ルネサンスとは何であったのか (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101181318

感想・レビュー・書評

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  • ルネサンスについて、全くわかってなかったとびっくりさせられた本。学校の授業量なんかでは、ルネサンスがわかるはずもない。
    ルネサンスの始まりについては特に興味深い。
    その時代に生きた人々を身近に感じられ、そこからレオナルド·ダ·ヴィンチをはじめ、多くのアーティスト、さらに、ローマの歴史や、キリスト教等々、知りたいことだらけになった罪な本(笑)

  • 十字軍、ペスト流行、メディチ家、宗教改革、反動宗教改革、大航海時代などの歴史的事件とのかかわり

    フィレンツェ→ローマ→ヴェネチアと移動していく

    さまざまな分野でのルネサンス人の紹介

    頭の中でバラバラだったものがルネサンスというワードを追求するうちに次々繋がっていくのが面白いです。

    面白いと思ったことを二つ記します。

    >法王レオーネは、免罪符なるものを売り出すことを考えつく。金貨を入れてチャリンと音がすると、入れた者の死後の天国の席は予約完了というわけ。このようなことに欺かれるイタリア人はいなかったが、ドイツの素朴な善男善女は騙されたのである。もちろん、天国の席の予約代金はローマに送られ、ミケランジェロ設計の聖ピエトロ大寺院やラファエッロの描く傑作や、レオーネ十世の華麗な生活に化けたのである。

    >学者の間で交わられる冗談ですが、もしもコロンブスやアメリゴ・ヴェスプッチ等のイタリア勢が大航海時代の主導権をにぎっていたとしたら、インカ帝国の滅亡はなかった、とさえ言われるのです。スペイン勢が主導権をにぎって遂行された中米と南米の植民地化は、異なる考え、異なる人間の存在を徹底して排除した、反動宗教改革の所産としてもよい。イタリア人が植民帝国の時代に乗り損ねたのも、彼らの気質と考え方が、植民帝国時代にそぐわなかったという事情もあるんですね。

  •  ローマ教会が何かおかしい、から始まって400年もかけてローマ教会の支配を解放。
    解放したというより、芸術科学の進歩により、ローマ教会の矛盾点が炙り出され、自滅した時代。

    「神がそれを望んでおられる」が、通った、今から見たら偽りの世界。
    今の世も、数百年後の人類が見たら、偽りの世界と言われる点があるのだろうか。

    なお、異教徒の遺産といって、古代ローマの遺産を破壊しつくしたのが惜しい。

  • 地元の駅で購入し、ドトールで読む。読んでいて、疲れました。その理由を考察すると、以下のようになります。歴史の本を読むには、客観的知識と心理的共感を必要とします。客観的知識とは、豊臣秀吉は関白になったが、将軍にならなかったという事実です。心理的共感とは、豊臣秀吉が好きだとか嫌いだとかいう感情です。前者は、新書等を読めば、学ぶことができます。また、塩野さんの本は、知識がなくとも、ストレスを感じさせず、解説を加えてくれます。この部分に問題はありません。問題は、後者です。テレビドラマ、映画、演劇、小説に触れることより、後者は生まれるものです。日本の歴史であるならば、大河ドラマ、映画、小説に触れることは自然なことです。それに対して、イタリアものは、塩野さんの小説だけなのです。少なくとも、僕には、イタリアの英雄たちに、心理的共感を持つ人物はいません。これでは、イタリアの歴史の本をよめるはずがありません。

  • この人の本は「チェーザレ・ボルシア」に続き二冊目だが、塩野七生は天才だと思った。

    司馬遼太郎にしろこの人にしろ、歴史をこれだけ面白く、好奇心を擽りながら伝えることが出来るというのは本当に偉大だ。

    聖フランチェスコやフリードリッヒ二世、コシモ・ディ・メディチ・・・時代の変わり目に活躍した人々の生き様を、この人の著作からもっともっと知りたいと思った。

  • フィレンツェに始まり、ローマを経て、ヴェネツィアへと、舞台を移しつつ、自由について考える文章。
    そしてルネサンスは歴史的事象と考えるよりも心のあり方ととらえる、著者の自由さこそルネサンスらしい。
    文庫のために加えられた対談で、80年代、90年代と日本の歴史学会から無視され続けたことが明かされている。今でも日本のいろんな学会が排他的で、ある分野のあるテーマは某先生の専門とみんなでたこつぼを作っているように思う。そんなことでは本当に知るべきものには至らないと思う。

  • 「ルネサンスとは何であったのか」、それは既存の常識や権威(その大なるものはキリスト教会)を疑い、「見たい、知りたい、わかりたいという欲望の爆発」であった、ということをスタートに、様々な人物を取り上げながらルネサンスを対話形式で概観する歴史小説。
    詳細な史料と分かりやすい論旨で、ルネサンスに関する事柄だけでなく、著者の他の作品への理解も深まり、とても楽しい読書だった。続けて『海の都の物語』も読んでみたい。

  • 面白かった!
    ルネサンスとは何であったのか?をフィレンツェ、ローマ、ヴェネツィアから見て考える。

    「異教徒の遺物であろうと学ぶ価値があれば学ぶべきと考えるようになったルネサンス時代」

    ルネサンスとは、遠い国のキリスト教徒の問題で、現代のましてやキリスト教徒でもない私には関係のないこと、ではない!!!ということ。

    やっぱり塩野七生さんの本は分かりやすくて読みやすい。もっともっと知りたい。読みたい本がありすぎる。

  • ☆☆☆2020年1月☆☆☆


    「ルネサンスとは何?」
    高校の世界史では絶対に答えの出ないもの。
    作者の名前と作品を暗記するだけでその意義なんて授業では習わない。


    物事をキリスト教というフィルターを通してではなく、「ありのまま」に見ようという意識の高まり。
    「見たい・知りたい・わかりたい」という欲求が下地として存在し、芸術はその表現方法の一つであるといえる。
    ルネサンスこそが、中世から近代への移行の始まりであり、大航海時代や産業革命につながっていく。


    歴史は暗記科目ではない!!
    そのことを改めて教えてくれた一冊。

  • 塩野さんの本は題材的にはすごくおもしろいと思うし中身も濃厚なのですが、文章のリズム感が自分とあまりマッチしないのかすっきり読み切れないのです。何とかして克服したいんですけども。

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