- Amazon.co.jp ・本 (273ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101176161
感想・レビュー・書評
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主人公のどうしようもない姿が逆にリアルだった。
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衿子のもとに何度も無言電話がかかってくるようになり、彼女は風間の妻がしているにちがいないと疑心暗鬼を募らせます。そして、これまで彼の浮気に対して決定的な態度をとることを避けていた妻も、直接衿子に夫と別れるようにせまり、いよいよ風間は苦境に立たされます。
それにもかかわらず、風間は家庭も愛人もうしないたくないと、いっこうに態度をあらためることなく、狼狽しながら両者のあいだで行ったり来たりをくり返します。一方の衿子も、風間と別れることができず、気持ちの振幅がしだいに大きくなりながらも、彼女と別れたくないという風間から決定的に離れることができません。
けっきょく、最後まで物語に大きな転回はもたらされることなく、三人ともぐずぐずと煮え切らない態度に終始して、結末を迎えることになります。
「解説」で秋山駿が、「この男女関係の縺れの背後にあるものは、夫の孤独であり、愛人の孤独であり、妻の孤独である」と述べています。その通りではあると思うのですが、そうした孤独はどこにでもあるようなもので、上下巻計500頁超の小説のテーマにするほどのことか、という気がしてしまいます。 -
どっちつかずで煮え切らない男・風野と、妻の座を奪おうとするわがままで勝気な愛人・衿子。
。仲良く旅行していてもすぐに妻と比べて機嫌を損ねる衿子。衿子の機嫌をうかがうあまり、いつも下手に出る風野。ずっと痴話げんかの繰り返しで、読んでいる間中、二人の態度にいらいらした。
作者は何を表現したかったのか考えてみると、きっとこの作品は、世の男性が安定した家庭を持っているときには不安定な婚外恋愛にのめりこみ、家庭が不安定なときには安定するように努める、それが男の本能、ということを言いたかったのではなかろうか。
当時は男だけの話だったが、女も働きに出るようになり、男女ともに当てはまる作品かもしれない。 -
!?
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上巻に感想記載