ローマ人の物語 6 勝者の混迷 上 (新潮文庫)

  • 新潮社 (2002年8月28日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (208ページ) / ISBN・EAN: 9784101181561

みんなの感想まとめ

歴史の転換期を描いたこの作品では、ハンニバルからカエサルまでのローマの物語が展開されます。特にティベリウス・グラックスとガイウス・グラックス兄弟の悲劇が印象的で、彼らの理想が当時の社会に受け入れられな...

感想・レビュー・書評

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  • ハンニバルからカエサルまでのローマの歴史、ローマ人の物語6巻です。そういえばグラックス兄弟がいましたね。やっていることは至極真っ当なのに周囲から受け入れられなかった悲劇の兄弟です。早すぎたヒーローなのかもしれません。

    よくこういう歴史物を見ると、正しいヒーローが無知蒙昧な大衆に潰される…的な様を見かけますが、当時の感覚から言うと民衆もみんなが皆アンチだった訳でもなく、恐らくは一握りの過激な民衆の動きに、別にそこまでじゃないけど…的な大多数の人たちが引きずられていたんじゃないかと思います。パレートの法則(二八の法則)の悪い方ですね。
    昨今の世界情勢もそんな感じになってきている気がして心配です。。

  • 「ローマ人の物語 (6) ― 勝者の混迷(上) 」(塩野七生)を読んだ。

    これまでの巻に比べて少し地味な感じ(とは言えティベリウス・グラックスとガイウス・グラックス兄弟の無念さは察するに余りある)ではあるのだが、かなり重要な転換期だったよ。

    すったもんだのすえに「ローマ連合」は解体されて全員がローマ市民に変わり、イタリア人(イタリクス)はいなくなったのだから。

    ユリウス・カエサルの登場はまだ少し待たねばならない。

  • 2026年の2冊目。紀元前2世紀からのカルタゴ滅亡からローマ帝国が新たな政体に進化していく過渡期を描いている。盛者必衰の流れはローマ帝国も例外ではないが、敗者でも包容していく中で、各地方の独自性は保持しながらも、全体を統一する普遍性の確立は可能であることをローマ人は人類に教えたということは非常に感銘を受けた。

  • ▼ハンニバル×スキピオの後。紀元前100年前後のローマの物語。相も変わらず読みやすい語り口。そして、なんとも現代に似ているなあ。


    ▼強大になったローマだが、直面するのは
    「貧富の格差拡大」 
    「既得権を離さず、大衆を扇動して対立候補を潰していく、元老院」

     これに挑んでは悲惨な最期を迎えていくグラックス兄弟などの護民官たち。

    ▼これまでとにかく、対外戦争の物語だったが、ここに来て内政の陰謀と対立のハードロマン。

    ▼結局、ゲルマンなどの「対外問題」から発生した危機に対して、既得権を手放して格差の解消に向かわざるを得ないローマ。そうであるが故に、その後の繁栄があったのでしょう。


    ▼言ってみれば講談であり、浪曲だなあと思うのは。チラチラ匂わせる、「もうちょっと我慢すると、カエサルの時代ですよ」という心憎い語り口。

     これからカエサルが、そしてイエス・キリストの時代が来るのかと思うと、ワクワク。

  • ローマが地中海周りを牛耳るようになりました。すごいなぁ。ローマの温泉に入ってみたい…。
          ↑(この本と全く関係のない感想…)

  • グラックス兄弟とガイウス・マリウスが主要な人物として挙げられた。
    神の視点から見れば、ローマ側(元老院側)に理がないと思う場面は多々あるが、私がローマ側の人間だったら、どう思うか分からないなぁ。

  • 自宅療養で通院リハビリしながらこのシリーズを読んでいる。
    地中海の覇者となったローマにも混迷が訪れた。貧富の差の拡大や「ローマ市民権」を巡る同盟都市国家との軋轢など、旧体制と変化する現実との綻びにローマが悩む。そんななかでも都市国家から現代的な国家の礎とも言える体制にローマ人は現実的な対応として舵を切った。なかなか勉強になる巻だった。

