ダンシング・ヴァニティ (新潮文庫)

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  • 新潮社 (2010年12月24日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (352ページ) / ISBN・EAN: 9784101171524

みんなの感想まとめ

独特な反復技法によって織り成される物語が、奇妙な錯乱の世界を描き出しています。主人公は、喧嘩が絶えない日常の中で、死んだはずの家族が現れるという不思議な体験を通じて、文学の新たな可能性を模索します。物...

感想・レビュー・書評

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  • クリストファー・ノーランが映画化してくれないか

  • 2019/8/20購入

  • 特異な物語展開のその自在というか奔放・・反復展開され変幻する物語世界(振幅)に惹きこまれた。正直途中退屈を感じることも多少あったけれど(失礼)。作家が誇示する小説の技量(語る力)、それは大した力業なのだがその強引さにどこまでつきあっていけるか?・・一方作家は読み手に対しそれをたくらんでいる?文学誌(「新潮」)に掲載された本作はそんな実験性に富むものでエンタメであるが読む人を選ぶ作品かと思う。著者の愛読者であっても好き嫌い(あるいは関心の強弱)が分かれるのでは?(そのところ『虚人たち』と似ているかも)。

  • それまでの話を繰り返すのかと思いきや、繰り返した話はそれより前とは少し異なる話になり、また前に戻って繰り返すのだが、またまた少し違う、を繰り返して話が進む。
    まともな作家には、こういう形式で小説を書くという発想はないだろう。巨匠?ならではの作品と言うべきか。若手の作家だったら発表することすら無理でしょうね。形式だけでなく話の内容もぶっ飛んでるので、どう評価していいのか私にはわからない。
    ひとつだけ思ったのは、映像で見てみたいということ。読み始めて数ページで読むのが面倒になってしまったのも一因だが、映像で見たらおもしろいんじゃないかと。

  • 誰かが家の前で喧嘩をしている。
    場面が繰り返し繰り返し繰り返されると思いきや全然知らない場所にやってきていて
    そしてまた繰り返す。
    目まぐるしく変わらない状況と台詞回しで
    誰かが家の前で喧嘩をしている。
    ノンストップな幻想、妄想、虚構的シュール。
    そして喪失。
    踊り続ける虚栄。
    喪うことが人生だ。
    そのことを噛み締めながら。
    思い出を反復しながら。

  • 楽しみ方がいまいちわからなかった…。少し異なる同じシーンを繰り返しながら、少しずつストーリーが進行していく。解説に「音楽と同じようなメロディーの繰り返し」とあって、なるほどなぁ、と思ったけど、うーん、難しい。

  •  本作は文学的実験である。しかし同時に娯楽小説でもある。実験の主たる手法は反復。
     「おれ」は美術評論家で、母親と妻、幼い娘、出戻りの妹とその娘と先祖代々の家に住んでいる。ストーリーは「おれ」の本が売れたり家を建てたり画家と付き合ったりという美術評論家の日常であるが……
     「ねえ。誰かが家の前で喧嘩してるよ」と妹が言いにくる。とばっちりを受けたら大変と家族を奥の部屋に避難させ、「おれ」は二階の窓から様子をうかがう。すると家の前ではやくざと大学生が喧嘩している。喧嘩がエスカレートして死人が出たところで、再び「ねえ。誰かが家の前で喧嘩してるよ」。とばっちりを受けたら大変と家族を奥の部屋に避難させ、「おれ」は二階の窓から様子をうかがう。すると家の前ではやくざの抗争だ。ついにパトカーが来ると、再び「ねえ。誰かが家の前で喧嘩してるよ」。とばっちりを受けたら大変と家族を奥の部屋に避難させ、「おれ」は二階の窓から様子をうかがう。すると家の前では下っ端相撲取りが喧嘩している。喧嘩がエスカレートして死人が出たところで、ようやくループから抜け出して次の展開に進む。
     といった具合。反復というのは音楽では古来当たり前の技法だった。ソナタ形式では提示部を反復する。というのは主題をすぐには覚えられないからである。展開部で主題は様々に変化を施され再現部で再びもとの主題がもとの形で戻ってくる。現代の芸術でも美術ではミニマル・アートがあるし音楽でもミニマル・ミュージックがある。ただ、本書でなされている反復はクラシック音楽的なものではなく、ジャズのアドリヴの意匠のようにも思える。演劇でも反復の技法があるし、反復のないダンスなんてあり得ない。ところが文学では反復というのは忌避されるだけだった。この「反復」については『創作の極意と掟』のなかで入念に解説されていて、先頃映画化された『All You Need Is Kill』などゲーム小説への言及もある。
     作品ではこの反復自体が魔術的リアリズムとして機能する。さらに死んだ父は思い出の父として平気で作中に登場するし、幼くして交通事故で亡くなった長男も思い出の中で成長して成人となって登場する。これも繰り返し登場するという「反復」でもある。浮世絵の始祖といわれる岩佐又兵衛のことを調べるために彼の住んでいたあたりに直接行ってみようと思い立てばそのまま万治三年の江戸に行ってしまう。
     表紙のフクロウは要所要所で顔を出す、これも反復のひとつの形態である。バーニーガールは表紙には2人しか書いてないが10人ほどいるコロスで途中で出てくる(あるいはこの2人は歌手になった「おれ」の姪と娘かも知れないが)。古代ギリシャ劇のコロスつまりコーラスの語源となったものである。舞台に上がって状況を説明をしたり注釈したり観客に語りかける。これを普通の小説的の記述の中でやってしまうのだ。コロスもまた反復のひとつの技法である。
     反復のリズムがギャグを生むこともあるし夢と現実の混淆を生み出しもする。しかしこの反復の律動に身を委ねていると、ああ人生ってつまらない繰り返しだなあなどといった想念も頭に浮かんでくる。ヴァニティとは、空虚、むなしさ、無意味といった意味で、転じて虚栄心の意味もある。踊る空虚。

