パプリカ (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (496ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101171401

作品紹介・あらすじ

精神医学研究所に勤める千葉敦子はノーベル賞級の研究者/サイコセラピスト。だが、彼女にはもうひとつの秘密の顔があった。他人の夢とシンクロして無意識界に侵入する夢探偵パプリカ。人格の破壊も可能なほど強力な最新型精神治療テクノロジー「DCミニ」をめぐる争奪戦が刻一刻とテンションを増し、現実と夢が極限まで交錯したその瞬間、物語世界は驚愕の未体験ゾーンに突入する。

感想・レビュー・書評

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  • 夢か現実か?現実か夢か?
    こんなに、混じると分からんようになる。
    脳って、まだまだ、解明出来てない未知の分野やし。なら、夢も実際どうなん?
    たまに思うけど、毎日、通勤して仕事してるのは、ほんまに現実?ひょっとして、病院で寝てて夢見てるだけ?とか。
    まっ!これは多分、現実逃避やろうけど(−_−;)
    サイコセラピスト千葉敦子、またの名を夢探偵パプリカ。
    人の夢の中に入って、精神的な病気を治す。それを可能にした装置、PT、DCミニ。
    始めは、他人の夢に入っての治療とかやったんやけど、ノーベル賞候補とかの嫉妬もあって、DC盗まれた辺りから、混沌とした世界へ!
    夢の世界から、現実の世界へ侵入、その逆もかな?
    もう訳分からん状態…
    現実って言っても、あくまでも脳がそう認識してるだけのはずやから、何か怖いなぁ〜
    でも、パプリカちゃんには会いたい〜
    ってブグログに書いてる感想も夢?

    今、現実って思ってる世界では、電車が遅れて大変!
    早よ動くか、夢から醒めるかして〜(^^;;

  • 舞台は、精神医科学研究所。ノーベル賞候補とされる優秀な研究員が、精神治療テクノロジー「DCミニ」を開発してしまう。近未来SF。加えて、美人研究員千葉は、夢探偵「パプリカ」として精神疾患にアプローチ。DCミニは、諸刃の剣、他人の夢への介入、現実と夢の混在、果ては、人格破戒も引き起こす。
    なかなか、読みきれず、ギブアップしそうでした。筒井康隆氏が、フロイトの無意識下の夢にかなりお詳しいようで、各自の夢の交錯がもう大変な事になってしまうのです。
    「パプリカ」はアニメ映画化されており、原作からよりパワーアップしているようです。コアなファンが多いらしいですね。気持ちよく壊れていくことを経験できそうです。
    研究所の混乱、夢から現実への暴走等々どうにか収まってヤレヤレ。
    識閾下の世界。

  • パプリカ 筒井康隆さん

    1.購読動機
    48億の妄想が初めての購読。
    メディアへの役割と警鐘がテーマでした。
    フィクションの中にリアリティかみえました。
    それが魅力でした。
    SFの体験は少ないです。
    そのため、筒井さんで楽しんでる今です。

    2.パプリカの内容
    主人公は、学者の男女です。
    ノーベル賞候補となるほどの実力者。
    彼らが、人間が見る夢を仲介して心理診療ができる方法とマシン開発に成功しました。
    そのマシンが、彼らの偉業を妬む反対学者派閥に盗まれることで事態は暗転します。

    3.読了して
    医師と患者。正常とストレス。
    夢と現実。科学と倫理。
    二律相反する構造、概念を軸に展開します。
    作家の方の想像と創造に改めて敬意を表します。



  • Wikiによれば、筒井康隆は1965年に関西から東京に転居し、そこから本格的に作家活動を展開したらしい。第一短編集「東海道戦争」は1965年の発行ということなので、かれこれ60年近く前のことだ。最新の短編集「カーテンコール」は、2023年11月の発行、60年近くを経て、なお現役の作家であるという怪物のような人だ。ちなみに、1934年9月生まれなので、現在89歳。
    私自身は、筒井康隆の作品は中学生から高校生の頃によく読んでいた記憶がある。それ以来、遠ざかったいたので、50年近くぶりに筒井康隆の本を読んだことになる。

    主人公の千葉敦子は、精神医学研究所に勤めるノーベル賞候補の研究者であり、また、セラピストでもある。一方で、18歳の少女である夢探偵パプリカとして神経症の治療も行っていた。治療方法は、患者の夢の中に忍び込み、うつ病などの原因となっていたものを見つけそれに対処するものである。現実世界から、他人の夢の世界へ忍び込み活動するというのは、SFとしては驚くような話ではないだろう。
    しかし、この小説では、夢の中の行動が実際の現実に影響を及ぼすことが可能となる。すなわち、現実と夢の区別がつかなくなる。夢の中では、人は荒唐無稽なことも(例えば空を飛んだり、動物になったり)行えるが、夢の中での、ある人の突拍子もない行動が、現実世界の人たちに影響を与えるようになるのである。
    こうなると、何が何だか分からなくなる。実際、現実世界から夢の中に忍び込んでパプリカが神経症の治療を行う部分はストーリーもよく理解できたが、現実と夢の区別がなくなってからは、何でもありとなり、ストーリーはどうでも良くなってきてしまった。しかし、筒井康隆は、そういう訳の分からない世界を、小説としてまとめてしまう。何だかよく理解はできないが、圧倒的な文章力によって、最後まで一気に読まされてしまう。

    中学校・高校の頃も、思いもつかないような世界に連れて行ってくれる筒井康隆の小説が好きだったな、ということを思い出した。久々にまた筒井康隆を読んでみようという気になった。

