旅のラゴス (新潮文庫)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101171319

感想・レビュー・書評

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  • 旅して学び教え、女性を愛し愛され、慕われ敬われ、マドンナを求めて去ってゆく。
    (時々危ない目に会ったりもするが、人徳と運の良さで切り抜ける)
    男性の夢、ロマンだなあ・・。

    後記
    高度な文明を築き上げても、何らかの異変で一気に使えないものになる可能性がある。
    そうなると、一気に原始的な生活に逆戻り。
    ベーシックな技術や知識をなんらかのアナログな方法で保存しておく必要が確かにあるなと思った。

  • 人生で一番たくさん読み返した本
    パウロ・コエーリョのアルケミストにも通じる冒険譚(ドラクエにも似ている)
    何度読んでもいつ読んでも旅する人間に憧れてしまう

  • H29.4.15 読了。

  • なんて不思議な世界観なのだろう。いまだかつて、こんなにも先が読めない作品があっただろうか。 知識を求め、旅するラゴス。その目的は純粋であり、穏やかだ。 だからこそ、旅の先々で出会った人達は、ラゴスに惹かれ、 幸せを分けてもらった気持ちになる。物語の中では勿論幾分の悲しみや別れ、理不尽な出来事もあるのだが、そのラゴスの、まるで静かな波のような穏やかな語り口が、読んだ後に爽やかな後味を残してくれる。 最後のフェードアウトの仕方も、この小説の「旅」という主題を表すようで、一貫性のある美しい物語だと感じた。

  • 旅を続ける男「ラゴス」の物語、最近行きつけの書店でも山積されておりブックオフにて入手し読了した。

    現代文明が滅んだ後、地球かどうかも不明の土地、人々の生活は文明から大きく後退しているが、その代償として超能力(転移、予知、読心etc)を得ている。ラゴスの旅の目的は当初語られないが、中盤にて失われた高度文明の探求であることが判明する。道中様々な危機を乗り越えて目的地に辿りつき、彼自身が夢見た科学文明の証である書物の山に埋もれ、その知識を貪るも、その知識を故郷へ届けるべく再びの旅が始まる。

    つまりは「旅」の話である、旅は人生ののものであり、それは比喩的でもあり実際の移動を伴うものでもあり、人生も半ばを過ぎて旅の経験値が低い自分にとって大きなメッセージであった。

    数十年の時をかけ大きな仕事をやりとげたラゴスが老齢に差し掛かった時に囚われたものは、またしても旅への憧憬、しかも若かりし時に関わった女の幻影を求める極寒の地への旅である。

    ラゴスの旅は永遠に終わらない、つまり人生、生きる限りは旅は終わらないのである。そういうメッセージを感じた自分にとって、ラゴスが雪の中へと一歩を踏み出す終わり方は余韻を大いに含む格調高い結びであった。

  • 男性人気NO1と広告がうたっていたので購入。隣に女性NO1の湊かなえ「母性」があったけれど。
    やっぱり映画も本も世の中的に男性ウケする作品の方が好み。さっぱり感がいいのかなあ。

    ●途中から一人称が「おれ」から「わたし」に変わるのが妙に違和感あったのはなぜ?

    ●マークトウェイン『不思議な少年』に似ている。書中にラゴスの「サタン」説がちらっと出てきたが、まさにその通り。サタンに違いない、と思って読んでしまった。

    ●読み始めは、「これは何時代?昔の話?」って思ったが徐々に「これは、未来の話...?」と思うように。時代は繰り返すっていうしね。

  •  素晴らしい1冊だった。主人公ラゴスと共に時空を旅する感覚が持てるか否か、己の感性と想像力、気持ちの若さが試される作品かもしれない。

     20年くらい前(初出は30年前?)の作品だとか。当時(90年代)、作者の筒井康隆といえば、訴訟だ和解だ断筆宣言だと本業以外の部分でクローズUpされていた。自分が学生の頃も既にSF御三家と呼ばれていた影もなく、ナンセンス、前衛的といわれる作風で、なにか奇人変人を扱ったエッセイを1,2冊読んで「ダメだ、こりゃ」と他の作品は読まなかった。なので筒井作品はほとんど”お初”状態だったが、大当たり。

     筋立ては単純。高度な文明を失った人類が特殊能力を獲得し始めた世界で旅をする男(ラゴス)の物語。人の成長と文明が再び興っていく様子を重ね合わせて描くおとぎ話。そう、普遍的なお伽話だな、これは。いつ読んでも、誰が読んでも、どの国の言語に翻訳されてもいい作品だ。
     単純なのは筋だけでなく文章も要らぬ説明がほとんどなく極めて簡潔。そりゃお伽話だもの。昔話を語って聞かせるようなもので、桃太郎の出だしを年代、地方、地名、おじいさんおばあさんの身なり、持ち物などを説明せず、山と川、それぞれの役割を言うだけでスッとストーリーに入っていける、そんなイメージ。この自然な導入部分や物語の展開を感覚的に受け入れられないと、ラゴスと旅することはできないね。

     とにかく素敵なのは、人生そのものが旅であると再認識できること。未知への憧れと知の探究がその目的であることだろうか。旅先で文献を漁り、過去から学び未来を構築していく様はワクワクさせられる。学んでいく順番も歴史が最初。歴史が全ての学問の前提になるなど示唆に富んでいるではないか(そして小説が”麻薬である”と主人公がなかなか手を伸ばさないところも逆説的に小説の素晴らしさを表現していてニクイ。この作品そのものが麻薬性のある小説だ)。
     失われた文明の遺産(書物)から知識を学んでいくラゴス。それを世に放つときの思索も、ひょっとしたら現在の我々への警鐘を含んでいるのかもしれない

    「現在のこの世界に、電気という科学を持ち込んでもいいのだろうか。科学史をずっと先まで読んだ限りでは、最先端の科学技術が一般庶民の生活感情と遊離するほどまでに進んだ社会は、必ずなんらかの形で不幸に見舞われているのだ。」

     原子力・・・? ふと、そんな深読みもしてしまう。

     とにかく、好きな時に好きなところへ行って、好きなだけ時間を過ごす。憧れの生き方を体現しているところがいいのだ。
    「人間はただその一生のうち、自分に最も適していて最もやりたいと思うことに可能な限りの時間を充てさえすればそれでいい筈だ」
     そう”人生は短く、やるべきことは多い”(笑) 生き急がなきゃ!

