串刺し教授 (新潮文庫 つ 4-22)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 297
感想 : 14
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  • Amazon.co.jp ・本 (274ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101171227

作品紹介・あらすじ

崖から転落して鉄柵の尖端に串刺しにされた大学教授を目撃したガソリン・スタンドのサーヴィスマンが最初にしたことは?写真週刊誌時代の未来を予見した作品として「東海道戦争」などと並ぶ表題作。やくざが女学生の言葉で会話し、女学生が中年紳士の言葉で会話し、中年紳士が主婦の言葉で…会話する「言葉と」。人間がきつねをだます奇怪至極の「きつねのお浜」など全17編。

感想・レビュー・書評

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  • 短編17編を収録しています。

    著者の初期の作品は、ナンセンスやパロディがかもし出すユーモアやアイロニーの感覚を示したものが多いように思いますが、後年になると、かならずしもユーモアの効果を追求したものではない、やや前衛的な作風のものが増えてくるように感じます。本書に収められている作品は、その両方が含まれています。

    「きつねのお浜」は、名僧の智寛と女性に化けて人間をだます狐のお浜の物語ですが、メタ的な視点からの叙述が物語のなかに織り込まれており、基本的にはユーモアをたのしめる作風だと感じます。「シナリオ・時をかける少女」も、著者のジュヴナイル小説である『時をかける少女』の著者自身によるパロディです。

    一方、「座右の駅」や「遥かなるサテライト群」は、すくなくとも表面的にはわかりやすいユーモアを表現している作品ではありません。長編の『夢の木坂分岐点』(新潮文庫)や『虚人たち』(中公文庫)などと同様に、虚構によってのみ示すことのできる可能性を追求した作品にかぞえ入れることができるように思います。

    そのほか、「言葉と〈ずれ〉」や「春」など、文章という表現技法そのものを題材にして、そのおもしろさを著者自身がたのしんでいるような作品もあります。

  • 串刺し。

  • 読者を翻弄するのが目的かと思われるほどにハチャメチャな内容。一言一言が読んでいて楽しい。

  • 東京幻視はけっこういい。
    妻四態がおもしろい。落語とかで聞きたい感じ。
    遥かなるサテライト郡、はシーンが段落を変えずに続くのだが不思議とそれが作品の全体に対して効果を発揮しているように感じられる。
    表題作、串刺し教授はまったくタイトルから受ける読む前の印象に反して、現実的である。徒労に終わる労働や、虚しさや、人間関係のけだるさを含めて人間的なものを表現しているようだ。

  • まあ、こんな話を思いつくこともナニだけど、小説に書いてしまうのはもっとナニだよなぁと。うん、面白かった。

  • 2010.12.14(火)。
    短編集

  • この短編集に収録の『句点と読点』という作品が大好きなのだが絶版なのだろうか?他に収録されている作品集はあるのだろうか?

  • 記憶に無い

  • 「旦那さま留守」「日本古代SF考」「句点と読点」「きつねのお浜」「風」「春」「妻四態」「点景論」「通過儀礼」「東京幻視」「言葉と〈ずれ〉」「追い討ちされた日」「シナリオ・時をかける少女」「退場させられた男」「風」「座右の駅」「遥かなるサテライト群」「串刺し教授」

    名前のインパクト凄過ぎ。相変わらずの筒井さん。
    『妻四態』がのっけから面白い。
    『春』だけはどうしても読めなかった。文字読むのがしんどくて。

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著者プロフィール

小説家

「2017年 『現代作家アーカイヴ2』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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