ローマ人の物語 (4) ― ハンニバル戦記(中) (新潮文庫)

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  • / ISBN・EAN: 9784101181547

感想・レビュー・書評

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  • カルタゴの武将にして最強の智将ハンニバルの活躍により、ローマの喉元まで剣先あと一歩まで届いてからの両国の動き、そして、天才スキピオの登場までが描かれる第二次ポエニ戦争期。
    これほどまでに世界史を面白く捉えられる書籍はなかなかない。すでに刊行から30年という長い歴史ある塩野七生さんの著書だが、今でも十分に面白い。学生時代に世界史を履修していなくても、大人になった今こそ面白い、最高の歴史だった。

  • ハンニバルに攻め込まれ、読んでいて、もどかしい巻。

  • まさかスペインからアルプスを越えてイタリアに攻め込むなどとは誰しもが考えなかったことであろう。 多大なる犠牲を払いつつローマに連勝する。 特にハンニバルは情報収集に力を入れたようだ。 日本が負けた要因の一つにこの情報収集を軽くみたことがあるだろう。 ハンニバルとスキピオの戦いが始まる。

  • 戦史に名高いハンニバルのアルプス越え。苦労して連れて行ったゾウがイタリアの冬の寒さの為に全く機能しなかったとは…。アフリカ生れの彼等にしても偉い迷惑だっただろう。ゾウはなくても、その後のハンニバルがローマ軍を手玉に取る様子は英雄的と言うよりも悪魔的。一方のローマ軍も一年交代の軍政にも拘わらず、次々と人材が現れる。そしてカンネの闘いにおける歴史的大敗時にも、負軍の将の責を一切問わなかった処に、却って凄身を感じた。途中、敵軍師として「エウレ~カ!」の老アルキメデスが顔を出し、最後は若き日の“老スキピオ”登場!


    8月は1冊も読めなかったが再始動。♪ハンニバル ゾウにゆられて お山越え♪の巻! 2012年09月04日

  • ハンニバル戦争と称される第二次ポエニ戦役の中盤が取り上げられており、この巻を通じていくつもの会戦が詳細に解説されている。

    中でもカンネの戦いはそのクライマックスであり、騎兵を駆使したハンニバルの戦術によって、ハンニバル前とハンニバル後で戦闘のあり方が根本的に変化したということがよく分かる。

    当初、ハンニバルの前に敗戦を重ね、北から南までハンニバルにイタリア縦断を許したローマだが、若干30歳のスキピオに執政官に相当する指揮権を与えることで、形勢を盛り返していく。

    ハンニバルも天才であるが、カンネの会戦でしかその戦いを目の当たりにしていないにもかかわらず騎兵を戦術の中心に据える戦い方を会得し、状況に応じて使いこなしたスキピオもまた天才であると思う。

    これら二人の天才の戦い方を追っていくだけでも十分に読みごたえがあったが、それ以外にもいくつか興味深かった点があった。

    一つは。ハンニバルとスキピオの人柄が、丁寧に描かれていたということである。

    ハンニバルは「孤高の天才」と呼ばれるに近い印象を持った。驕り高ぶるわけではなく、上意下達で一方的に指令をするというスタイルでもないが、その人柄はあくまでストイックで、部下への要求も厳しい。人一倍動き、戦果を上げ続けることで、まわりが彼についてくる。

    一方のスキピオは、天才的な才能を持ち、戦術にたけた人間ではあったが、それ以上に、明朗で人懐っこい人物として描かれている。名門の出で、見るからに人を引き付ける素養を持っているとともに、部下とも敵軍の将とも打ち解けることができる人柄を持っている。

    この性格の差が、イタリア半島で過ごした20年近くを本国カルタゴからの支援を数回しか受けずに戦ったハンニバルと、年齢制限に達していなくても市民集会の力で司令官となり、スペインでもシチリアでも外交戦術により多くの国を味方につけながら戦ったスキピオの間の違いにつながっているように思われる。

    カルタゴとローマという国の性格の違いが凝縮されたような対比である。

    もう一点興味深かったのが、ハンニバルに攻め込まれ敗北を続けたローマがスキピオという強力な武器を繰り出すと同時に、ファビウス・マクシムスという持久戦論者を元老院のプリンチエプスに立てつづけたという事実である。

    これほどの広範囲にわたってこれほどの長期間戦い続けられた戦役は、現代にいたるまでほぼ類を見ないと言えるだろう。このような戦役を戦い抜いた背景に、一つひとつの会戦での勝敗や、最も差し迫った脅威以外も含めた俯瞰的な視野を持った戦略を立てられる人物の存在があったのではないか。

    ファビウスについては、戦場の二人の天才と比べてそれほど詳細に書かれているわけではないが、ポエニ戦役の記述の全体を通じて、要所要所で必ずと言っていいほど取り上げられているということからも、筆者がこのファビウスと、そのような人物を国家の意思決定の中心に置き続けたローマという国の政体を重要な要素と捉えていたのではないかと思う。

    戦争で戦った敵国を滅亡させるのではなく属州や同盟国として残し続けたといったことも含めて、ローマがこの時期に地中海の覇者になっていった最大の要因が、天才の存在ではなく、ローマという国のあり方にあったということが改めて感じられた。

  • 上巻でローマに敗れたカルタゴからハンニバルが登場。スペインから象を連れてイタリアを攻めてくる。
    ローマは若いハンニバルの戦法に負け続き、蓄えてきたものを次々失う8年間。

    でもローマも少しずつ奪還。カプア・シラクサ・ターラントを再復。シラクサにアルキメデスが登場、他の人物と全く違った個性をもっていて面白い。誤って死なせてしまったことをマルケルスはひどく残念がっていたとのこと。

    ローマはスペインを若者スキピオに託す。すっごく素敵に書かれていて、下巻が楽しみ。惚れそうです。

  • 第2次ポエニ戦役。
    天才ハンニバルが冬のアルプスを越えてイタリアに。
    ローマ北方のガリア人を引き連れつつ、南下してくる。
    ハンニバルは、ローマ連合を解体するため、イタリア半島の南部を占領。シラクサも同盟を解消してしまう。
    しかし、ローマ連合はなんとか持ちこたえ、一方のハンニバルは、援軍がないまま、各地に戦力を分散せざるを得ない自体に。
    各個撃破の形で、占領された地域を解放するローマ。

    一方、ハンニバルの本拠地スペインでは、ローマ側の天才スキピオが活躍。スペインにいるカルタゴ陣営を撃破する。

  • カルタゴの稀代の戦術家ハンニバルのローマ攻略戦記。第一次、二次ポエニ戦役の時代です。カンネの会戦でローマは大きな敗北を負います。その時に僅かな人数で執政官と共に逃れたのは、後にローマの名将となるスキピオ。まだ19歳でした。ハンニバルの戦術のお手本となったのはマケドニアのアレクサンダー、大王と呼ばれた人。次々と戦果を挙げるハンニバルの戦術を学んだのがスキピオでした。作者が押すところの成功する男の条件、セレーノ(晴朗)を持ち合わせていたスキピオが、この巻で格好よく登場します。

  • ハンニバルとスキピオが出てきて、
    だんだん面白くなってきましたが、5巻に期待したい。

  • 象とアルプス越えくらいでしか知らなかったハンニバル。
    めちゃくちゃ格好いいです。
    第二次ポエニ戦争、名前位しか知らなかったカンネの戦いなどとても読み応えがありました。
    しかしスキピオもめちゃくちゃ格好いいです。
    大好きになりました。

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