海の都の物語 ヴェネツィア共和国の一千年 4 (新潮文庫)

  • 新潮社 (2009年6月29日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (240ページ) / ISBN・EAN: 9784101181356

みんなの感想まとめ

トルコとの激しい攻防と、聖地巡礼の旅が描かれる本作は、15世紀のヴェネツィア共和国の歴史を鮮やかに浮かび上がらせます。特に、オスマントルコのマホメット2世との戦いでは、キリスト教国家としての劣勢が際立...

感想・レビュー・書評

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  • 恐怖の大王、オスマントルコのマホメット2世とヴェネチアとの死闘の巻。常勝陸軍国家トルコにビザンチン帝国は滅ぼされ、エーゲ海最大のヴェネチアの拠点、ネグロポンテも奪われ、この時期、キリスト教国家、そしてヴェネチアは完全に劣勢に立たされる。しかし、マホメット2世の死が趨勢を変えるのか⁈
    後半のサンド・ブラスカの旅行記は当時の世相を感じられ、面白かった。

  • トルコとの攻防と聖地巡礼ツアーの第4巻。
    4巻のメインテーマであるトルコとの攻防もさながら、聖地巡礼について、その大変さや、聖地巡礼をパックツアー的に商売としたヴェネツィアの商業っ気が面白かった。
    もっとも、パックツアー的とは言え、トルコに捕えられる危険、暑さで死にも至る危険、もろもろの危険をがあり、こう言った危険を冒してまで聖地に行きたいものなんだろうかと思った。

  • 本巻の第九話の「聖地巡礼パック旅行」が、シリーズ通して個人的に最も面白かった。
    第八話が「宿敵トルコ」で殺伐とした話なので、余計に第九話は楽しく読み始められた。
    時は15世紀、サント・ブラスカという実在のミラノ公国官吏の旅行記から、当時の人々の聖地巡礼の旅が活写される。
    「聖地巡礼」は、本来の意味通り、キリスト教徒が聖地イェルサレムに巡礼する旅。
    この時代からパック旅行ってあったんだ~。さすが、ヴェネツィア商人、旅行事業も成功させるとは!
    ヴェネツィアを出発して帰ってくるまで、異教徒や病気など様々な困難を乗り越えながらの旅はスリリングで読んでいて面白いけど、こんな苦労をしてまでも聖地に行きたいのかと巡礼者の信仰心の篤さに驚いた。

  • 4巻はいよいよ宿敵トルコがメーンに。ジェノヴァを倒し地中海に覇を唱えたヴェネツィアは、異教徒ともプラグマティックにビジネスをしてきた。だが、風前の灯だったビザンツ帝国はついにトルコに滅ぼされ、ヴェネツィアとトルコのパワーバランスが変化し、好戦的なスルタン、マホメッド(メフメト)2世の登場で衝突は避けられなくなる。
    キリスト教徒である前にヴェネツィア市民であった彼らはローマ法王の力も借りながら戦いに挑む。ペルシャも絡む。ヴェネツィアにとってアルバニアの英雄スカンデルベグの死は痛かった。世界史で学んだとはいえ、この先の展開が楽しみになる。

    後半は当時の新興ビジネスである聖地巡礼旅行の再現。これだけ組織的にビジネスを動かすヴェネツィアはさすが。筆者の描き方もよく、当時の信仰心の篤さと、十字軍が終わってなお平和的なキリスト教とイスラムの交流がこのような形で続いたのかと感心することしきりでした。

  • 『コンスタンティノープルの陥落』の前後のお話。
    自国の天然資源といえば魚と塩しかない一海洋都市国家が、オスマン大帝国と必死に渡り合う巻。
    かくも不安定な状況下で同じ政体が1000年続いた、というのは改めてすごい。

    マホメット2世が、「降参しても首は刎ねない」、と約束したあと、投降者の首ではなく胴体を真っ二つにした、という話は怖過ぎ。

  • 対トルコに苦戦しながらも、持ち前の賢さとスピードで巧みに生き延びていくヴェネツィア。聖地巡礼ツアーの抜け目なさには、呆然とするばかり。しかも悪どさは一切ない。現代人もある意味で見習うべきかもしれない。

  • 四巻目は宿敵トルコの台頭と、ヴェネツィア航路を使った聖地巡礼パックツアーについて。
    合理主義者は根本的な間違いを犯すことがある。合理的に考えて相手がそんなことをするはずがないと思ったことでも相手はすることがあるのである。その事は当時のヴェネツィア外交官が「良識とは受け身に立たされた側の云々することなのだ。行動の主導権をにぎった側は、常に非良識的に行動するものである」と嘆いている。このことはいつの世になっても、外交問題の普遍性を示している。日本の近くのかの国をみればそれがわかる。
    また、ヴェネツィアはその航路と後悔技術で聖地イェルサレムまでの巡礼ツアーを組んでいた。儲けられるところは儲けるのがヴェネツィアのやりかたである。

  • ビザンチン帝国の滅亡前後からマホメット2世の西方への領土拡大、後半はサントブラスカの巡礼の旅の状況。前半はベネツィアがどのような努力をしながら、トルコ人からの侵略に耐えてきたのか、その時の状況が目に浮かぶような表現で楽しかった。結局、現在の状況を見ても、人の本性と言うのは、ここで書かれているようなことではないだろうかと思ってならない。後半のブラスカの巡礼の旅も、当時はこういう状況での旅だったんだろうと思う。また、あの辺りの状況は今とあまり変わらないのではないだろうか。と感じられた。

  • <宿敵、トルコ>
    海洋国家でもなく、キリスト教でもない、規模の違うトルコとの対立。自分たちとはまったく違う相手との問題に、立ち向かうヴェネチアが書かれている。
    P41マキアヴェッリ
    現実主義者が誤りを犯すのは、自分達が合理主義者でリアリストなものだから、非合理的に行動する相手を理解できないからなのだ。

