死ぬことと見つけたり(上) (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
4.08
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感想 : 98
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  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101174181

感想・レビュー・書評

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  • 「葉隠」を題材とした未完の作。隆慶一郎の作品の中でこれが一番好き。

  • 高校生の頃に初めて隆慶一郎に出会い何作目かで呼んだ記憶がある。確か大学時代だったろうか。そしてこの本が自分のオールタイムベストになった。

    正直なところ未完だったので最後の方で読んだのだろうと思う。10代、20代、30代と読でいるがその時の状況によって味わいが変わっている。5回以上は読んでいる。

    10代・・・主人公に圧倒されその世界に魅了された。

    20代・・・社会人になり組織で働くことを知り駆け引きや人間性に感じ入った。

    30代・・・勤めて10年近くになり物語の背景や作者の人間性から小説から何かを得よう(具体的には元気)と考えた。

    今回は30代なわけだが気分転換と自分らしさを取り戻すためにこの本を選んだ。

  • 「武士道と云ふは死ぬ事と見付けたり」
    江戸時代初期、佐賀は鍋島武士の価値観・生き様を描いた時代小説。

    共感できるかはともかく、色んな価値観があるということを理解しておくことは人の行動を理解する上で大切である。
    戦国大名の戦略とか人間関係ってけっこう現代にも通ずるものがあり、示唆に富んでいる。

  • 鍋島家に仕えた葉隠れ武士の話。途中で物語が終わるものの、隆慶一郎作品で一番面白い。主人公斉藤杢之助のさわやかさ、かっこよさはもちろん、周りのキャラクターも最高である。
    常に死ぬことを覚悟し、毎日を生きることで、自分の信念を貫く姿は、何度読んでも面白い。
    同著者は、”一夢庵風流記”が原作である”花の慶次”で有名であるが、原作も面白いが、この死ぬこととみつけたりの方が私はすきである。
    歴史好き、またヒーローもの好きには読んでほしい一冊である。

  • 伝奇色なし

  • 好きなバンドの人の愛読書だったので何となく読んでみたが想像以上によかった。死人になる、死を意識して生きることは常人には不可能な事だけれど、生死とか関係なく自分に出来る限りの最善を尽くす心がけは忘れないようにしようと思った。

  • 2010/12/24完讀

    (399page)

  • どのような卑怯をも決して許さぬ社会、武士が武士たり得た社会、命など己が名誉に比ぶれば何の価値も持たなかった社会がかつてあった。江戸時代、佐賀鍋島藩である。佐賀鍋島藩の浪人、斎藤杢之助がこの物語の主人公である。

    葉隠において「常住死身」(じょうじゅう・しにみ)という言葉は重要な概念である。いつでも死んでみせるという覚悟、それはたとえその死が犬死であっても構わないということともとれる。しかし、考えてみると犬死という言葉には価値観が含まれている。無駄な死、死に損という損得勘定、謂わば計算がそこにはある。しかし、葉隠のいう「常住死身」とはいざというときに死んでみせるという覚悟ではなくて、いつだって死んでいるという覚悟をさしている。すでに死人(しびと)であるのだから、その死に意味など必要ないのである。犬死にであろうが、甲斐ある死であろうが、その時がくれば死ぬのである。であるから、死ぬかも知れない状況であっても行動をためらわない。つまり、どう行動すべきかを選択する要素は、生死に非ず、損得に非ず、そうすることが正しいかどうかなのだ。「常に己の生死にかかわらず正しい決断をせよ」、これがこの物語の主人公・斎藤杢之助の行動原理である。この純粋な基本概念が杢之助の原点であり到達点でもある。

    葉隠にはもうひとつ「忍恋」という概念がある。簡単にいってしまえば永遠の片思いである。相手にこちらの恋心を悟らせず、相手に恋心の負担を感じさせないという恋こそが究極だというのである。主人公・杢之助は「常住死身」であることを会得した「死人」であるから、一切の事象に動ずることは無いが、そんな杢之助が唯一動じたのが想いを寄せる愛殿が家に来たときだけというのが何とも良い。

  • 二度目である。葉隠れ武士の生きざまにあきれ、憧れる。恐れても仕方のない死というものに、ここまであっけらかんと向き合うことが出来たら、何よりも強い。面白いし、救われる。一度読んでいるのに下巻が楽しみだ。

  • 20100822

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