  • 50頁に掲載されている写真はハードカバー「勝者の混迷」の表紙に使われています。モデルは不明ですが、塩野さんが「ティベリウスグラックスはこのような顔をしていたのではないか?」と選択したそうです。

    ここでは勝者となったローマでスキピオアフリカヌスの孫である兄ティベリウスグラックスと弟ガイウスグラックスが素敵に登場。残念ながら志半ばで死においやられます。

    スキピオアフリカヌスの時代には円満な関係であったヌミディアとは、マニシッサの孫(長男の養子で三男の実子)ユグルタとの戦役。

    マリウス執政官のときには大量にやってきたゲルマン人を破る。

    戦うことで英雄が生まれ団結していくのですが、その後の処理に苦戦。
    そして同盟者戦役

    「ユリウス市民権法」の成立による「ローマ連合」の発展的解消
    都市国家ローマは世界国家ローマへ切り替わっていきます。

  • ハンニバルとスキピオの時代が終わり、その子供・孫の時代になって来たが、ローマの軍事力の低下、特に、軍人不足からくる戦力の低下を食い止めるためにも低所得者からも軍の参加を求めだした。

  • 大盛り上がりのハンニバル戦記が終わっても相変わらず面白い。
    グラックス兄弟の活躍は手に汗握って応援したくなるし、無職の人を職業軍人に、というマリウスの政策は攘夷志士を海軍に、という竜馬の考え方と近いし。

    何より最後のローマ市民権のところが現代に通じていて考えさせられる。

    共同体の内部で人々を平等に扱うには異分子を排除しなければならない。
    外部に開放的な共同体なら、階層間の区別が必要で、しかし硬直してもいけない。

    完璧な政策なんてありえない。
    覇権国になっても異分子の受け入れに寛容な国家は珍しい。
    とのこと。

    だから最近の、どこの国でも外国人に不寛容な政治家たちが台頭してくるのは、避けられないことだったんだ。
    力をつけてきた国が、内部の人たちを平等に扱うには、外部を排除しなくちゃいけない。
    そういう発想になるのは普通なんですね。

    現代を第ニ次世界大戦前の状況とよく比較して、戦争の危機を訴える人たちは多いけれど、
    これは異常なことじゃなくて、人間が繰り返してきたことで、古代ローマからこそ学べることは多いはず。
    こんな時誰に権力を渡すのか、が大切なのかもしれない。
    ローマだってこの時点で600年続いているんだから、現代人だってもう少し頑張れるはずでしょう?

    グラックス兄弟の、世の中をより良くするために未来を切り拓こうとする姿勢は冒険そのもので、生まれに固執せず、自由意志で何かをやり遂げようとすること、これこそが何よりわくわくする物語だと思う。最近Sabrinaとかファンタジーにもはまっているので。
    どう考えても心の中にアメリカのティーンエイジャーがいるわ、私。

  • 地中海の覇者となったローマの中でのドタバタ劇
    戦争状態から平和になったが故の歪みや、既得権益を守ろうとする動きによる弊害など…

    紀元前の話から現代にも通じる人間の本質みたいなものを痛烈に抉り出す著者のトーンは痛快感すら覚える

  • グラックス兄弟の改革が元老院を始めとする既得権者の抵抗にあう。その失敗にローマが気づくのにはかなりの代償を負うことになる。

  • グラックス兄弟、すごいな。短期間しか護民官として働いていないし、2人とも早逝。死後70年経過しないと、ローマは2人が提起した問題を解決できなかった。そして、2000年後にも2人の名前がちゃんと残っており、その生き様に感動するわけだから、すごいとしか言いようがない。マリウス、スッラ。その昔、世界史で必死に覚えた名前や年号が今、生き生きと私の中で動き回っていて、とても楽しい。

