ロートレック荘事件 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 531
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  • Amazon.co.jp ・本 (258ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101171333

感想・レビュー・書評

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  • 178ページ、混乱してしまいました。
    何度も何度もめくり直して、読み返してようやく、理解が追いついてきました。
    普段ミステリー慣れしていないのもあると思いますが、圧倒されてしまいました。
    もう一度、最初のページに戻って、理解したうえでじっくりと味わおうと思います。
    ミステリーの魅力に気付くことのできた一冊でした。

  • 「だ、騙されたーーー!!!」と読み終わって心の中で絶叫してしまいました。いえ、いい意味で、です。そして、誰かに「いいからとにかく読んでみて!」て、言いたくなりました。

    もうちょっと説明するなら、うまく言えませんが、何というか、綿密に選び抜いた言葉でしか成り立たない、一歩選び間違ったら破綻して三流に陥ってしまうある意味難しい物を、うまくきっちり作りきったなあ、と脱帽する、これぞ、小説でしかできない醍醐味、という作品でした。

    ラストの細かすぎる作者註てんこ盛りによるタネあかしと、ロートレックの作品群もすごく好きです。
    …この散りばめられた作品群は、暗喩的な意味は勿論あるだろうけど、読み手の注意を無意識に核心からそらすための作用も担ってるよなあ…多分。
    読み終わってから気がつくことが多すぎて、また一から読み直して確かめなきゃ、という気になります。

  • どんでん返しの前評判で名前だけは聞いており、やっと手に取った本書。全てがミスリード。そして読み返した時に違う捉え方ができる点で良質な叙述トリックだと思った。作中でなんとなく感じていた違和感が、最後に線になって回収される。
    以下、ネタバレ。
    感じていた違和感は、あれ?これ今誰が話してる?とか、なんか2人称や3人称がやたらと色々出てくるな。下半身の成長が止まった主人公が性行為?映画も絵のエッセイも多彩だなぁ。いまここで話してる人数って合ってる?など。
    あとから読んで部屋割りとか絵画のミスリードとか章ごとに視点が変わっているのに気づいた。そういう意味ではラストは読み返しながらでないと理解が追いつかなかった(丁寧すぎる解説付きがついているのも頷ける)。障害者や身体的なマイノリティへの偏見や不当な扱いを扱っている叙述トリックだと感じたので、5点にしました

  • 綺麗に騙された!爽快だ。情報をシャットアウトして素直に読んだ甲斐があった。
    読み終わってから他レビューを見ると案外評価が低くて驚くが、全編通してこれだけ伏線を散りばめ、全く矛盾なく作られているのは凄いと思う。しかも書かれたのはずいぶん前だ。

    所々で感じた違和感は、自分なりに補完して飲み込みながら読み進めた。作者の意図そのままの読み方だっただろう。おかげで、最後読み返した時に見えてくる第2のストーリーも心から楽しめた。
    名前の呼び方や見取図など、あからさまなヒントも提示されており、手法は充分にフェア。
    途中で挟まれるロートレックの作品が内容に無関係で残念とのレビューも多いようだが、少なくとも「接吻」はこの本に仕掛けられた罠を暗示している。
    短い小説で、一気に読めるのも良い。本当に面白かった。

  • 『ロートレック荘事件』
    2023年8月16日読了

    表紙や挿絵に用いられたロートレックの作品がよくて、思わず手に取った作品。
    『時をかける少女』などで名前は存じ上げていましたが、実は初となる筒井康隆作品でした。

    舞台はロートレック荘と呼ばれる洋館。
    まさに王道たるクローズドサークルにワクワクしつつ、警察がいる上での事件の発生にはハラハラ。わかりやすくヒントを出されているはずなのに、結局だれが犯人かも作中のトリックにもわからず、最後まで読んで「なるほど!もう一度読みたい!」となる小説でした。

    文章がほんとに丁寧でに組まれていて、「すごい!」の一言につきます。
    しかも、読者へのヒントも必要十分には出している。
    これを矛盾なくやって遂げるのは、天才としか言いようがないですよ!

    最初から「?」となる箇所があるものの、読み進めたい気持ちが先行して疑問を後回しにしちゃうんですよ。作中のトリックを自分で解くには、疑問の検証をすべきなんでしょうけれど(本作に関しては、丁寧に検証することで真相がわかるような気がします)、やっぱり作者にかき乱されたいがために、わざわざ目隠しして落とし穴にはまりにいってしまいます(笑)

    トリックが秀逸なのはもちろんですが、犯人の哀愁こもった独白もよかった。
    あの余韻を味わいたくって、たった4ページの終章を何度読んだことか…。これを読むために、ここまで読んできたんだなあと思わせる、そんな独白です。

    「どうか私を死刑にしてください。」
    深い後悔が表れた一文に、すべてが詰まっているような気がします。
    犯人がこれまで歩んできた人生、その中で築かれた自分像と他者との関わり方、未来への焦りと絶望、そしてそれをも凌駕する事件後に発覚したある事実。

    この事件を経てすべてが変わってしまった彼ら。
    どのような人生となっていくのか、切なさの残る小説でした。

  • これは騙された!あっぱれお見事!と陳腐な感想が出てしまうほど読後感の気持ちよさが素晴らしい

  • まんまと騙された。
    お気に入りの一冊。

  • 完全にミスリードされ続けたままラストを迎えてしまって驚くよりも先に「は???」となってしまった。よくよく落ち着いてどういうことだったか考えるとすさまじい作品……

  • 何を書いてもネタばれになってしまいそうな作品です。フェアかアンフェアかはともかく、本当に驚きました。予備知識なしで読んで欲しい一冊です。

  • おもしろかったぁー!こういうミステリー大好物です♫作者の思う壺にまんまとはまり、「え?え!え!?」と前のページに戻って感嘆する、紙書籍ならではの読み方を味わうことができるのも楽しい。

著者プロフィール

小説家

「2017年 『現代作家アーカイヴ2』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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