旅のラゴス (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101171319

感想・レビュー・書評

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  • 北から南へ、そして南から北へ旅をするラゴス。異空間と異次元の中で様々な地域と人々と出会い、そして不思議な能力の数々。旅物語として普遍的な進行を持ちつつ、SF的モチーフが融合したストーリーに圧倒される。‬

  • 旅をすることによって人生というもう1つの旅がはっきりと見え始めた-p239

    それにわたしは、そもそもがひとっ処にとどまっていられる人間ではなかった。だから旅を続けた。それゆえにこそいろんな経験を重ねた。旅の目的はなんであって良かったのかもしれない。たとえ死であってもだ。人生も同じようにね。-p249

  • 旅を続ける男「ラゴス」の物語、最近行きつけの書店でも山積されておりブックオフにて入手し読了した。

    現代文明が滅んだ後、地球かどうかも不明の土地、人々の生活は文明から大きく後退しているが、その代償として超能力(転移、予知、読心etc)を得ている。ラゴスの旅の目的は当初語られないが、中盤にて失われた高度文明の探求であることが判明する。道中様々な危機を乗り越えて目的地に辿りつき、彼自身が夢見た科学文明の証である書物の山に埋もれ、その知識を貪るも、その知識を故郷へ届けるべく再びの旅が始まる。

    つまりは「旅」の話である、旅は人生ののものであり、それは比喩的でもあり実際の移動を伴うものでもあり、人生も半ばを過ぎて旅の経験値が低い自分にとって大きなメッセージであった。

    数十年の時をかけ大きな仕事をやりとげたラゴスが老齢に差し掛かった時に囚われたものは、またしても旅への憧憬、しかも若かりし時に関わった女の幻影を求める極寒の地への旅である。

    ラゴスの旅は永遠に終わらない、つまり人生、生きる限りは旅は終わらないのである。そういうメッセージを感じた自分にとって、ラゴスが雪の中へと一歩を踏み出す終わり方は余韻を大いに含む格調高い結びであった。

  • 傑作としか言いようがない。

    あるときは奴隷に、あるときは王に、あるときは教授として、男は旅をする。魅力的な人間と、出会い、別れ、旅は続く。
    主人公ラゴスの完璧とも言える人間性、奇妙で、しかしどこか懐かしい世界と人々。それらが筒井康隆の美しくもポップな文体で綴られる。

    初めは独特なリズムの戸惑うかもしれないが、リズムに乗れるようになれば文字が文字以上の速度とリアリティで脳内に直接流れ込む。この上なく面白かった。

    ラゴスは常に何かを追い求めていた。それは知識であったり、女であったり、死の先の何かであったり、それが何であれラゴスが歩みを止めることはない。それこそが旅であり、だからそこ「旅のラゴス」なのだ。
    旅小説は旅を通じた主人公の成長を描くことが多いが、本作にはそれがない。ラゴスは常に達観しており、人間性は初めから完成されている。だからこそ「ラゴスの旅」ではなく「旅のラゴス」になっているのだと思う。(辺に説教臭くたびに意味を見出すものよりも、自分はこちらのほうが好き)

    知識や学問がとても面白く描かれる。そうだ。学問は本来嫌悪するものではなく、むしろ嬉々として享受するものなのだ。全ての基本は歴史にあるとする考え方も面白かった。考えてみれば、あらゆる学問は歴史の上にあるものなのだから、基本であるに決まっている。
    ラゴスのように学びたくなった。

    行く先々で信頼され、尊敬され、敬愛され、そして愛されるラゴスの完璧さに、疑いを持つ事が無かったと言えば嘘になるが、読み進めるうちに、私もラゴスに惚れてしまったので文句をつけることなど出来ない。

  • カタカナの名前、聞いたことない地名ばかりだから地球ではないどこかの星の話のようで現実離れしたらイメージが浮遊感を与えてくれた。
    自分だったら何十年も旅をしようとは思わなかった。けれど死に際スレスレを何度も掻い潜ってきたラゴスは、デーデの影を追い求めてではあるが、そのスレスレが快感になっているのかと思えた笑。

  • ファンタジーな世界観だけれど、どこか現実味があるのがよかった。奴隷になったり国王になったりするけれど、ただ1つの目的のために淡々と旅を続ける主人公。神のような存在として崇められても聖人君主というわけでなく時々垣間見える人間味が彼の愛すべきところなのかなと思った。

  • 海外作家の本を読んでいるような不思議なペースで話が進みました。波乱万丈なラゴスの一生も、長いと思っても話にすればこれだけのことかと思いました。

  • 男性目線と感じる話。行き先々で出会う女性が物のように感じてしまって、、、また、展開が飛躍し過ぎていると感じてしまって、、、入り込めなかった。読み終えた後の心も満たされない感じでした。作家との相性かなぁ。

  • 「集団転移」や「飛行」などの超能力がごく普通にある世界を旅する男ラゴスの物語。旅の途中で奴隷になったり王様になったりしながら、目指す先にたどり着いたラゴスは……?
    面白かったー!!最高だこれ。大好き。本を閉じた瞬間、すごく長い旅を終えた気分→

    冒頭でのアレからラストのこれ!!最高だよー!!こういう終わらせ方大好き。
    あと、ラゴスの人タラシがすごい(笑)神やん。
    面白かったなー。集団転移の話ほんま好き。とりあえず一話目読んで欲しい。

  • たくさん本が読みたくなった。それだけに何年も費やせるって羨ましい、、。一生の短さを感じた

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著者プロフィール

小説家

「2017年 『現代作家アーカイヴ2』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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