旅のラゴス (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 7811
レビュー : 928
  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101171319

感想・レビュー・書評

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  • 200ページ強の短い作品で、さらに旅を描いているから一つの場面があっという間に過ぎていく。

    それでもユーモアのあるストーリーや、キャラクタの存在感。考えられた設定によって世界が立体となって現実味を帯び、ラゴスと一緒に旅をした気分になれた。

    とても気持ちのいい読了感を得られた作品でした!

  • 人類が文明と引き換えに超能力を手にしたというSFもので、優しい雰囲気の本。短い本なのに、一人の男ラゴスが生きた人生を自分が体験したような気になれる。

  • 2回目の読了。
    好き

  • 高度な文明の面影だけが残る世界の中で、旅を続ける男ラゴスの足跡を記した連作短編小説。癖の強い筒井康隆の小説の中では屈指の読みやすさを誇る。30年前の小説だというのにその描写は一切色褪せておらず、誰しもが心の奥底に抱いているであろう探究心や冒険心をざわざわと呼び覚ます。テレパスやテレポーテーション等の能力に目覚めた超能力者たちの住まう世界観は幻想的でありながらも、雄大な自然や遊牧民などは現実の世界と相似しており、生きもの地球紀行のような深い味わいがある。スカシウマ等の馬と思わしき架空の動物の名称も世界観にぴったりと合っており、他にもカナの実という豆が謂わばこちらの世界でいうコーヒー豆というのは非常に面白かった。栽培し、焙煎することによりコーヒー豆という名称を取り戻すのは、人間の築き上げてきた叡智や文明が復活したかのような深い感動がある。結局のところ、旅には理由などなく、目的は口実に過ぎないのだろう。未知のものをみたいという好奇心や探究心の暴走である。人生そのものが旅であるという意味を、これほどシンプルに描き切った小説はそうは無い。名作の一つである。

  • 生涯を通じて旅と勉強を怠らなかった男性・ラゴスが主人公のSF小説。なろうの主人公かよ?という勢いのモテっぷりが気にならなかったわけではないが、一人の男の生き方を通じて人類の歴史そのものを感じさせる傑作。

    ラゴスが本を読み耽って知識をどんどん吸収していくシーンは、本好きならば思わず頷いてしまいそうな描写が続いて微笑ましい。

    特筆すべきは延ばそうと思えば倍近くのページ数を用意できそうな内容にも拘わらず、潔く終わらせている点。読後の満足感と達成感に似た疲労感は300ページ足らずの本から生まれたとは思えない。

  • 読み終わった後はラゴスと共に長い旅路を終えたような感覚を味わえた。
    大人になってからあからさまな魔法だとか超能力といった作品に苦手意識を感じていたけど、旅のラゴスに出てくる魔法(?)はなんだかスッと入ってきて読んでいて心地よかった。
    むしろ好きな世界観。ラゴスのように自然と人が集まってくるような、教養のあって素直な人間になりたいと思わせてくれた作品。

  • 人生で一番たくさん読み返した本
    パウロ・コエーリョのアルケミストにも通じる冒険譚(ドラクエにも似ている)
    何度読んでもいつ読んでも旅する人間に憧れてしまう

  • なんて不思議な世界観なのだろう。いまだかつて、こんなにも先が読めない作品があっただろうか。 知識を求め、旅するラゴス。その目的は純粋であり、穏やかだ。 だからこそ、旅の先々で出会った人達は、ラゴスに惹かれ、 幸せを分けてもらった気持ちになる。物語の中では勿論幾分の悲しみや別れ、理不尽な出来事もあるのだが、そのラゴスの、まるで静かな波のような穏やかな語り口が、読んだ後に爽やかな後味を残してくれる。 最後のフェードアウトの仕方も、この小説の「旅」という主題を表すようで、一貫性のある美しい物語だと感じた。

  •  旅の小説が読みたくて、長距離電車の中で読了。一言でいえば旅に生きた男の一生。男のロマンがつまった作品。ファンタジーだし、SFでもある。一生を通しての女性との出会いもいちいち感泣する。
     舞台は現実とはかけ離れているけれど、とても人間味があって憧憬してしまう。人は何のため生まれ…なんて至極当たり前の悩みもこの作品を読むと、別に意味なんてなくて、ただ生きる事が楽しくて生きたいな、となんだかしんみりもしてしまった。

  • ずっと気になっていた本。行ったこともない場所なのに、常に情景が浮かぶような不思議な感覚で読みました。普段だったら、苦手なジャンルなはずなのに最初から最後までわくわくしながら読めた。また時間が経ったら読み返したい。

著者プロフィール

筒井 康隆(つつい やすたか)
1934年大阪市生まれ。日本を代表するSF作家の一人と目され、小松左京、星新一と並び「SF御三家」と称されることもある。
1981年『虚人たち』で泉鏡花文学賞、1987年『夢の木坂分岐点』で谷崎潤一郎賞、1989年「ヨッパ谷への降下」で川端康成文学賞、1992年『朝のガスパール』で日本SF大賞をそれぞれ受賞。1993年に断筆宣言を行ったことは大きな話題になった。1996年断筆解除後には、2000年『わたしのグランパ』で読売文学賞、2010年に第58回菊池寛賞、2017年毎日芸術賞をそれぞれ受賞。2002年には紫綬褒章も受章している。
代表作のひとつ『時をかける少女』は度々映画化、アニメ化され、多くの読者に愛される。ほか『日本以外全部沈没』、『文学部唯野教授』、『旅のラゴス』、『残像に口紅を』などは機会あるごとに話題となり、読み返されてきた。

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