影武者徳川家康(上) (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (640ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101174150

感想・レビュー・書評

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  • 関ヶ原の合戦にて、忍によって暗殺されてしまった家康、家康の死が広まると軍全体の指揮が下がり戦の勝敗に影響する。

    徳川陣営は苦肉の策として影武者・世良田二郎三郎を"家康"として扱うことに決める…(ここまで書くと三谷幸喜さん脚本ならコメディでもいけるかもと思いたくなるような内容ですが)

    この二郎三郎、ただの影武者では無かった…家康の兵法、思考法を身につけたとてつもない兵(つわもの)だった…
    戦況の先をよみ武将達の更に上をゆく姿に血が湧きました。

    この男は何者か?という二郎三郎の放浪時代の振り返り(色々普通じゃない事件を起こしてる)つつ、家康として生きることになってからの数々の危機を掻い潜る様が描かれる。
    また"本物の家康を討ち取った忍"の六郎のパートも面白い。忍者の闘い方が描かれて最後まで飽きさせない。

    全くのフィクションかと思いきや、不可解な史実につなげてくるあたりが素晴らしくワクワクさせてくれる。

    物語は二郎三郎たい本物の家康の実子・秀忠との攻防へ

    話を進める上で別の目的があるのかわからないけど、「え、それで斬っちゃうのならこれまでの作戦なんだったの!?」みたいなツッコミどころもあった。この先の展開でその理由がわかるのかどうかも楽しみ。

    久しぶりの時代モノで、かなり家臣の名前や地名が馴染まず苦労しましたが、だいたいキャラ立ちしてるヤツを追ってけばなんとか読めるようになってきます。

  • 読んだのは漫画が先だった。その後、本書を手に取って読み始めましたが、睡眠時間を削って読み進めてました。天下人を演じ続ける羽目になった二郎三郎。影武者としての究極の務めを果たすうちに、いつしか本物の天下人となりつつも、最後のその時まで二郎三郎だった。もしこれが史実であれば、家康人気は今の比ではないだろうね。
    流石です、隆慶一郎氏。

  • 私に歴史小説の面白さを教えてくれた本です。
    タイトルの通り、家康の影武者が主人公です。
    本物の家康は冒頭でいきなり死んでしまい、家康として生きることになった影武者が大活躍する話です。
    どちらかというとトンデモ本の類かもしれませんが、登場人物がとにかく皆格好いい。
    上中下3冊と決して短くはありませんが、ページをめくる手が止まらなくなります。
    歴史を知らない人でも絶対楽しめるオススメ本です。(hiroyukiさん)

  • うーん、凄い。唸らされる名作でした。
    「実は、関が原の戦いで家康は殺されていて、そこから先の家康は影武者が成り代わっていた」という、(トンデモ)設定。それを、これでもかとリアルっぽさを出して見事に納得させる描き方をしているのは、著者の文献に当たる苦労と構成力が花開いたもの。
    かつ、登場人物も展開も意表をつくもので面白く、加えて、自分自身の行動様式を何とはなしに振り返させられる(特に対秀忠のくだり/こういう要素、意外と大事だと思うのです)というプラスアルファもあり、自分が読んでいなかった名作がまだある喜びと、早く読んでおきたかった悔恨がないまぜになりました。

    時の権力者、もし影武者が成り代わるとなったとしたら…という仮定が綿密にストーリーに盛り込まれ、かつそれを史実とも織り交ぜることで「史実でも家康は影武者だったのでは…?」と読者を錯覚させる筆力。
    それだけではなく、駆け引きや戦いの先の先まで読む力や、時折登場人物が魅せる義侠心。読んでいてとにかくグッと来るというか、ため息が出る素晴らしさでした。

    上中下巻の超大作ですが、読む価値は間違いなくあると思います。

  • ここ1年で読んだ本の中で一番良かった。感動して、余韻がジンジンと響いている。
    本書は、徳川家康の影武者を務めた次郎三郎が主人公の歴史小説である。影武者は本人に似せるべく、何年も本人と一緒に暮らし、外見だけでなく、話し方、声、考え方、筆跡まで本人になり切れるよう訓練するのだ。
    関ヶ原の戦いで不運にも戦死してしまった家康に替わり、影武者の次郎三郎が本人に成りすまして世の中を治めていく。家康の実子で親孝行を演じる秀忠との裏の戦いが十年以上も続く。早く将軍の地位を得たい秀忠にとって、大阪城に居る秀吉の息子の秀頼とその母淀君も邪魔な存在である。次郎三郎は、箱根山を根拠とする風魔という忍者一族、関ヶ原で敵方のブレーンを務めた島左近、左近に雇われる忍者の六郎、家康の側室の梶の方とともに、秀忠と戦う。が、こう書くほど単純な展開ではない。著者の隆氏は徹底的に文献を調べ上げており、とにかく有無を言わせぬリアリティで迫力がすごい。
    私の稚拙な書評では本書の魅力は全く伝えきれず歯がゆい。冒頭から引き込まれ、駆け引きに緊張しながら読み進める過程は興奮の連続であった。最後は感極まって泣けて仕方なかった。
    司馬遼太郎氏の「関ヶ原」も忘れることが出来ない名著である。本書はその関ヶ原の戦い以降、徳川家による江戸時代がどう始まったか、という部分である。
    こういう本を書ける人がいたことがありがたい。未読の人には、是非勧めたい歴史小説である。