  • 噂の「パプリカ」は夢探偵。
    夢の中を自在に探索し、精神症を治療する。
    精神医学研究所の理事、千葉敦子と時田造作は、PT機器(サイコセラピー機器)を開発し、精神患者を治療している。
    ケーブルのいらない新型、DCミニ(ダイダロス・コレクター)を開発し、ノーベル賞候補となる。
    しかし、造作はDCミニにアクセス不能の機能を与えていなかった為、悪用されてしまう。

    「夢」というキーワードから夢野久作の「ドグラ・マグラ」を連想しました。ドグラ・マグラも精神病患者の精神世界や記憶に関する小説で、同類の不気味さや不思議さを感じます。
    パプリカは現代技術を通して、夢の中に入り込み、精神病の原因を少しづつ探り、治療を施します。
    帯に書いてある「ヤバい方のパプリカ」まではいかないですが、小説はとても官能的な描写が多く、パプリカの心の移ろいも激しいので、道徳や倫理の観念は捨てて読みましょう。性的描写は嫌悪する方もおられるでしょうが、私は大好きです。笑

    続けてアニメのパプリカも観ました。
    人物が少し変わりますが、よくある程度で気になりません。性的な描写は少なめなので、パプリカと敦子のキャラも少しイメージが変わります。
    昔のアニメですが、アニメーションが綺麗でした。
    面白かったですが、私はやはり小説の方が好みです。
    自分の自由な想像力の中で作るイメージを超えるものはありません。

  • 映画『パプリカ』に、原作があることを本屋で知りましたが、読みたい気持ちを後回しにし続けてました。

    登場するキャラクターたちが、躍動感を持ちながら展開していく物語。その一方で、文字から映像に変えることの難しさを肌で感じます。

    夢と現実の区別がつかなくなる展開の話は、例えば『インセプション』という話がありますが、あちらは夢の奥へ奥へと進んでいく物語で、何となく似ている気はしますが、面白さの部分では、こちらとは全く違っていて、どちらも好きだったりします。

    『インセプション』の中に登場する夢の設定は、どちらかといえば、夢の中で建物を作り出すなど、理性的で、『パプリカ』の夢は、精神疾患に関わる話であるからか、感情ベースな点で全く違っていますが、どちらも夢の中で動き回ることができる点では、面白い設定であると思います。

    以下、あらすじ
    精神疾患の治療として、患者の夢の中に入って治療するというアプローチがとられるようになってきた時代。
    その装置を開発した時田浩作と、開発に携わった千葉敦子のおかげで、精神疾患は、少しずつ寛解されるようになっていった。

    しかしながら、時田は別に精神疾患を治療する目的で装置を作ったわけではなく、半ば興味本意で作ったのであり、装置の小型化を目指して改良を続けていた。
    そんな中で生まれた「DCミニ」という装置は、ほぼ完成していたものの、何者かに盗まれてしまう。

    「DCミニ」の奪い合いと、装置に隠された機能と副作用で、多くの人を巻き込んでいく展開に、面白さにどんどん引っ張られていきました。やはりこの作品、映画もすごいですが、原作はその期待を易々と超えてきます。

    ファナティックだとか、そういった難しい単語が散りばめられていて、たまに辞書で意味を引きながら、行きつ戻りつ読み進めていきました。また、物語の後半である第二部は、設定がかなり複雑で、夢なのか現実なのか、読んでいる自分もわからなくなるくらいのジェットコースターに乗っているような展開に驚かされました。

    文庫本を読む際には、ぜひ解説も読まれることをおすすめします。

    いやぁ、筒井康隆さんの作品にハマりそうです。
    次は『家族八景』を読もうかな。

  • 途中からゆめうつつが混じりあい、京極先生の虚実妖怪百物語のような世界に。
    そこまでの過程のほうが面白かったかな。こんなに現実離れしている物語だと思わずに読み始めたので不思議な読後感。

  • 機械を通じて、夢に入り、患者の治療をするの話なんだけど…物語の終盤に向け、段々と現実なのか夢なのか訳が分からなくなってくる。

    筒井康隆は、旅のラゴスとパプリカしか読んだことがないのだが…ありそうで、ないと言う、いや、もしかしたらあり得るのかも知れない話を書くのが上手いなと思った。

    私もパプリカに治療してほしい。笑

  • 面白かった!
    でも世界観が独特すぎて、想像力の乏しい私は、アニメ版を知らなかったら状況を想像するの難しかったかも。

    ・パプリカちょっと尻軽というか、魔性の女というか、、、笑
    ・著者の知識量と創作力に感動。
    ・結局時田が全部悪いだろ!

  • 映画はだいぶ前に観たことあったものの、読んでいるとやっぱりまた観たくなる。
    映画では特に千葉敦子が魅力的で不思議な女であるという印象だったが、実際は結構戸惑っていたり、葛藤しており、容姿の魅力をも武器にしているだけで人間らしい人間だったのだなと印象が変わった。
    敦子が強姦されそうになるも、やむ無しと素直に受け入れることにしたにも関わらず、敦子のことを愛しすぎて不能に陥り、この役立たず!せっかくその気になってやったのに、と怒っているのが面白かった。
    DCミニの欠陥や副産物がたくさん絡んできたのが面白かった。DCミニは使いすぎると睡眠が深くなりすぎてしまい、現実に戻ってくる(目覚める)のが困難になる。また、DCミニを使って他者の夢にダイブ(干渉)することができる。他、副産物としてSFチックだが、夢の中で手にしたものが現実の手元に反映される。

    解説の最後、「読者に覚醒を促しているようにみえるからかもしれない。」というのが好き。
    本編は意味深なやりとりで終わるのが、この解説でストンと落とされたようで良い読後感だった。

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著者プロフィール

小説家

「2017年 『現代作家アーカイヴ2』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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