ローマ人の物語 (2) ― ローマは一日にして成らず(下) (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101181523

感想・レビュー・書評

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  • ローマ建国(前753年)からイタリア半島統一(前270年)までの500年もの歴史。

    サブタイトルである「ローマは一日にして成らず」とはまさにこの事。

    第1巻を読み終えてから早くも4ヶ月も経ってしまったが、ローマの歴史と比較すれば瞬き程の時間であろう。

    全巻読み終えるのはいつになることやら(苦笑)

    焦らずゆっくりと読み進めていきます。



    説明
    内容紹介
    ローマ人の物語イタリア半島統一までの長き道のり。

    ギリシアから視察団が戻り、前449年、共和政ローマは初の成文法を発表。しかしその内容は平民の望むものとは程遠く、貴族対平民の対立の構図は解消されなかった。近隣諸族との戦闘もさらに続き、前390年夏にはケルト族が来襲、ローマで残虐のかぎりをつくす。建国以来初めての屈辱だった。ローマはいかにしてこのどん底から這い上がり、イタリア半島統一を成し遂げるのか。

    内容(「BOOK」データベースより)
    ギリシアから視察団が戻り、前449年、共和政ローマは初の成文法を発表。しかしその内容は平民の望むものとは程遠く、貴族対平民の対立の構図は解消されなかった。近隣諸族との戦闘もさらに続き、前390年夏にはケルト族が来襲、ローマで残虐のかぎりをつくす。建国以来初めての屈辱だった。ローマはいかにしてこのどん底から這い上がり、イタリア半島統一を成し遂げるのか。

  • ハンニバルとピュロスの会話、面白い〜!

  • 共和政ローマの初期の物語。ローマの政治システムの説明、ケルト人の来襲、そこからの復興まさにローマは1日にして成らず、の物語で引き込まれた。次からはついにハンニバル戦記となる。ここが読んでみたいと思って、ローマ人の物語を読み始めた。まずはローマの建国、王政、共和政の始まりをみていきながら、ローマについての概要を知った感じ。いよいよ始まる感じがたまらない。

  • 安定の面白さ。
    ローマが南イタリアまで統治していくお話。
    とにかく色々なリーダーが出てきていて「人材」が豊富な印象。細かには描かれていないけれどきっと誰しもが野心家であったのだろう。

    日本では人材はどんどん潰されていく。失敗が許されないからだ。ローマでは失敗したら陶片投票で追放されるけれど、元老院が優秀なことを覚えているから必要とあれば再び声がかかる。寛容。

    人材が豊かになる秘訣は血に対する考え方だとおもう。国家維持を念頭に置いて「純粋な血」ではなく「新鮮な血」が必要だという。新しい人材を外部から積極的に取り込んでいくのだ。

    保守でもなく、革新でもなく
    「発展」を目指す。そのための可変性をこしらえるべきだ。

  • ★★★2021年8月★★★


    ローマの誕生期から、成長期の歴史を描く。
    アテネの民主制の話に始まり、ローマがイタリア半島南部に勢力を拡大するところまでを記述する。

    「ローマは、アテネの模倣をしていない。
    ・・・絶頂期にある国を視察して、その国の真似をしないのは常人の技ではない」

    この時代のローマを塩野氏はこう表現する。
    アテネの模倣はせず独自路線をゆくローマ。
    十二表法、アッピア街道など、これぞローマというものを着々と整えてゆく。

    やがてギリシャは、マケドニアのアレクサンドロスに支配される。アレクサンドロスが東でなく、ローマを攻めていたら?というのは楽しい想像だ。
    このころ、ローマはイタリア半島南部に手を伸ばし、ギリシャ人と対決し、半島全体を統一することになる。
    イタリア半島南部はずっとギリシャの植民地だったのだが、ついにローマの軍門に下った。


    そして時代はカルタゴとの対立へ。
    世界史のスケールの大きさ、なんと面白いのだろう。

  • 第2巻はローマの国内の足固めの時期の話。外政としてはまだ貧弱なローマが、どのように内部体制を整えていったのかがよく分かる。

    同時代において大国だったギリシアを見習いつつ、ギリシア式をそのまま模倣するという国づくりをしなかったローマ。歴史を後から見ている自分たちは、その結果が長く続くローマ帝国の基盤を生むことになったということを知っているのだが、当事者たちが当時、超大国を真似しないという選択肢を取ったのは驚くしかない。先見の明があったというわけではなく、ローマ人の独自性や性質をきちんとふまえて最適と思われる選択肢を取ったのだろう。