  • 読み返したいと思う本って、今まであんまりなかったけど。これはまたいつか読む!と思うぐらい面白かった。

  • 徳川家康が関ヶ原の緒戦で暗殺され、影武者が家康に成り代わって軍を率い、ついに泰平の世を実現してしまう、という設定の時代小説。

    影武者である世良田二郎三郎が家康の死をほぼ誰にも知らせずに関ケ原を戦い抜いた(戦い抜けた)理由と根拠、その後も家康本人として振る舞っていかざるを得なかった理由、家康の周りの人物たちがその事実を知ってもなお世良田二郎三郎を家康として扱い続けた理由、そのどれもがちゃんと現実味をもって描かれているため、史実でも実はこのタイミングで家康と影武者とが入れ替わっているのではないか?と疑ってしまうほど、よくできた作品。作者の文献調査が綿密にされているからこそ、このストーリーに説得力が増しているのだと感じられる。

    ついでながら、側室との閨事(セックス事情)についてもうまく創作をしている。女性たちの心理を細やかに描くことで、家康ではない影武者を受け入れてセックスをするという、普通では土台無理だと思われることをそれなりに納得できる形に仕立てている。これもまた、小説家としての著者の空想力とそれを文字に起こす技量によるものである。

    上巻は関ヶ原から家康(影武者)が征夷大将軍になるまで。上・中・下巻合わせて1,600ページ近くの大著だが、読むのがやめられないぐらい面白い。
    歴史小説が好きなら、ぜひ手に取ってみることをお勧めする。

  • 関ヶ原の闘いの序盤、徳川家康が武田の忍びに暗殺される。家康に代わり采配を揮った影武者・世良田二郎三郎は闘いに勝利を収めるが…

    家康は影武者だったという奇抜な発想を上手く史実の中で生かしながら、数奇な運命に翻弄されつつ逞しく生きる世良田二郎三郎が非常に魅力的に映る。武田忍、柳生、風魔忍の闘いも面白い。

  • 何度読み直しても色褪せず飽きない良作。

  • 面白い!
    厚い本なのに引き込まれてどんどん読めました。現代での例えがあったり、著者の考えが書かれていたり人物に感情移入しやすくて読みやすかった。中巻、下巻も楽しみです。

  • もし家康が関ケ原の緒戦に暗殺されていたら? タイトルを受けた設定かと思って読み始めたが、途中から史料を引用して著者の考察を示す書きぶりに、単なる時代小説ではない雰囲気を感じた。二郎三郎が「道々の者」として一向一揆に従軍した回想も面白かった。上巻を読むと、織田信長も徳川秀忠も悪人に見えてくる。徳川家存続のため、家康の影武者であることをひた隠しにしなければならない立場を生かした二郎三郎の生き残り戦略が、だんだんはまっていく様が痛快!

  • <上中下3巻を通してのレビュー>

    家康の意思を継ぎ、そして自分の目指すものを打ち立てるために、島左近を軍師に風魔一族との連携プレーで対:秀忠/裏柳生との権力闘争。その中で次郎三郎が目指したものは何だったのか。15年間もの間、家康として颯爽と生き抜いた影武者の苦闘を描く。


    関が原の合戦中に東軍の総大将、徳川家康が暗殺され、かねてより家康の影武者だった世良田次郎三郎が代わりに指揮をとる。
    が、この影武者が只者ではない「いくさ人」であり、見事に関が原の戦いを勝利に導き、その後の徳川政権樹立のために並外れた知力を発揮する。

    細かな複線がはりめぐらせており、「ありうるかも・・・」と思わせ、ワクワクさせてくれる歴史小説。
    忍同士の凄惨な陰の戦いにおいても、その他の登場人物設定においても無理がない作品。
    久しぶりにワクワクしながら堪能した1作です。

  • 面白い。
    設定が良い。本当にあったんじゃないかと思ってしまう。影武者の次郎三郎、忍びの六郎が魅力的。
    忍びの場面が素晴らしい。
    時代劇ドラマで観たい。

  • ★影武者二郎三郎は「道々の者」である。誰とでも飾らずにオープンに話すことができる。それでいて大胆な知略家である。

    ★島左近も甲斐の六郎も、男たちが爽やかでカッコいい。

  • 評価は5.

