コンスタンティノープルの陥落 (新潮文庫)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101181035

感想・レビュー・書評

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  •  15世紀後半の東ローマ帝国とオスマントルコ帝国の攻防を描いた本。日本人にはあまり馴染みのない時代、場所なのですが、読み出すとぐいぐい引き込まれてしまいます。東ローマ帝国皇帝、オスマントルコ皇帝、ヴェネチア、フィレンツェ、ローマの商人や医師、軍人や枢機卿、市井の人々などさまざまな国、立場、階層の人々が登場し、それぞれのストーリーが最後のクライマックスで終結。手に汗にぎる、ドキドキ感が味わえる一大歴史絵巻です。コンスタンティノープル(イスタンブール)や地中海地方の旅のおともにぜひ。

    • reiko510さん
      何年に一度か読み返しては、一度は行ってみたいな~、という気分になります。
      何年に一度か読み返しては、一度は行ってみたいな~、という気分になります。
      2011/07/01
  • 人みなコンスタンティノープルへ
    絶望的な状況の中でイタリア人達はコンスタンティノープルへ少数ながらも入る。
    それは海洋国家というか島国の域を出ない日本人にはイマイチ分かりにくい感覚でしょう

  • どきどきする。
    こんなに登場人物に接近して緊迫感を書ききる作家の創造力(想像力と表現力という意味で)に感歎します。

  • 自らはきっと手に取らない種類の歴史小説。時代的にも、地理的にも興味の対象にならないところなのだけれど、訳あって、読んでみることに。毎度のことながら、最初、登場人物に親しむまでに時間がかかり、付箋まで投入して読み進め始めたものの、物語が動き始めると、面白くて、自然に人物たちが形作られ、立場もわかって面白かったです。トルコ軍が巨大帝国になる礎となった戦いなのですよね。史実にあることの小説化にあたり、塩野さんはそうとう資料を当たられたとお見受けします。戦いの様子、状況の変化が刻々とわかり、後半は一気に読んでしまいました。

  • (イタリアルネサンスの原本)
    塩野七生氏の著作は「国家の経営」がテーマ
    イタリア・ローマの歴史を描きながら、その目は「日本の国家経営=政治」がより良くなるようにとの未来へ向けられている
    コロナ禍にあって日本の国家経営が厳しく問われている
    単なる批判ではなく、より良くする英知を集めよ

    歴史は人物の評価を一変させる力を持っている
    コンスタンティノープルの陥落は
    マホメット二世を英雄に変えた

    最後の皇帝は高貴
    人は己以外の者のために、死を受け入れる覚悟が必要

    ベネチアのガバナンス
    国政を担う「貴族」 政治の権利と国難に向かう義務

  • Netflixでオスマン帝国を観て興味を持ち、文字でも読みたくてこちらを。世界史に疎い自分もこれは小説のようで楽々読み進められた。(国名や人名などの表記が若干異なるので少々戸惑ったがすぐ慣れた)

    軍医、商人、側近、小姓、留学生、それぞれの視点からコンスタンティノープルが落ちていく様子を詳細に記録している。

    歴史的な転換点となった出来事の中身もかなりドラマティック。単純に、オスマン帝国のマホメッド2世がビザンチン帝国の都・コンスタンティノープルを手にする物語と一言では言えないような、登場人物全員に敬意を払いたくなるような、そんな感じ。

    本当に登場人物全員に感情移入してしまう。なかでもビザンチン帝国のコンスタンティヌス11世。建国から1,100年の歴史、歴代の偉人たちの想いを背負って(重すぎるよ!!!)、運命を受け入れる覚悟を決める場面が泣けてくる。人格者な彼についていく側近がいるのも分かる。カリスマ性があるし。散り方が潔く美しい。武士みたい。

    それぞれの立場で役割を全うした全員に拍手。こうやって歴史は語り継がれるのね〜と分かった本。

  • コンスタンティノープル陥落というと、マホメッド2世の勝利物語というイメージでしたが、これを読んでから、コンスタンティヌス11世と当時のヴェネツィア共和国により興味を持ちました。陥落後の主人公たちの人生に、ある程度のページが割かれていて、より悲哀が増し、作品を美しく魅せています。
    イスタンブール行きたくなりました。
    金角湾に鎖をかけるシーン…もっと詳しく書いて欲しかった。よくトルコ軍入って来なかったよなぁ。(笑)

  • イスラム教の国トルコによって、1100年以上続いたビザンチン帝国の首都コンスタンティノープルは陥落します。

    滅びゆく優雅な文明を体現するかのように、名誉を尊びながらもおだやかな性質の、49歳の洗練された紳士、最後の皇帝コンスタンティヌス十一世。
    国民を愛し、また皆に愛されています。

    それに対してトルコのスルタン・マホメッド二世には思いやり、愛、情けといった感情はまったくありません。

    私がどちらを応援するか、明らかでしょう。

    結局マホメッドが勝つということがわかっていながら、一生懸命読んだのは、この塩野七生女史による地中海三部作を読みたかったから。
    早く『レパントの海戦』に行きたいから。
    無敵艦隊がその後イギリスに敗れるのを知っているけど、いいの、イスラムを倒してくれれば。

    海外に何度も行った人たちと話すと、多くが「一番良かったのはトルコ」と言います。
    親日だから。安かったから。食べ物がおいしかったから。
    私はそれらに惹かれることはなかったけど、
    この本を読んで、コンスタンティノープルに行ってみたいと思いました。景色を見たいです。

  • 若きスルタン、マホメッド二世によるビザンツ帝国首都コンスタンティノープル征服のお話です。
    コンスタンティノープルがイスタンブールとなってからも変わらないのが、西欧、東欧、アジアの通商交通の拠点であり、東ローマ世界における最重要都市であることです。
    経済的要所に加えて、東方正教会の総本山でもあります。
    この都市の征服を実直に進めるトルコを止める力は、既にギリシア世界にもカトリック世界にもなかったのです。
    斯くして、コンスタンティノープルはコンスタンティノス11世と共に滅びることになります。
    その時代に翻弄される人々が生き生きと描かれた一冊。

  • 中学生の頃、創作歴史ドラマとしてわくわくしながら読みました。
    白刃を振りかざして敵陣に消えていったコンスタンティノス11世の最期がドラマチックで忘れられない場面です。

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