に憧れて、夢中になって読み進めていった。なのに、あのラスト・・・呆然とした。本を片手に悔し泣きした。納得がいかなかった。世の中の不条理に初めて出会った気がして、何故こんな形で物語が終わるのか理解できなかったのだ。
    今、思えば、中学生の僕は七瀬のおかげで少し大人になったのだった。

  • 七瀬3部作といわれるが、それぞれ趣きは違う。結構、超能力を前面に押し出して戦う。映像より、小説の方が好き。

  • 三部作の真ん中だけを読むという、なかなかしない事をしました。

  • 前作『家族八景』での七瀬の行動原理は、「自分の身を守る」ということでした。七瀬は決して善人ではなく、他人を犠牲にすることをいとわない残酷さや冷徹さを持った人物として描かれていました。ただ、「自分のため」という極めてシンプルな理由がその裏にあったからこそ、七瀬の行動は決して非難するような類いのものではなく、地獄のような家庭のしがらみの中を生き抜くための当然の姿勢として受け止めることができました。

    しかし、今作の七瀬の行動原理は「ノリオを守る」ということです。七瀬はノリオのために行動しています。前作なら考えられなかったような向こう見ずな行動(自分たちの身を危険にさらして見ず知らずの他人を助けるなど)や通奏低音のように流れる使命感も、ノリオがいなければ七瀬の心に生まれなかったでしょう。

    前作の七瀬のシニカルで理知的な生き方が好きな僕としては、今回の七瀬にはどうしても違和感を感じてしまいます。七瀬の理性がそのまま彼女の行動につながっているのならばよいのですが、そうではなく、ノリオという存在が七瀬の行動に大きく影響しているからです。

    七瀬を変えるきっかけとなった重要な人物であるノリオの、キャラクターとしての肉付けがそもそも弱い気がします。ただ単に七瀬に無茶な行動をさせるための装置のような印象です。ノリオの存在に説得力がないため、七瀬の行動からも説得力が感じられません。

    前作とは完全に異なるジャンルの物語であり、人物描写の機微よりもストーリー展開自体が重要な作品であるということは分かっているのですが、それでも「もう少しノリオが魅力的だったら、もう少し七瀬が理性的だったら…」と思わずにはいられません。

    • はちのさん
      非常に共感しました。自分も一作目での七瀬の理性的で淡々とした人柄が好きだったのですが、今作ではかなり感情的に行動していますよね。一作目とはほ...
      非常に共感しました。自分も一作目での七瀬の理性的で淡々とした人柄が好きだったのですが、今作ではかなり感情的に行動していますよね。一作目とはほとんど別作品と言っていい雰囲気ですけど、個人的にはこれはこれで楽しめました。ただやはり作風としては一昨目の方が好きです。

      長々とすいませんでした
      2012/09/08
  • 予知能力、念力、時間旅行とテレパスとは異なる超能力者がでてきて、舞台も夜汽車、クラブ、カジノ、北海道の別荘などさまざまになる。なぜ超能力者が生まれたのかという問いもでてくる。この点は近年の「超能力」ものにはないかもしれない。国家権力との戦いというのもでてくるが、「血みどろの戦い」とまではいかない気がする。

  • 読む順番を間違えて、家族八景の前にこちらを読了。美しきテレパス七瀬と、同じ能力を持つノリオ、テレキネシスのヘンリーを中心に、次々と現れる超能力者たち。そして彼等を淘汰しようとする謎の組織との対決。手に汗握る展開に最後までハラハラさせられたけれど、まさかのアンハッピーエンド…なんとか七瀬、もしくは仲間の超能力者たちが機転を利かせて逃げ果せる結末にして欲しかった。この終わりは、3作目への布石なのか?
    後半、藤子の心理に触発されて七瀬が考え始めた「超能力者がこの世に存在する理由」。この哲学的な問いに答えを見つけられないまま今作は終わってしまったが、3作目で七瀬は何かを掴むのだろうか。

  • 「2011年 私のオススメの1冊」

    所蔵なし

  • 何せ40年遅れで読んでいるので、この作品が発表された時の衝撃は分からない。超能力者を小説で扱う際のいろんな約束事はこうした作品を通してできあがって来たんだろうね。超能力者VS一般人の対決図式はどうして? なぜ一人一能力なのか? 超能力者が抱える苦悩や弱点なんてのも作家たちが紡ぎあげてきたものだ。石森先生が描いた超能力ベビーは万能だった。だからイワンは眠っていることが多かった。001さえいれば、他の8人はいらないもんね。物語には一人一能力の方が、つまり個性的である方が塩梅がいいわけだ。
    さて、「エディプスの恋人」が楽しみだ。

  • 前作の「家族八景」を読んだのが三年前でしたので、その影響もあるかと思いますが、読んでいる途中ぐらいから「あれ、こんな作風だったっけ」と戸惑いを覚えることに。確かに七瀬が読み取る人の心が生々しく、時にグロテスクなところは前作と同じ印象だったのですが…
    ひとつは他の超能力者が出現するなどして、小説自体が「俗物化したなぁ」と感じたこと、もうひとつは七瀬が人情味に溢れたキャラになっていたこと。これは同胞に出会ったため、七瀬の達観した冷たい心が溶解したとみるのが正しいとは思いますが、個人的には前作の七瀬の方がなんだか生き生きしていた印象が強く、だからこそ、本書の七瀬は与えられた役割をこなすお人形さんみたいに感じました。そしてこの印象は、続編の「エディプスの恋人」で確固たるものになってしまうことに…

    とはいえ、超能力を駆使して難題に立ち向かう展開は、緊迫感があり、興奮しながら読み進めることができました。最後が切ない形で終わるのもグッド。

  • あっという間に読んだ。
    七瀬と超能力を持たないものとの戦いに続いて行くのには驚いた。
    なんというか、展開がすごい。へってなる。

    機会ができたら他も読もう。

全341件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

筒井 康隆(つつい やすたか)
1934年大阪市生まれ。日本を代表するSF作家の一人と目され、小松左京、星新一と並び「SF御三家」と称されることもある。
1981年『虚人たち』で泉鏡花文学賞、1987年『夢の木坂分岐点』で谷崎潤一郎賞、1989年「ヨッパ谷への降下」で川端康成文学賞、1992年『朝のガスパール』で日本SF大賞をそれぞれ受賞。1993年に断筆宣言を行ったことは大きな話題になった。1996年断筆解除後には、2000年『わたしのグランパ』で読売文学賞、2010年に第58回菊池寛賞、2017年毎日芸術賞をそれぞれ受賞。2002年には紫綬褒章も受章している。
代表作のひとつ『時をかける少女』は度々映画化、アニメ化され、多くの読者に愛される。ほか『日本以外全部沈没』、『文学部唯野教授』、『旅のラゴス』、『残像に口紅を』などは機会あるごとに話題となり、読み返されてきた。

七瀬ふたたび (新潮文庫)のその他の作品

筒井康隆の作品

七瀬ふたたび (新潮文庫)を本棚に登録しているひと

ツイートする