    この時期、ローマは北部から来たケルト人(ガリア)に一時、ローマを占拠される。その苦い経験を基に内政、外政ともに充実させていく。この辺から出てくるローマらしさ、当時の世界では画期的な工夫が「戦争の敗者を隷属させるのではなく、共同経営者として保持した」こと。とかく敗者を完膚なきまでに叩き潰すことが至上とされがちな近世や近代の戦後処理とは全く違い、このあたりがローマの真骨頂なのだろう。

    終盤、著者はローマ人のアイデンティティを「開放性」であると喝破する。開放的であるが故、異宗教や異なる肌の色の人材をどうかし、宗教に狂信的にならず、国民全体を執政官と元老院と市民集会で包含し、他民族を吸収、同化することができたとし、それがローマの強さであり、時に脆さの原因でもあると説く。この開放性は、今後の巻でも発揮されていくのだろう。

  • 「ローマは一日にしてならず」
    建国紀元前753年~イタリア半島統一完成紀元前270年の約500年のうち、下巻では紀元前460年以降が書かれています。
    ギリシャへの視察、ペリクレス時代からギリシャの衰退。

    ローマとしてはケルト族、山岳民族サム二ウム族、エピロスの王ピュロスとの戦いでかなり痛い目にあいながら、ついに統一にたどりつきます。

    著者による「ひとまずの結び」では原史料について書かれているのが興味深いです。四人中三人がギリシャ人です。

    「栴檀は二葉より芳し」といいますが、この上下巻であつかったローマは二葉より少しは成長したとしても、30歳に達したかどうかという年頃のローマだとのこと。

  • 建国から約250年間続いた王政に変わり、市民集会で選ばれた二人の執政官が統治する共和政に移行したローマは、その時代、地中海の先進国だったギリシアのポリスに視察団を派遣します。当時のアテネはペリクレス時代であり繁栄と力を誇っていたのですが、この政治体制をローマは何故か模倣しませんでした。その後ローマは貴族対平民の抗争で80年間揺れ動きます。そして、紀元前390年ケルト族の来襲によって深刻な打撃を受けます。そこから、周りの民族と勢力争いを繰り返し、同盟を結んだりしながら紀元前270年前後にイタリア半島の統一を成し遂げます。ここまでがこの巻で書かれています。民主主義の創始であるアテネの政治体制、軍事国家だったスパルタのことなど、ギリシアの都市国家と比べてローマはどうだったのか。高度な文化を築いたギリシアが衰退して、ローマが興盛をつづけられたのは何故か。それはローマ人の開放性にあるのではないかと指摘しているのです。

  • ローマが共和制になってから、イタリア半島を統一するまでの物語。
    このあたりから、アレクサンダー大王のif(もしもアレクサンダー
    大王が東ではなく西に進んでローマと対決していたら)や、
    アッピア街道が検察された背景、財務官アッピウス、戦術の天才
    ピュロスなど、政治システムとそれに関わる人物がより
    描かれるようになっており、物語として読むことができた。

    イタリア半島統一までの物語を読むにつれ、
    「ひとまずの結び」で塩野七生氏が述べている、
    「古代のローマ人が後世の人々に残した真の遺産とは、
    広大な帝国でもなく、二千年経ってもまだ立っている遺跡でもなく、
    宗教が異なろうと人種や肌の色がちがおうと同化してしまった、
    彼らの開放性ではなかったか」
    というローマ評が実に的確であると言わざるを得ない。

    偏狭なナショナリズムはいずれ行き詰まりをみせる。

  •  ペルシア戦争後のギリシア史と,ローマがイタリア半島を統一し,カルタゴとの戦争を始める直前までが物語られています。
     やはり塩野さんは戦争の叙述をなさると上手いなと思います。興隆期のローマの記述は読んでいても気分が前向きになります。また,共和制ローマがどのようにローマ連合を構成し,それがどのように昨日したのかということと,その利点を淡々と述べるのも塩野さんらしい記述だと思って読み返していました。

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