パプリカ (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
3.60
  • (222)
  • (299)
  • (527)
  • (46)
  • (14)
本棚登録 : 2715
レビュー : 319
  • Amazon.co.jp ・本 (496ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101171401

作品紹介・あらすじ

精神医学研究所に勤める千葉敦子はノーベル賞級の研究者/サイコセラピスト。だが、彼女にはもうひとつの秘密の顔があった。他人の夢とシンクロして無意識界に侵入する夢探偵パプリカ。人格の破壊も可能なほど強力な最新型精神治療テクノロジー「DCミニ」をめぐる争奪戦が刻一刻とテンションを増し、現実と夢が極限まで交錯したその瞬間、物語世界は驚愕の未体験ゾーンに突入する。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 待ちに待った夏休み。プラハに向かう飛行機の中で読了。

    映画版に比べると宗教色が出ている分、乾氏がより思想的。パプリカは色っぽくもあり、蠱惑的な印象。映画だけではクリアにならなかった部分がすっきりした。粉川は原作の方が渋くて好みだなぁ。

    フロイトの夢判断などと並行して読み進めても面白いかもしれない。

  • ちょっと遅くなっちゃたけど、GW期間中に読んだ本のお話。筒井康隆著パプリカ 読了。SF小説の巨匠の名作の一つですよね。

    PT機器という精神病の治療装置を使って精神病患者の夢にジャック・インして治療するサイコセラピスト千葉敦子。ノーベル医学生理学賞候補とも言われている彼女の別の名は「パプリカ」。PT機器が未だ禁制であった時代に別人に扮して、幾多の患者を精神分裂症などの病から救ってきた夢探偵パプリカ。しかしながら、PT機器が世に認められノーベル賞候補にまでなった今となっては、それは既に過ぎ去った過去の姿に過ぎなかった。PT機器を開発した時田浩作と共に精神医学研究所でセラピストとして研究と治療を進める彼女に、とある大手自動車メーカーの重役である能勢龍夫という人物の治療を秘密裏に行うような依頼が来る。夢探偵パプリカの再来である。能勢龍夫の治療で信任を得たパプリカはその後、能勢の友人の警視庁警視監である粉川というこれまた社会的には大変な重人の治療も引き受ける事となる。

    最新のテクノロジーを駆使して、他人の夢とシンクロして無意識界に侵入するという物語の展開にグングン惹きこまれていく。本書は二部構成になっていて、第一部では、能勢、粉川という社会的な重要人物の治療で活躍するパプリカの背後で、精神医学研究所の権力闘争が次第に激化していく。PT機器を開発した時田浩作は、人格の破壊も可能なほどの最新型精神治療テクノロジーである「DCミニ」という装置を開発。時田と千葉のノーベル賞受賞を妬み、研究所の権力闘争を次第に激化させていく副理事長とその一派は「DCミニ」を争奪。事態は刻一刻とテンションを増して第二部へと続いていく。

    第二部では「DCミニ」を装着し、千葉らを必要に攻撃する副理事長の夢の世界から幾多の妖怪変化、魑魅魍魎が現実世界に現れて、物語自体が夢の世界を語っているのか?現実世界の出来事なのか?夢と現実が交錯した摩訶不思議な驚異の物語が展開していく!!

    正直言って第二部はあまりにも現実離れした世界が描かれていて、いささか読み疲れた感もあったが、一見支離滅裂とも思える物語展開を最後にはしっかり終結させていくのは流石だなあと唸らざるを得なかった。筒井康隆の著作ってこれまであまり読んだ事がなかったけど、近いうちに他の著作にも是非ともチャレンジしてみたいものでありますね!!!

    【Dance1988の日記】
    http://d.hatena.ne.jp/Dance1988/20120529

  • 「観たら読む。」

    なーんてことをいいつつ初めてその作品を観たのはいつの事だったのだろうと検索機能に頼ってネット上やmixiの中をうろうろし、ようやくたどりついたこたえは2008年の6月の末というもの。その上映会は59丁目の2 Aveと3 Aveの間にある映画館にて催されていて、今の職場の位置からは歩いていける距離にあり、今でもよくその前は通るのだけれども、もう閉館されてしまって久しい。さらに調べてみるとここの閉館は2014年のことだったらしい。

