ロートレック荘事件 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 3263
レビュー : 414
  • Amazon.co.jp ・本 (258ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101171333

感想・レビュー・書評

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  • 裏表紙にあるようにメタミステリー。
    うーん、これは書かない方が断然良い!
    だってトリックを書いている様な物だから。

    昔所有していた別荘が人手に渡り、縁合って招待を受けるところから話は始まる。
    ところどころ挿入されているカラーのロートレックの作品は読む上で重要なのかと思いきや、特になし。
    これが勿体なかったな。
    登場人物を表しているんだろうけど、それが直接事件には関係なくて。
    先入観を上手く使って、最後はびっくり!
    なんだろうけど、メタミステリーと書いているのでそうさぐって読んでしまう。。。
    だけど、充分楽しめた。
    犯人の告白部分で作者筒井さんがトリックの種明かしをするところ、お茶目だと思った。
    くどいと言う人もいるようだけれど、筒井さんらしいかなと。

  • 破天荒なSFからスタートして後年には文学を目指した筒井康隆。そのこと自体には毀誉褒貶があるけれど、この本については彼の文章技巧が冴え渡り、最後に爽やかな読後感を残す。伏線は様々に張られている。しかし気づかない。人の思い込みを上手に活用して、我々を手玉に取っているのだ。

    避暑地の別荘に新進気鋭の画家を巡って三人の令嬢の思惑が交錯し・・・という舞台設定はアガサ・クリスティ以来のミステリーの伝統を踏まえており、時代設定が1990年前後でありながら古色蒼然としたやりとりが展開されるあたりも何かのオマージュか、と楽しめる。そこに虚飾や劣情といった毒が回ってきてこその筒井文学なのだが、その辺も次第に明らかになってくる。

    加えて、背景小道具の一つに過ぎないにもかかわらず、ロートレックの絵をふんだんにあしらう贅沢さには当時の筒井康隆の人気が偲ばれる。断筆宣言なんてする必要あったのか、と思い起こしても詮方ないのだけど。

  • 叙述ミステリーってやつですが、
    本当に良く出来てるなぁ・・・と、感心してしまいました。

    けっこう疑いながら読んでたつもりだったのですが、
    またもや最後に「えっ!???」となっちゃいましたよ(笑)

    途中でひっかかるところ、
    なんとなく違和感を感じる箇所があったのですが、
    後から読み返すとそこが全部伏線なんですよね。
    初読では最後まで気付きませんでした。
    再読すると解るのですが、
    台詞ひとつひとつも細心の注意を払って書かれており、
    その組み立て方は本当に見事!!
    後から読むとなるほど~~~~~・・・です(笑)

    今ではとても有名な作品なのである程度身構えて読みますが、
    そうと知らずに読んだらかなりの衝撃だったでしょうね~。

    これは200ページほどの薄い作品なのですが、
    書き上げるのにものすごく時間がかかったそうです。
    これだけ練り上げればそれはそうだろうと納得します。

    「旅のラゴス」も意外でしたが、
    筒井さんはこういう本もお書きになるんですねぇ。
    今更ですが他の作品も読んでみたいと思います(笑)

  • トリックは巧妙というよりは狡猾。だが、全ての謎を明らかにする仕掛けは、大胆かつシンプルで感心させられる。共感できたというとおかしいが、犯行動機も久々に良い。違和感と読みにくさを感じながら読み進めなければいけないのが少し難点か。

  • 確実に再読を決めたのですヽ(〃Д〃)ノお勧めしてくれたお友達人´∀`).☆.。.:*ありがとうですよ!11
    確実に注意深く読んでいたつもりだったのですけど、全然甘かったああああああああヽ(〃Д〃)ノ

  • 多彩なジャンルをモノにし、2012年にはライトノベルにまで手を伸ばした筒井康隆の膨大な作品の中でも、ミステリーの長編作品は2つとされている。ドラマ化もされた「富豪刑事」と本書「ロートレック荘事件」である。