    <聖地巡礼パック旅行>
    読んでいてとても楽しかった。
    旅行の安全性や移動の大変さは現代と違うけど、旅行のワクワク感や観光の感想とかは今も昔もそれ程変わらないんだなと思えた。

    「コンスタンティのープルの陥落」「レパントの海戦」

    2010/11/11読了

  • 異教徒の新興国トルコとの対峙が見どころの巻。当時ヴェネツィアはトルコのことをどう見ていたのかがわかった。

  • 【内容】
    ヴェネツィアという都市の1000年にわたる歴史の物語、第4巻はオスマントルコの脅威に立ち向かうヴェネツィアを描く。オスマントルコの勃興期からコンスタンティノープルを陥落させた大征服者メフメト2世の死(1350年頃〜1481年)まで。
    ヴェネツィアがジェノヴァとの抗争、その後イタリア本土への領土拡大に拘っていた間に着実に西に勢力を拡大していたトルコは、メフメト2世の代にコンスタンティノープルを陥落させビザンツ帝国を滅ぼし(1453年)、ヴェネツィアと直接的に敵対する。海上商業国家としてあくまで現実主義に徹するヴェネツィアにとって、大陸国家の論理で征服範囲を広げるメフメト2世は相容れない敵であった。黒海〜東地中海を巡って争い続ける間、ヴェネツィアは暗殺や外交を持って制しようとするも上手くはいかず戦争は泥沼化する。1479年に遂に和約を締結し翌翌年にメフメト2世が死去、一時的な平穏が訪れた。しかし以降も勢力を拡大し続けるこのイスラム大帝国の出現は、ヴェネツィアにとって大きな転換点であった。
    後半はあるイタリア人の聖地巡礼の記録。風に翻弄される長い航海、トルコ人との戦争の影、異教徒の中を往く旅、当時の聖地巡礼は正に命懸けだった。一方その裏では、そんな聖地巡礼の旅をも国家ぐるみでビジネスにしてしまうヴェネツィア人の逞しい姿があった。

    【感想】
    前半のオスマントルコとの戦いを描く本編は、歴史の面白さの醍醐味である国家間の駆け引き、壮大な戦い、英雄たちの生き様に溢れる一大物語に仕上がっている。読み物として非常に面白い。
    一方で後半の巡礼パック編は、生き生きと描写される風景が鮮やかで美しい。また巡礼旅行で儲けつつ、公正な取引を国家として保証し続ける体制を敷くことでビジネスを拡大させ続けたヴェネツィアの姿勢は、長期目線を持たずに一時の暴利を貪る会社が散見される現代に対して教訓を残している。

  • 前半のトルコ、後半の聖地巡礼、いずれもインパクトある内容でした。改めて塩野さんの描写の巧みさに感心し、異世界を体験できました。

  • 15世紀後半までのオスマントルコとの戦争・外交
    また、ヴェネツィアによる聖地巡礼パック旅行の記録

  • オスマントルコ、マホメッド2世との戦い。コンスタンティノープルを陥落させた強力な敵。戦と交渉で凌ぐ。
    旅行記は当時の様を同時代にいるかのように読めて楽しい。ヴェネチアの歴史のうねりの中で小休止した気分。

  • 中世においてさえ、キリスト教の教義よりも自国の利益を優先させていたヴェネツィアだが、トランプ大統領の“アメリカ・ファースト”みたいな傲慢さが感じられないのは、資源に乏しく人口も十分でない中、生き残る為には大国相手の外交努力を怠らず、いざ戦争となったら、国を挙げて戦わざるを得なかったから、か。

  • 国土も資源も貧弱にもかかわらず巧みな外交と海軍力で繁栄を続けてきたヴェネツィアに国力ではるかに勝るトルコが立ちはだかるようになる。賢い若きスルタンはヴェネツィアの予想を覆して勢力を広げてきた。様々な戦の記述の詳細は忘れてしまったが、電話もテレックスもない時代に敗戦を知ってショックを受けるのが1か月とか2か月後という中で、スパイを放って情報を集めていたというのが興味深い。考えてみれば日本の忍者も同じころ同じようなことをしていたわけだ。
    この巻は後半のエルサレムへの聖地巡礼パック旅行の様子が圧倒的におもしろい。カメラのない時代に金持は画家や版画家を連れて巡礼に出かけたそうだ。お蔭で読者はそのときの訪問地の様子を見ることができる。ヴェネツィアは国を挙げて巡礼ビジネスをやっていて、客としては至れり尽くせりなので、少し遠回りでもヴェネツィアから出かける巡礼者が多かったとのこと。たしかに初めていく長旅なのだから、自国の言葉で持ち物その他のアドバイスを得られるのは大助かりだったに違いない。航海中に命を落とす巡礼者もいた中、無事に数か月の旅を通じてきちんと記録をつけてくれた官僚の旅行記をもとにしたとのこと。やはり記録は大事だ。この官僚は後に神聖ローマ帝国への大使になったそうだ。

  • 3.5かな。最後の「聖地巡礼パック旅行」にある巡礼者のミーハーぶりと、それをヴェネツィア人が観光業として成立させる記述が面白い。2巻目もそうだが、歴史というより、地域振興のヒントがもらえそう。自治体の人、読んだらどうかな?

  • コンスタンティノープル陥落前後のトルコとの戦いと1480年の聖地巡礼記
    特に後者が歴史の中の日常的冒険として面白かった
    聖遺物崇拝や完全免罪にはそうでない方からは愉快でしかないけれども

  • 海の都の物語〈4〉―ヴェネツィア共和国の一千年 (新潮文庫)

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