     「顎(あぎと)」の章でラゴスは愛馬スカシウマと空を飛ぶ。念じれば空も飛べる。それが今は心だけの飛翔でもいい。久しぶりに空想の世界を漂うことの心地好さを味わえたひと時だった。

  • 主人公がどうにも好きになれなかった。読み進めるのを億劫に感じながらも、旅の目的だけが気になって最後まで頑張ったが、ラストで「え?これだけ?」と拍子抜け。
    三人の女性と夫婦になり、うち二人とは子供まで作り、兄嫁とも恋仲(?)になりながら、かつて出会った少女のことをいつまでも忘れない。奴隷にされ奴隷商人と打ち解けたかと思えば、その奴隷商人が死刑になっても何の感慨もない。女に出会うと感想は「色気があるかないか」で、だいたい惚れられる。男たちからは何かにつけ一目おかれ出世する。しばらくするとそこを去ってまた別の土地へ。
    やたらと常識人ぶって謙虚なことを言うわりに地位も女も手にしては飽きたら捨てる。なぜこの男がこんなにもてるのかさっぱりわけがわからないし、何を考えているのかもわからない。何かにつけて「自分は何でも知ってます、無知な皆さんに教えてあげましょう」といわんばかりの態度で偉そうだし、こんなやつ絶対嫌われるだろ、と思うんだけど他の登場人物からは好かれているのはラゴスの口数が少ないからなんだろうか。
    ハーレム設定のラノベを読んだような気分。男の人は好きだろうな、と思った。

  • 筒井康隆を読むのは映画「時をかける少女(※原田知世バージョン)」が流行った頃に原作読んで以来かも(年がバレる)。本作は最近リバイバル的に話題になっていたようで本屋で平積みされていたのでふと気になって。

    筒井康隆なのだからSFだろうと思っていると、そうでもない。設定自体は、漂着した宇宙船に乗ってやってきた祖先、微弱なESP能力を持った人々の存在などSF的と言えなくもないけれど、時代も国籍も不明な架空の世界はどちらかというとRPG的なファンタジー世界でもあり、かといって剣や魔法が氾濫しているわけでもない(龍は出てきたけどね)

    主人公ラゴスが旅をする過程で出会った人々や出来事が淡々と語られ、育ちの良さがうかがわれる知的で理性的なラゴスのキャラクターも比較的淡々としているため、結構特異な出来事が起こっているにも関わらず、あまり感情をゆすぶられることなくこちらも淡々と読み進められるのが非常に心地よかった。過不足ない作者の文体も気持ちいい。

    どの章もそれぞれ面白かったけれど、個人的に全体から強く感じたのは「知識」を持つことの、大切さと同時に怖さ。それは使い方次第、使う者次第の武器であり、つまり両刃の剣というやつ。ラゴスはその「知識」のおかげで、奴隷待遇から脱出できたり、王様にまで担ぎ上げられてしまったりするけれど、必ずしも万事円満にゆくわけではない。都市が富裕になれば弊害も起こるし貧富の差も生じる。便利な道具は戦争で効率よく人を殺すためにさらに発展する。知恵というのはまさに、エデンの園の禁断の果実なのだなあと。

    飄々と旅を続けるラゴスの魅力はスナフキンにも通じるものがあるかも(笑)あんな風に生きられたらなと、できないからこそ憧れる。

  •  旅の小説が読みたくて、長距離電車の中で読了。一言でいえば旅に生きた男の一生。男のロマンがつまった作品。ファンタジーだし、SFでもある。一生を通しての女性との出会いもいちいち感泣する。
     舞台は現実とはかけ離れているけれど、とても人間味があって憧憬してしまう。人は何のため生まれ…なんて至極当たり前の悩みもこの作品を読むと、別に意味なんてなくて、ただ生きる事が楽しくて生きたいな、となんだかしんみりもしてしまった。

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著者プロフィール

筒井 康隆(つつい やすたか)
1934年大阪市生まれ。日本を代表するSF作家の一人と目され、小松左京、星新一と並び「SF御三家」と称されることもある。
1981年『虚人たち』で泉鏡花文学賞、1987年『夢の木坂分岐点』で谷崎潤一郎賞、1989年「ヨッパ谷への降下」で川端康成文学賞、1992年『朝のガスパール』で日本SF大賞をそれぞれ受賞。1993年に断筆宣言を行ったことは大きな話題になった。1996年断筆解除後には、2000年『わたしのグランパ』で読売文学賞、2010年に第58回菊池寛賞、2017年毎日芸術賞をそれぞれ受賞。2002年には紫綬褒章も受章している。
代表作のひとつ『時をかける少女』は度々映画化、アニメ化され、多くの読者に愛される。ほか『日本以外全部沈没』、『文学部唯野教授』、『旅のラゴス』、『残像に口紅を』などは機会あるごとに話題となり、読み返されてきた。

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