    本書はロートレックの絵画が飾られた洋館で起こった美女3人の殺害を巡るミステリである。小説の叙述形態を生かしたメタ的なトリックが肝であり、「この地の文章は一体誰の思考なのか・・・?」と気になりながらも読んでいるうちに、その疑問が全てトリックで回収される様子は見事であり、筒井康隆の高い文学的技法の操作能力を楽しめる。

  • 筒井康隆の独特な世界観が好きで、ミステリー小説っぽい毛色と聞いた時は正直あんまり印象が無いな〜と。
    期待というよりどんな作風になるんだろうって気持ちが強かった、けど読んでみたらなるほどさすが天才だと感心させられた。

    主人公と登場人物になんとなく違和感はあって、読んでてちょっと気持ち悪いような感覚があったのに気付けなくて悔しい。
    さすがにここで第三者が犯人だとか隠れた動機だとかそんなB級な展開にはならないよな……?って思ってたら叙述トリックでしてやられた感。
    オチもなかなかエグくて良い。

  • ロートレック荘
    190716読了。
    今年65冊目今月4冊目。
    #読了
    #筒井康隆
    #ロートレック荘事件

    ようやく読めた。
    遠い昔に、若干のネタバレを受け、記憶が薄れるのを待っていた。
    平成2年版。

    人物相関関係の掴みづらさや、描写の不自然さ。
    それが途中で気にならなくなるくらい読書の目を逸らすのが上手い。

    大胆に伏線張ってるし、やはりこの人は天才。

  • どうやって?犯人は誰?動機は?
    それをどう隠して、どう騙している?
    どんなトリック?読み終わってみれば
    物語の中というより、それを構成する枠組み
    登場人物のドラマではなく、筆者と読者の
    知恵比べ、遊びとも思える。
    違和感を覚えながらも読み進み
    一瞬、一言で、それが急速に収束しはじめ
    謎を氷解させて種明かしに移行する。
    確かに事細かな検証は、その直前の快感からすれば
    興覚めの一面もあるけど、犯人が至った境地や
    初めて知り、失ったものなど
    騙しの遊び・技術とは異なる、物語として
    感情に訴えかけ、じっくり味わいたいる部分も
    種明かしのパートにはある、と思う。
    ミステリー謎解きの娯楽・エンターテインメント
    それも正統派ではなく読者への挑戦が
    ほとんどを占めているのだけど、その背景にある
    犯人のこころの動きをページ参照を無視して
    読んでみれば。

  • 『残像に口紅を』に代表されるように、筒井氏は極めて高度な言葉遊びを得意とする。本作品のトリックには賛否両論があるだろうが、非常に筒井氏らしく、筒井氏ならではと言えよう。主点が度々入れ替わる構成や、会話の一つひとつが最後になるほどと思わせる仕掛けである。犯人が判明したあとは純文学のような説明的で、トリック含め本作品をミステリー好きが許容するかの問題はあろうが、筒井氏によるミステリーとしてとても楽しめた作品であった。

著者プロフィール

筒井 康隆(つつい やすたか)
1934年大阪市生まれ。日本を代表するSF作家の一人と目され、小松左京、星新一と並び「SF御三家」と称されることもある。
1981年『虚人たち』で泉鏡花文学賞、1987年『夢の木坂分岐点』で谷崎潤一郎賞、1989年「ヨッパ谷への降下」で川端康成文学賞、1992年『朝のガスパール』で日本SF大賞をそれぞれ受賞。1993年に断筆宣言を行ったことは大きな話題になった。1996年断筆解除後には、2000年『わたしのグランパ』で読売文学賞、2010年に第58回菊池寛賞、2017年毎日芸術賞をそれぞれ受賞。2002年には紫綬褒章も受章している。
代表作のひとつ『時をかける少女』は度々映画化、アニメ化され、多くの読者に愛される。ほか『日本以外全部沈没』、『文学部唯野教授』、『旅のラゴス』、『残像に口紅を』などは機会あるごとに話題となり、読み返されてきた。

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