笑うな (新潮文庫)

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  • 本 ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101171111

感想・レビュー・書評

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  •  ほぼ50年前のショート・ショートは、今読むとどうなのか? といろいろ想像しながら手にしました。筒井康隆さんの作品は、初期作を何冊か大昔に読んだ記憶だけで、パロディやドタバタ喜劇、SFを得意としているイメージです。エンタメや純文学作品も手がけ、大分幅広い作風なのかな?

     ブラック、ホラー、シュール、エロ、グロ、寓話、風刺‥、何でもありのイメージの34篇。いろんな芸人さんが次々登場し、漫才を披露しているような感覚でした。内容によって、或いは作品全体として好みが分かれるのではないでしょうか。
     ただ、PCもケータイもない時代、漫才ブームも到来する以前に、よくもまぁこんなぶっ飛んだ話が書けたなと感心します。当時としては、過激な部類に属する作品群だったのではと推察します。刺激の強い星新一さん?といった感じでしょうか‥。

     今は、様々なことに配慮を求められる時代なので、不適切扱いされる表現もあるやに感じました。筒井康隆さんは、時代を先取りしていたのかもしれません。人間観察力、洞察力に優れていなければ決して描けない世界が広がっている気がしました。

     筒井康隆さんがこの後、谷崎潤一郎賞、川端康成賞、菊池寛賞、読売文学賞、毎日芸術賞などなど、多くの名作を発表した事実が信じられないのですが、機会を見つけ手にしてみましょうか‥。

    • NO Book & Coffee  NO LIFEさん
      まいけるさん、こんばんは♪
      コメントありがとうございます。略称「本とコ」です。
      新刊本ばかりを追いかけてると、未読の過去作品を
      漁りたくなり...
      まいけるさん、こんばんは♪
      コメントありがとうございます。略称「本とコ」です。
      新刊本ばかりを追いかけてると、未読の過去作品を
      漁りたくなります。どっちに走ってもキリのない話
      ですが‥。
      読みたい本があり過ぎて、積読本が消化できない悩み
      は皆さん共通ですかね‥。
      2024/05/17
    • kuma0504さん
      本とコさん、
      筒井康隆は好きではないのですが、「48億の妄想」はお勧めです。なんと48年前に作ったとは思えない先進性!
      11年前にレビューを...
      本とコさん、
      筒井康隆は好きではないのですが、「48億の妄想」はお勧めです。なんと48年前に作ったとは思えない先進性!
      11年前にレビューを書いた時以上に、先見性が実現していることに驚いています。
      2024/05/19
    • NO Book & Coffee  NO LIFEさん
      クマさん、こんばんは♪
      『48億の妄想』覚えておきます。
      ありがとうございます。

      作家さんの先見性の凄さを垣間見る機会、
      確かにありますね...
      クマさん、こんばんは♪
      『48億の妄想』覚えておきます。
      ありがとうございます。

      作家さんの先見性の凄さを垣間見る機会、
      確かにありますね。
      ひらめきだけでなく、お告げでもあったのかい?
      と思えることも‥
      2024/05/19
  • 笑うな、というキャッチーな題名に惹かれて手に取った作品。

    笑うななんて言われましてもひとつひとつがコントの台本かと見間違うほど面白い、滑稽で惨めに見えるキャラクターが沢山出てくるものばかりで思わず笑ってしまいそうになる話ばかりだった。
    けれど少し冷静になってみると、その滑稽で惨めなキャラクター達は自分と重なる部分が多いと気づいた。
    そして改めて読んでみると肝が冷えたというか、全く笑うことなんて出来なかった。
    誰の心にもあるであろう欲目や驕りなどの要素を恐ろしいほどに面白可笑しく書かれていた。

    無意識のうちに自分が沢山の偏見を抱えてがんじがらめになっていること、自分が誰かを反面教師にしようと決めた時誰かもきっと自分を反面教師にしようと決めているであろうこと、慢心が傍目に映る醜さなどに気づけた。
    欲に足元を絡め取られることのないように、本質を見極めようと慎重に過ごしたいと思わせてくれた本。