    この時、監督今敏氏を直接招いてLincoln Centerを中心として割と大きな映画祭が開かれていたわけだが、当時の自分はまだこの街の映画館をあちこち飛び跳ねるアンテナと行動力とを持ちあわせておらず、その映画祭自体の規模には一切気づかないまま知り合いの紹介でたまたまその一箇所に滑り込んでいただけという状況で今監督の生の言葉を聞いていた。

    そんな今監督は2010年に逝ってしまわれた。いろんなことがちょっぴり懐かしくてちょっぴり寂しい。まるで夢のようだ。

    DVD版を観て筒井康隆氏本人のコメントにも触れる機会を得、いつかは原作をと思いながら約8年かかってしまった恰好になった。でもまぁこうして辿りつけたのだから幸せなこととしよう。

    で、もちろんもう一度観たくなる。

    読み進めている間、自分の想像力の中には平沢進の音楽は出てこなかった。この辺も含めてまるっと楽しんでみたい。

  • 映画を観ての原作。
    う~ん。。。同時上映の『東京ゴッドファーザー』のほうがわかりやすかった、と感じた自分なので
    原作は更に難解でした。
    表現として難しくはないのだけれど、なかなか共感まではいたらず。。

    恋愛模様も映画の方から入ったので
    終盤のしっちゃかめっちゃかな感じが。。。
    まぁ、そうなるのが自然な環境なのかもだが。。


    『旅のラゴス』『時をかける少女』と同作者と後で気づいてからは引き出しの多さに驚いたけれど。

    『化物語』新房 昭之監督が凄かったように
    今敏監督で、この人の作品の映像化をもっと観たかった。

  • アニメ化された映画のほうは2007年に映画館で観ました(http://booklog.jp/users/yamaitsu/archives/1/B000O58V8O)いつか原作も読もうと思いつつはや10年、ようやく着手。

    精神医学研究所で働く超絶美人な上に優秀なサイコセラピスト千葉敦子は、夢探偵「パプリカ」としての裏の顔を持つ。ノーベル賞候補にもなるほどのサイコセラピー機器を開発した天才・時田(見た目はオタク)と組んで数々の功績をあげるが、それを良く思わない副理事長一派との研究所内の派閥争いに巻き込まれ、盗まれた開発途中の「DCミニ」を巡って、現実と夢を行き来しながらの激しい戦いが始まる・・・。

    映画では詳しく説明されなかったので勝手に「ドリーム・センサー」あたりの略語かと思っていた「DCミニ」が「ダイダロス・コレクター」の略だったのは意外でした。あともう細かい部分は忘れてしまってるけど、映画はアニメだけに性的な要素や同性愛要素はおそらくかなり排除されていたのだなと。原作のパプリカちゃんは理事長や警視監など3人の知的で地位もあるおじさまを転がし、敵の一派の美青年・小山内にも密かに想いを寄せられ、しかし本人はオタクでデブの時田が大好き、夢の中とはいえわりとサービスよく誰とでも寝てしまうし、そのことにこだわりがない。夢の世界が舞台の話だけに彼女は登場するすべての男性キャラにとってのアニマのようだ。

    とにかく男性登場人物はおじさま又はオタクなのこともあり、唯一の美青年・小山内くんが私はお気に入りでした。ナルシストでキザでインテリで、美形なことがもはやギャグのようになっている上に、副理事長と男同士でデキていて、なおかつ利益のためには女性のみならずオタク男もたぶらかし、なおかつあわよくばパプリカちゃんのこともこましたろうと思ってる両刀使い。もし実写化することがあったらぜひ及川ミッチーにやってほしい(笑)

    現実と混淆し、現実世界に流出してくる夢の世界、現実と夢を行き来して戦う美女、と、エンタメSFとしては文句なしの面白さ。ただ終盤、おじさまたちのいきつけのバーの、ただのバーテンダーとウエイターだと思っていた陣内と玖珂というキャラクターがやや唐突に戦闘に協力して活躍しはじめたので、てっきり作者の別作品の登場人物とかそういうのかと思っていたら、どうやらそうではなかったらしい。映画ではこの二人のキャラクターの声優を監督の今敏と原作者の筒井康隆本人がつとめていたことも含めて、どうもすべてはこの二人の見ていた夢だった、的な読みも可能になっているかのような。確かにパプリカはおじさま及び非イケメン男性に大変優しく、夢を見ている当人が彼らならこの条件に当てはまっているなとも思うけれど。まあそういうの抜きにしても単純に楽しい読み物でした。