  • 明晰夢をひたすら言語化するスキルとバイタリティ。伊集院光が言うところの「脳汁を垂れ流す」状態か。「音楽」「フクロウ」とくれば、ツイン・ピークスも思い出す。

  • こ……これは。
    『夢の木坂分岐点』のあとにピッタリのチョイス。
    自分の読書力が高いとかではなく、これは読者を選ぶ小説だなぁ。ツツイファンでもしんどいと思う人がいるかもしらんが、反復によって光るギャクもあり、非常に面白く読めた。
    さっそく友人にすすめたが、「分裂症を誘発するやばい文章」とうまいことを言っていた。

  • 冒頭から初期の短篇 「しゃっくり」 を思わせる時間の反復で始まり、 おい、 これいつまで続くんだよと、 半ば呆れながら読み進めていくと、 いきなりの鮮やかな場面転換が。時間と空間、 過去と現在を自在に行き来し、まるで夢を見ているときのような、 あの脈絡は無いのに妙に生々しい感覚を味わわせてくれる作品。筒井ヴァージンは手を出さないほうが良いかもしれぬ。

  • 反復する手法が実験的に面白い。
    話として面白いかというとまたそれは別です。
    反復する方向性は決まっていて、繰り返されると必ず筒井氏らしいナンセンス世界になっていく。その逆はない。コピペを繰り返されるとだんだんオリジナルの精密さが無くなるという表現なのかもしれない。
    ネット世界のコピペはそのままの同一性を保つので、この場合のコピーは複写機的な感じ。そこにちょっと人間味を感じます。

  • まさに吃りの小説。何度も何度も同じ文章が繰り返されるが、繰り返される度に少しずつ主人公の心情やら他人に対する印象やらで新しい情報が盛り込まれ、徐々に描かれている状況が理解できるようになるような気がする。

    繰り返されて来たエピソードたちが一堂に会す瞬間は、不思議なカタルシスがある。

    白いフクロウや兵隊、匍匐前進や鳥の羽ばたく姿など、多分に示唆的なキーワードが多く出てくる。「夢」というキーワードも重要。それらを丁寧に紐解くことはとても興味深いのだと思う。読み進めながらだと、同じ言葉の繰り返しでだんだん頭がボーッとしてくるので、あまり考えられなかった。

    同じ文章をひたすら読むという行為に途中かなり辟易したが、それでも最後には「この小説は人生そのものを描いているのだ」と思わせるのは(解説込みで)さすが筒井康隆と言ったところ。物語として面白いかと聞かれると、返答に困る作品。

  • 先の読めない「コピー&ペースト」手法が面白い。
    ドタバタ感が筒井作品らしくて好み。繰り返される文章がくせになる。

  • 2012.2.26(日)¥250。
    2012.5.4(金)。

  • ジャズ小説×文学部唯野教授×夢の木坂分岐点×その他モロモロの筒井作品(○ ○! 混乱しそうだけど、文章のリズムがいいから、それにうまく乗っかるとスラスラ読める。

  • 20111126読了。

  • なかなか難しかった。
    何度と無く繰り返される同じような場面に目がくらむ。
    夢の中なのか現実か、はたまた精神を病んだ人の心の中なのか。

  • ある男の半生。
    どこまでが夢でどこからが現実なのか。
    将又最初から全部夢なのか。夢など見ていないのか。

    怒濤のコピー&ペーストは、日常生活そのものの比喩なのかと思ったり。
    転がり続ける人生は、一体どこへ向かうのか。

  • 久々の筒井長編。やっつけるのにかなり手間取った。似たような夢を見るが細部が違っているような感じ。それが現実と混ざり混沌を織りなす。

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著者プロフィール

筒井康隆……作家、俳優。1934(昭和9)年、大阪市生まれ。同志社大学卒。1960年、弟3人とSF同人誌〈NULL〉を創刊。この雑誌が江戸川乱歩に認められ「お助け」が〈宝石〉に転載される。1965年、処女作品集『東海道戦争』を刊行。1981年、『虚人たち』で泉鏡花文学賞、1987年、『夢の木坂分岐点』で谷崎潤一郎賞、1989(平成元)年、「ヨッパ谷への降下」で川端康成文学賞、1992年、『朝のガスパール』で日本SF大賞をそれぞれ受賞。1997年、パゾリーニ賞受賞。他に『家族八景』『邪眼鳥』『敵』『銀齢の果て』『ダンシング・ヴァニティ』など著書多数。1996年12月、3年3カ月に及んだ断筆を解除。2000年、『わたしのグランパ』で読売文学賞を受賞。

「2024年 『三丁目が戦争です』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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