    内容(BOOKデーターベース)
    慶長五年関ヶ原。家康は島左近配下の武田忍びに暗殺された!家康の死が洩れると士気に影響する。このいくさに敗れては徳川家による天下統一もない。徳川陣営は苦肉の策として、影武者・世良田二郎三郎を家康に仕立てた。しかし、この影武者、只者ではなかった。かつて一向一揆で信長を射った「いくさ人」であり、十年の影武者生活で家康の兵法や思考法まで身につけていたのだ…。

  • 著者の名前とこの本の噂は、発表当時から聞いていた。
    面白いとは聞いていたが、文句なしに面白い。

    先の展開がまったく読めない。
    こういう本は久しぶりだ。

  •  関ケ原合戦で家康は暗殺された。跡を継ぐのは影武者。
     荒唐無稽とも思える題材を見事に料理し、手に汗握る権謀術数の限り、血沸き肉踊る忍び合戦など歴史小説の醍醐味を存分に味わわせてくれる。
     特に、「お梶の方」「おふう」等女性陣も素敵な描かれ方をしている。また、所々にある文献引用が、フィクションなのに、さも史実であるかのように見せるのも巧み。
     中・下巻が楽しみ。

  • 正直、家康の正史をまともに読んだことが無いんで、入り口間違えちゃった感はありつつ。でも、家康を影武者扱いしていること以外、概ね史実に則った物語ぽいし、そういう設定にすることで良い具合に緊張感も生まれているから、楽しく読み進めることが出来ます。考え始めたらキリがないけど、写真も無くて本人確認の仕様もない時代、入れ替わりなんて結構出来ちゃいそうですよね。いかにバレないようにするかとか、戦略とは違ったところで知恵をめぐらさないといけなかったり、そういう面白さもあって、ここからの展開も興味深いです。

  • 何度目かの再読。

    何度読んでも爽快感、熱い読後感を得られる安定本。
    どのキャラクターにも魅力がある。
    何度も凹まされる秀忠&柳生コンビも例外でない。

    この作者の描く女性像はまさに理想中の理想。

  • これって勿論フィクションですよね? もしかして本当に影武者だったのかも… と思わせるほどのリアルさです。 面白いのだけれど、なかなか進まないページ。人名、地名、歴史検証など、漢字や字数が多いです。それでも読ませてしまうとは、評判通りの面白さ。人物も魅力的でワクワクします。影武者家康と秀忠の闘い、続きが楽しみです。

  • 徳川家康は、関ヶ原合戦の開始直前に暗殺されていた、という奇想天外な設定。家康の影武者、世良田二郎三郎が、家康の代役として見事合戦を制し、その後の徳川幕府の礎を築いたが、その裏では秀忠と二郎三郎の暗闘が繰り広げられていた。秀忠は小心かつ陰湿な人物として、謀臣本多正信が思慮深い忠義者としてそれぞれ描かれている。史実とうまく符号しているところもリアル。

  • 関ケ原の合戦を前にして、まさかの事件が・・・
    完全なる架空の話ではなく、丹念に史書にあたった結果の物語。
    ついつい、読み進めるペースが速くなってしまった。

  • 歴史の考証についての記載も多々あり、これが本当の歴史なのではないかと感じられる
    真実は藪の中という感じではあるし、明らかにならないからこそロマンがあるという事もあるので、そこはそれで良い訳だが、とにかく面白い作品

  • 自由平和な世を願い、15年間を家康として颯爽と生き抜いた影武者の苦闘を描く渾身の時代長編。(上・中・下巻)

    ***

    ものすごく面白かった!

    歴史には詳しくないけど、漠然と徳川家康ってあまり好きじゃなかったんだけど、徳川家康が好きになった。
    徳川家康というよりも、二郎三郎が好きになったんだろうけど・・・(笑)

  • 好きです!
    強くて賢い男は♪
    学歴じゃないって!!

  • 山岡荘八の徳川家康とセットで読むとなお最高です。お勧め。

  • 少し冗長な感じもするが、徐々にはまってきた。

  • 真実なのかは定かではないが、内容がとても面白く、読みふけってしまう

  • 家康yearにふさわしい
    関ヶ原で替玉家康になった二郎三郎の話なんだけど妙に説得力があって面白かった。
    ほとんど忍者小説な気もする。そして秀忠が嫌な奴すぎる。その秀忠の先手をいく二郎三郎が痛快。

  • 関ヶ原から、征夷大将軍拝命まで。

    今もって私にとって、隆慶一郎を超える小説家はいない。
    史実をもとに、新たな解釈を加え、圧倒的な筆致でぐいぐい迫る。
    他の作家の、似たような小説もいくつか読んだが、いかんせん物足りないのだ。

    何度読み直したかわからない。

    分量といい、完結したことも含めて、代表作の筆頭にあげて良いと思う。

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