    会いたい、と座敷ぼっこの2つが個人的に好き。

  • 筒井康隆のショートショート集。
    タイムマシンを発明して直前に起こった出来事を眺める、ちょっと考えると永遠に続いてしまうのではという不思議な感覚の「笑うな」
    「傷ついたには誰の心」わたしの目の前で妻とセックスする制服警官との3者の会話がシュールで怖い。
    「遠泳」「帰宅」「駝鳥」「座敷ぼっこ」が面白かった。
    僕には七瀬三部作の方が数段面白いと思う。
    2024年12月27日読了

  • 知性と悪ふざけが共存する作品で、今読むと女性蔑視と捉えかねない話もある一方で「妊娠はどの仕事より尊い」という発言もあり、その振り幅の広さに驚かされます

    どんなに悪ふざけがあっても次のお話へと読み進められるのは、著者の視点が多様だからでしょうか

  • 面白いしそんなにボリュームがあるわけでもないけど、読むのに時間がかかった。
    ショートショートオンリーというよりは短編読み切りぐらいのサイズ感な話も結構あり、バリエーションも多く楽しめた。

    ブラックジョークの度合いもちょうどいい。

  • 筒井康隆が読みたくて著者名からなんとなく見つけた一冊。SFでショートショートなだけあって星新一と似てるなと思う作品もあったけど、こちらの方がブラックユーモアが鋭く、「傷ついたのは誰の心」「セクション」が衝撃的だった。

  • かなりクセのあるショートショート集。
    頭の中が「???」となったり「過激では…」と心配になるような作品が多数。
    理解しがたいのに、なんか読み続けてしまう。
    もはや面白いとか面白くないとかは関係なくて、筒井ワールドを楽しむための本だと思う。
    普通の物語に飽きたらまた読みたくなりそう。

  • 良くも悪くもくだらない。
    “アニマ”について妙に詳しくなった。
    当時の感性じゃないと笑えないものも多い中、『マイ・ホーム』なんかはFIREの苦しみを描いてたりして、今に通ずるものがあったりもする。『産気』も今のジェンダー論争に刺さるものがあって感心してたらオチがアホすぎて呆れてしまった。
    とにかくキレキレだったのは末世法華経。こんなにファニーでシニカルな創価学会批判を見たことない。

  • ショートショートにおけるブラックユーモア、スラップスティック、悪趣味、お下劣、みたいな方向においては筒井康隆の右に出る者は後にも先にもいないだろうなあ。表題作の「笑うな」ではないが、登場人物の狂気じみた「ワハハハハ」みたいな笑いが恐怖を誘う。

  • 筒井康隆のショートショート、大好きだ!

    ところどころで滑ってるものもあるけれど、そんなんはどんな芸人でも一緒だでね。
    なんていうかもう、「会いたい」では、胃の奥がぐるぐるするほど泣いた。すてきなことに定評のある筒井康隆の短編の中でも、ド級にすてき。この一編のためだけにもう一冊この文庫を買おうか迷ってしまうよ。
    しかし!人におすすめしても100%大絶賛が返ってくるとは限らないのが筒井康隆あるある……。なので、このたまらなくすてきなショートショートが心にびんびんくる人に、もっともっとこれからも届いていくといいな。いいな!

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著者プロフィール

筒井康隆……作家、俳優。1934(昭和9)年、大阪市生まれ。同志社大学卒。1960年、弟3人とSF同人誌〈NULL〉を創刊。この雑誌が江戸川乱歩に認められ「お助け」が〈宝石〉に転載される。1965年、処女作品集『東海道戦争』を刊行。1981年、『虚人たち』で泉鏡花文学賞、1987年、『夢の木坂分岐点』で谷崎潤一郎賞、1989(平成元)年、「ヨッパ谷への降下」で川端康成文学賞、1992年、『朝のガスパール』で日本SF大賞をそれぞれ受賞。1997年、パゾリーニ賞受賞。他に『家族八景』『邪眼鳥』『敵』『銀齢の果て』『ダンシング・ヴァニティ』など著書多数。1996年12月、3年3カ月に及んだ断筆を解除。2000年、『わたしのグランパ』で読売文学賞を受賞。

「2024年 『三丁目が戦争です』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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