ローマ人の物語 ローマは一日にして成らず 下 (2) (新潮文庫)
- 新潮社 (2002年5月29日発売)


- 本 ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101181523
感想・レビュー・書評
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ハンニバルとピュロスの会話、面白い〜!
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共和政ローマの初期の物語。ローマの政治システムの説明、ケルト人の来襲、そこからの復興まさにローマは1日にして成らず、の物語で引き込まれた。次からはついにハンニバル戦記となる。ここが読んでみたいと思って、ローマ人の物語を読み始めた。まずはローマの建国、王政、共和政の始まりをみていきながら、ローマについての概要を知った感じ。いよいよ始まる感じがたまらない。
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★★★2021年8月★★★
ローマの誕生期から、成長期の歴史を描く。
アテネの民主制の話に始まり、ローマがイタリア半島南部に勢力を拡大するところまでを記述する。
「ローマは、アテネの模倣をしていない。
・・・絶頂期にある国を視察して、その国の真似をしないのは常人の技ではない」
この時代のローマを塩野氏はこう表現する。
アテネの模倣はせず独自路線をゆくローマ。
十二表法、アッピア街道など、これぞローマというものを着々と整えてゆく。
やがてギリシャは、マケドニアのアレクサンドロスに支配される。アレクサンドロスが東でなく、ローマを攻めていたら?というのは楽しい想像だ。
このころ、ローマはイタリア半島南部に手を伸ばし、ギリシャ人と対決し、半島全体を統一することになる。
イタリア半島南部はずっとギリシャの植民地だったのだが、ついにローマの軍門に下った。
そして時代はカルタゴとの対立へ。
世界史のスケールの大きさ、なんと面白いのだろう。 -
「ローマは一日にしてならず」
建国紀元前753年~イタリア半島統一完成紀元前270年の約500年のうち、下巻では紀元前460年以降が書かれています。
ギリシャへの視察、ペリクレス時代からギリシャの衰退。
ローマとしてはケルト族、山岳民族サム二ウム族、エピロスの王ピュロスとの戦いでかなり痛い目にあいながら、ついに統一にたどりつきます。
著者による「ひとまずの結び」では原史料について書かれているのが興味深いです。四人中三人がギリシャ人です。
「栴檀は二葉より芳し」といいますが、この上下巻であつかったローマは二葉より少しは成長したとしても、30歳に達したかどうかという年頃のローマだとのこと。 -
建国から約250年間続いた王政に変わり、市民集会で選ばれた二人の執政官が統治する共和政に移行したローマは、その時代、地中海の先進国だったギリシアのポリスに視察団を派遣します。当時のアテネはペリクレス時代であり繁栄と力を誇っていたのですが、この政治体制をローマは何故か模倣しませんでした。その後ローマは貴族対平民の抗争で80年間揺れ動きます。そして、紀元前390年ケルト族の来襲によって深刻な打撃を受けます。そこから、周りの民族と勢力争いを繰り返し、同盟を結んだりしながら紀元前270年前後にイタリア半島の統一を成し遂げます。ここまでがこの巻で書かれています。民主主義の創始であるアテネの政治体制、軍事国家だったスパルタのことなど、ギリシアの都市国家と比べてローマはどうだったのか。高度な文化を築いたギリシアが衰退して、ローマが興盛をつづけられたのは何故か。それはローマ人の開放性にあるのではないかと指摘しているのです。
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ローマが共和制になってから、イタリア半島を統一するまでの物語。
このあたりから、アレクサンダー大王のif(もしもアレクサンダー
大王が東ではなく西に進んでローマと対決していたら)や、
アッピア街道が検察された背景、財務官アッピウス、戦術の天才
ピュロスなど、政治システムとそれに関わる人物がより
描かれるようになっており、物語として読むことができた。
イタリア半島統一までの物語を読むにつれ、
「ひとまずの結び」で塩野七生氏が述べている、
「古代のローマ人が後世の人々に残した真の遺産とは、
広大な帝国でもなく、二千年経ってもまだ立っている遺跡でもなく、
宗教が異なろうと人種や肌の色がちがおうと同化してしまった、
彼らの開放性ではなかったか」
というローマ評が実に的確であると言わざるを得ない。
偏狭なナショナリズムはいずれ行き詰まりをみせる。 -
ペルシア戦争後のギリシア史と,ローマがイタリア半島を統一し,カルタゴとの戦争を始める直前までが物語られています。
やはり塩野さんは戦争の叙述をなさると上手いなと思います。興隆期のローマの記述は読んでいても気分が前向きになります。また,共和制ローマがどのようにローマ連合を構成し,それがどのように昨日したのかということと,その利点を淡々と述べるのも塩野さんらしい記述だと思って読み返していました。
塩野七生の作品





