ロートレック荘事件 (新潮文庫)

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  • 新潮社
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本棚登録 : 3259
レビュー : 413
  • Amazon.co.jp ・本 (258ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101171333

感想・レビュー・書評

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  • 裏表紙にあるようにメタミステリー。
    うーん、これは書かない方が断然良い!
    だってトリックを書いている様な物だから。

    昔所有していた別荘が人手に渡り、縁合って招待を受けるところから話は始まる。
    ところどころ挿入されているカラーのロートレックの作品は読む上で重要なのかと思いきや、特になし。
    これが勿体なかったな。
    登場人物を表しているんだろうけど、それが直接事件には関係なくて。
    先入観を上手く使って、最後はびっくり!
    なんだろうけど、メタミステリーと書いているのでそうさぐって読んでしまう。。。
    だけど、充分楽しめた。
    犯人の告白部分で作者筒井さんがトリックの種明かしをするところ、お茶目だと思った。
    くどいと言う人もいるようだけれど、筒井さんらしいかなと。

  • 「だ、騙されたーーー!!!」と読み終わって心の中で絶叫してしまいました。いえ、いい意味で、です。そして、誰かに「いいからとにかく読んでみて!」て、言いたくなりました。

    もうちょっと説明するなら、うまく言えませんが、何というか、綿密に選び抜いた言葉でしか成り立たない、一歩選び間違ったら破綻して三流に陥ってしまうある意味難しい物を、うまくきっちり作りきったなあ、と脱帽する、これぞ、小説でしかできない醍醐味、という作品でした。

    ラストの細かすぎる作者註てんこ盛りによるタネあかしと、ロートレックの作品群もすごく好きです。
    …この散りばめられた作品群は、暗喩的な意味は勿論あるだろうけど、読み手の注意を無意識に核心からそらすための作用も担ってるよなあ…多分。
    読み終わってから気がつくことが多すぎて、また一から読み直して確かめなきゃ、という気になります。

  • 破天荒なSFからスタートして後年には文学を目指した筒井康隆。そのこと自体には毀誉褒貶があるけれど、この本については彼の文章技巧が冴え渡り、最後に爽やかな読後感を残す。伏線は様々に張られている。しかし気づかない。人の思い込みを上手に活用して、我々を手玉に取っているのだ。

    避暑地の別荘に新進気鋭の画家を巡って三人の令嬢の思惑が交錯し・・・という舞台設定はアガサ・クリスティ以来のミステリーの伝統を踏まえており、時代設定が1990年前後でありながら古色蒼然としたやりとりが展開されるあたりも何かのオマージュか、と楽しめる。そこに虚飾や劣情といった毒が回ってきてこその筒井文学なのだが、その辺も次第に明らかになってくる。

    加えて、背景小道具の一つに過ぎないにもかかわらず、ロートレックの絵をふんだんにあしらう贅沢さには当時の筒井康隆の人気が偲ばれる。断筆宣言なんてする必要あったのか、と思い起こしても詮方ないのだけど。

  • 綺麗に騙された!爽快だ。情報をシャットアウトして素直に読んだ甲斐があった。
    読み終わってから他レビューを見ると案外評価が低くて驚くが、全編通してこれだけ伏線を散りばめ、全く矛盾なく作られているのは凄いと思う。しかも書かれたのはずいぶん前だ。

    所々で感じた違和感は、自分なりに補完して飲み込みながら読み進めた。作者の意図そのままの読み方だっただろう。おかげで、最後読み返した時に見えてくる第2のストーリーも心から楽しめた。
    名前の呼び方や見取図など、あからさまなヒントも提示されており、手法は充分にフェア。
    途中で挟まれるロートレックの作品が内容に無関係で残念とのレビューも多いようだが、少なくとも「接吻」はこの本に仕掛けられた罠を暗示している。
    短い小説で、一気に読めるのも良い。本当に面白かった。

  • 叙述ミステリーってやつですが、
    本当に良く出来てるなぁ・・・と、感心してしまいました。

    けっこう疑いながら読んでたつもりだったのですが、
    またもや最後に「えっ!???」となっちゃいましたよ(笑)

    途中でひっかかるところ、
    なんとなく違和感を感じる箇所があったのですが、
    後から読み返すとそこが全部伏線なんですよね。
    初読では最後まで気付きませんでした。
    再読すると解るのですが、
    台詞ひとつひとつも細心の注意を払って書かれており、
    その組み立て方は本当に見事!!
    後から読むとなるほど~~~~~・・・です(笑)

    今ではとても有名な作品なのである程度身構えて読みますが、
    そうと知らずに読んだらかなりの衝撃だったでしょうね~。

    これは200ページほどの薄い作品なのですが、
    書き上げるのにものすごく時間がかかったそうです。
    これだけ練り上げればそれはそうだろうと納得します。

    「旅のラゴス」も意外でしたが、
    筒井さんはこういう本もお書きになるんですねぇ。
    今更ですが他の作品も読んでみたいと思います(笑)

  • 完全にミスリードされ続けたままラストを迎えてしまって驚くよりも先に「は???」となってしまった。よくよく落ち着いてどういうことだったか考えるとすさまじい作品……

  • トリックは巧妙というよりは狡猾。だが、全ての謎を明らかにする仕掛けは、大胆かつシンプルで感心させられる。共感できたというとおかしいが、犯行動機も久々に良い。違和感と読みにくさを感じながら読み進めなければいけないのが少し難点か。

  • 確実に再読を決めたのですヽ(〃Д〃)ノお勧めしてくれたお友達人´∀`).☆.。.:*ありがとうですよ!11
    確実に注意深く読んでいたつもりだったのですけど、全然甘かったああああああああヽ(〃Д〃)ノ

  • 何を書いてもネタばれになってしまいそうな作品です。フェアかアンフェアかはともかく、本当に驚きました。予備知識なしで読んで欲しい一冊です。

  • この作品はいわゆる叙述トリックを扱っている。
    叙述トリックは種明かしをするまで読者をだまし切れるかが命だと思っているので、仕掛けだした時点で違和感を抱かれてしまうこの作品はお世辞にもうまいとは言えない。
    数多くのミステリーを読んできた人にとっては想定内の結末であり、感心するのは初心者だけだろう。
    また叙述トリックを仕掛けた箇所をいちいち指摘するのは自慢のようでもあったし、だらだら書くよりも余韻を残して終わるべきだったろう。

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著者プロフィール

筒井 康隆(つつい やすたか)
1934年大阪市生まれ。日本を代表するSF作家の一人と目され、小松左京、星新一と並び「SF御三家」と称されることもある。
1981年『虚人たち』で泉鏡花文学賞、1987年『夢の木坂分岐点』で谷崎潤一郎賞、1989年「ヨッパ谷への降下」で川端康成文学賞、1992年『朝のガスパール』で日本SF大賞をそれぞれ受賞。1993年に断筆宣言を行ったことは大きな話題になった。1996年断筆解除後には、2000年『わたしのグランパ』で読売文学賞、2010年に第58回菊池寛賞、2017年毎日芸術賞をそれぞれ受賞。2002年には紫綬褒章も受章している。
代表作のひとつ『時をかける少女』は度々映画化、アニメ化され、多くの読者に愛される。ほか『日本以外全部沈没』、『文学部唯野教授』、『旅のラゴス』、『残像に口紅を』などは機会あるごとに話題となり、読み返されてきた。

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