  • 筒井康隆にしてはまともな部類に入る作品。もともとアニメ映画を見ていて、ようやっと原作の小説を読んだ。夢と現実が(文字通りの意味で)交錯する厄介な物語ではあるが、叙述的な仕組みを仕掛けることもなく、単純にSFや心理、そしてファンタジーとして読ませる力を持っている。映画を見たことがある人なら、原作と映画が結構違っていることに驚くかもしれないが、改めてあれは原作をうまく用いた良い映画だったのだなあと感じだ。

  • もう何回読んだだろうか。
    筒井作品の中ではかなり好き。
    最近急に映画版を観たくなって、鑑賞後今度は原作が読みたくなって。
    いやあしかし何度読んでもワケがわからない。
    このわけのわからない感じが非常に良い。
    なんだかワケのわからない悪夢を見て目覚めた時のような嫌な気分の心地よさ。
    まあそういう作品。
    そういう作品をそういう風に読ませるというのは実はなかなかできないよなーと。
    前半の秩序的なところから後半のメチャクチャなところになっていくのがもうホント気持ち悪くて心地よい。
    最高である。
    ワケわかんないけど。

  • 独特な世界観に引き込まれた。
    最後の方がちょっと走った感じがあったのでそれが少し残念。
    でもこの世界観は本当に最高。

  • 2014年11月13日読了。
    実は読んでいなかったシリーズ。
    最後のドタバタはちょっと疲れたけども、あの終結につながるというのはすごい。

  • 安部公房の小説を元に作品をつくっていたころ
    イメージの羅列…といったあたりのつながりからアニメの方を先にみて
    今回、それから7年越しくらいに原作を初めて読んだ。

    アニメの方はシーンごとのイメージは強烈に覚えていたのだけれど
    ストーリーはあまり覚えていなくて、こんな話だっけ?と思いながら読んだ。

    秩序のある組み立ての物語が後半に進むにつれて崩れていく感じは
    だんだん夢の世界へ入っていく感覚をそのまま味わうようで
    最後、目覚めてまだその夢の余韻が残っているような感覚まで
    小説の作り方が実に巧み、という印象。

    夢が現実と交錯し始めるあたりは、今読むと、個人個人の頭の中にあるものが垂れ流しにできるネットの世界と現実が交錯し得る現在、気付かない間にまさしくこの状態になってるんじゃないかと思ったり…
    でも、この小説の初出は1991年、それを思うと
    物語の最後に、事の発端となったDCミニという人の夢を共有できる機械を作った時田が「皆が発狂していたんだ。最初から。ぼくも含めて皆が」というセリフは何と示唆的なことか。

    そもそも、夢日記をつけることがある、という話をした時に
    知り合いに言われた「あまり夢のことばかり考えると狂うよ」
    という言葉と、その時に筒井康隆の名前が会話の中で出たことが
    今回これを読もうと思ったきっかけになったんだったが
    やっぱり頭の中にあるものが生のまま見えすぎると狂っちゃうのかな。

全319件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

筒井 康隆(つつい やすたか)
1934年大阪市生まれ。日本を代表するSF作家の一人と目され、小松左京、星新一と並び「SF御三家」と称されることもある。
1981年『虚人たち』で泉鏡花文学賞、1987年『夢の木坂分岐点』で谷崎潤一郎賞、1989年「ヨッパ谷への降下」で川端康成文学賞、1992年『朝のガスパール』で日本SF大賞をそれぞれ受賞。1993年に断筆宣言を行ったことは大きな話題になった。1996年断筆解除後には、2000年『わたしのグランパ』で読売文学賞、2010年に第58回菊池寛賞、2017年毎日芸術賞をそれぞれ受賞。2002年には紫綬褒章も受章している。
代表作のひとつ『時をかける少女』は度々映画化、アニメ化され、多くの読者に愛される。ほか『日本以外全部沈没』、『文学部唯野教授』、『旅のラゴス』、『残像に口紅を』などは機会あるごとに話題となり、読み返されてきた。

パプリカ (新潮文庫)のその他の作品

パプリカ 単行本 パプリカ 筒井康隆
パプリカ (新潮文庫) Kindle版 パプリカ (新潮文庫) 筒井康隆
パプリカ (中公文庫) 文庫 パプリカ (中公文庫) 筒井康隆

筒井康隆の作品

パプリカ (新潮文庫)を本棚に登録しているひと

ツイートする