- Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101181561
感想・レビュー・書評
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ローマが地中海周りを牛耳るようになりました。すごいなぁ。ローマの温泉に入ってみたい…。
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自宅療養で通院リハビリしながらこのシリーズを読んでいる。
地中海の覇者となったローマにも混迷が訪れた。貧富の差の拡大や「ローマ市民権」を巡る同盟都市国家との軋轢など、旧体制と変化する現実との綻びにローマが悩む。そんななかでも都市国家から現代的な国家の礎とも言える体制にローマ人は現実的な対応として舵を切った。なかなか勉強になる巻だった。 -
グラックス兄弟、すごいな。短期間しか護民官として働いていないし、2人とも早逝。死後70年経過しないと、ローマは2人が提起した問題を解決できなかった。そして、2000年後にも2人の名前がちゃんと残っており、その生き様に感動するわけだから、すごいとしか言いようがない。マリウス、スッラ。その昔、世界史で必死に覚えた名前や年号が今、生き生きと私の中で動き回っていて、とても楽しい。
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50頁に掲載されている写真はハードカバー「勝者の混迷」の表紙に使われています。モデルは不明ですが、塩野さんが「ティベリウスグラックスはこのような顔をしていたのではないか?」と選択したそうです。
ここでは勝者となったローマでスキピオアフリカヌスの孫である兄ティベリウスグラックスと弟ガイウスグラックスが素敵に登場。残念ながら志半ばで死においやられます。
スキピオアフリカヌスの時代には円満な関係であったヌミディアとは、マニシッサの孫(長男の養子で三男の実子)ユグルタとの戦役。
マリウス執政官のときには大量にやってきたゲルマン人を破る。
戦うことで英雄が生まれ団結していくのですが、その後の処理に苦戦。
そして同盟者戦役
「ユリウス市民権法」の成立による「ローマ連合」の発展的解消
都市国家ローマは世界国家ローマへ切り替わっていきます。 -
グラックス兄弟という貴族出身で改革を起こそうとして凄惨な仕打ちを喰らう兄弟の話と、その後のマリウス・スッラという2代将軍の話。しかも皮肉にもグラックス兄弟が行おうとした改革はマリウスの時代に、目的は元老院体制の維持なのに結果として実現するという話
人間とは、食べていけなくなるや必ず、食べていけそうに思える地に移動するものである。これは、古今東西変わらない現象である。この種の民族移動を、古代では蛮族の侵入と呼び、現代ならば移民の発生という。古代ローマも、この種の民族移動を、ローマが存続しているかぎり忘れることは許されなかった。食べていけなくなった人々の移動が、平和的になされるか暴力的になされるかは、たいした違いではない。いかに平和的に移ってこられても、既成の社会をゆるがさないではおかないがゆえに、民族の移動とは、多少なりとも暴力的にならざるをえないのである。P147
護民官ドゥルーススの最後の言葉は、次の一句だった。「ローマ人はいつ、自分のような人物をもてるのか」恵まれた階級以上に頑迷な守旧派と化す「プアー・ホワイト」は、いつの世にも存在するのである。P179 -
建国から600年を経て地中海の覇者となったローマですが、その少数指導制という共和政体システムに機能不全が起こりつつありました。経済の格差は現代の世の中で問題になっていますが、この頃のローマでも富裕層と一般市民の間で生じてきました。それを改革しようとして、若くして非業の死を遂げたグラックス兄弟。その経緯は二人ともとなると胸が痛みました。この改革は70年後ユリウス・カエサルによってようやく日の目を見ることになるようです。この物語は2000年以上前の人の世の話ですが、繰り広げられる顛末は現代の政治経済、社会で共通する中身ですから、とても考えさせられます。
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グラックス兄弟は先見の明があったがやりかたがまずかったと。あまりにも先を見通しすぎていて周りがついてこれない状況では慎重にことを進めないといけませんね。
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グラックス兄弟の改革が元老院を始めとする既得権者の抵抗にあう。その失敗にローマが気づくのにはかなりの代償を負うことになる。
塩野七生の作品