  • グラックス兄弟という貴族出身で改革を起こそうとして凄惨な仕打ちを喰らう兄弟の話と、その後のマリウス・スッラという2代将軍の話。しかも皮肉にもグラックス兄弟が行おうとした改革はマリウスの時代に、目的は元老院体制の維持なのに結果として実現するという話

    人間とは、食べていけなくなるや必ず、食べていけそうに思える地に移動するものである。これは、古今東西変わらない現象である。この種の民族移動を、古代では蛮族の侵入と呼び、現代ならば移民の発生という。古代ローマも、この種の民族移動を、ローマが存続しているかぎり忘れることは許されなかった。食べていけなくなった人々の移動が、平和的になされるか暴力的になされるかは、たいした違いではない。いかに平和的に移ってこられても、既成の社会をゆるがさないではおかないがゆえに、民族の移動とは、多少なりとも暴力的にならざるをえないのである。P147

    護民官ドゥルーススの最後の言葉は、次の一句だった。「ローマ人はいつ、自分のような人物をもてるのか」恵まれた階級以上に頑迷な守旧派と化す「プアー・ホワイト」は、いつの世にも存在するのである。P179

  • 建国から600年を経て地中海の覇者となったローマですが、その少数指導制という共和政体システムに機能不全が起こりつつありました。経済の格差は現代の世の中で問題になっていますが、この頃のローマでも富裕層と一般市民の間で生じてきました。それを改革しようとして、若くして非業の死を遂げたグラックス兄弟。その経緯は二人ともとなると胸が痛みました。この改革は70年後ユリウス・カエサルによってようやく日の目を見ることになるようです。この物語は2000年以上前の人の世の話ですが、繰り広げられる顛末は現代の政治経済、社会で共通する中身ですから、とても考えさせられます。

  • カルタゴ滅亡後、元老院の腐敗、グラックス兄弟の改革と挫折、マリウスとスラの登場。

  • グラックス兄弟は先見の明があったがやりかたがまずかったと。あまりにも先を見通しすぎていて周りがついてこれない状況では慎重にことを進めないといけませんね。

  •  大作の3巻目はポエニ戦役以後のローマの迷走。カルタゴには勝ったもののローマの安寧は続かず、政治上の問題からの内戦を経てさらにはオリエントへと出兵を余儀なくされる。出る杭が打たれるのはいつの時代も同じで、頭角を現す改革者が足を引っ張られ、とってかわった者も同じ運命をたどるという繰り返し。しかしそれもポンペイウスというひとりの天才によって収斂し、いまや地中海を囲む沿岸諸国はほとんどがローマの支配圏になったところで巻が閉じられる。これまでの中では地味な内容だが、歴史とは連綿たる流れである以上当然のように、この中に次なるエポックメイキングなドラマの萌芽が芽生えているので、斜め読みするわけにはいかない。

  • 既得権との戦い。
    グラックス兄弟の改革が失敗に終わり、起こる同盟国の蜂起。

  • 数十年にわたるカルタゴの侵略を退け、さらに攻め込んで滅亡させ、地中海の覇者となった。数十年ぶりに平和を享受することができたわけだが、こうなると権力者が保身に走り、次第に内部から腐り始める。改革者は暗殺され、改革は滞り、格差が拡大して民衆の不満は高まる。こうなると、同盟国の気持ちも離れ、オリエントの強国からの侵略を受けるようになる。皮肉なことにこの危機が改革を余儀なくし、国内を一致させ、スッラという稀代ののリーダーを産む。スッラにより一時的に秩序が保たれるが、リーダーがなくなると呆気なく崩壊する。崩壊の芽は意外なことに、尊敬されたリーダーの盟友たちから生まれる。その乱を平定し、遠くオリエントまで支配下に置いたポンペイウスだが、次なる波乱の目が育っている。いやあ、面白い。

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