ローマ人の物語 (7) ― 勝者の混迷(下) (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101181578

感想・レビュー・書評

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  • 自宅療養で通院リハビリしながらこのシリーズを読んでいる。
    ルキウス・コルネリウス・スッラ、ローマの寡頭制としての元老院の強化をはじめ護民官制度の存続と弱体化などローマ共和性の維持を図り、その道筋がつくや独裁官を自ら降りるという引き際の良さ。制度改革は長続きするものではなかったが、政治家としての身の引き方は老齢政治家などはその姿勢を学んでほしいものだ。
    グネウス・ポンペイウス・ストラボン、オリエントを制圧しローマを地中海世界の覇者にした人にしては著者がさらりと描いているのは何故だろう。続巻でもう少し濃く扱うのだろうか。手持ちは本巻まで。ユリウス・カエサルにどう続くのか歴史の続きを読みたくなった。

  • スッラが強い。
    なんとも断固としたイメージのスッラでした。
    特例を少しでも認めると、徐々に特例が普通の事になっていってしまう気がしました。
    ローマ史はとても考えさせられる内容が多いです。

  • まさに混迷の時代だった。面白いと思ったのは、どの登場人物もその時の最善と思われる、あがらえない行動を取っているのにもかかわらず、混迷となっている点。現代から振り返れば、あの時にこうしていれば、と考えるのは簡単だが、そうはいかなかった何かがあるに違いない。それは時代の流れ、その人の癖や考え方、ローマの人々の想い、様々なんだろうと思う。
    混迷の時だから、カエサルの出てくる前哨戦的なものだと勝手に思ってしまっていたが、やはり歴史である以上さらっと流せるところはないのだなぁと思う。なぜカエサルか、カエサルが出て来られた理由が次から明らかになるのだろうか。
    楽しみだ。

  • 〇理を理解する人が常にマイノリティである人間世界では、改革を定着させるにはしばしば手段を選んではいられない。
    〇スッラは、釣りや散策や、特に回想録を書いて日々を過ごした。
    〇おかしな振る舞いと思いになってはいけませんわ。私だって、あなたが恵まれ続けた幸運に、ほんの少しにしてもあやかりたいと願ってやったことですもの。
    〇公生活では厳正な態度を崩さなかったスッラだが、一旦家に戻るや、冗談好きでバカ騒ぎも辞さないローマ人に一変する。
    〇ローマ人の間ではギリシャ人とは違って、頭髪を短く切り、ひげもきれいにそることが成年男子の身だしなみとされていた。
    〇スペイン人が闘牛を好みアメリカ人がボクシングに熱中するように、ローマ人もエトルリア人から受け継いだ拳闘試合に熱中した

  • 6巻に記載

  • 本巻は前巻に続いてマリウス、スッラの時代から始まる。ローマはいまだ混迷から抜け出せず、ローマ内での内紛、反乱がどのような背景で起こるのか、またそのような状況下でも領土をどんどん拡大していくローマの凄さを実感できる本である。
    本書ではオリエントや海賊討伐戦などかなり多くの戦役が取り上げられているが、少し残念だったのはこれらの戦役についての記述がかなりあっさりしていたことだ。確かにポエニ戦役と比べれば割かれるページ数が少なくなるのは当然だが、もう少し詳しく知りたいな、という戦役がいくつかあった。特に第2次ミトリダテス戦役でのアルメニア軍との戦闘で、ルクルス率いるローマ軍の戦死者が5人!というのは、いったい何が起こったの?と興味津々になった。
    本巻では若き日のカエサルも登場するが、まだ主役ではない。その意味で、カエサル登場までの舞台設定はこの巻で十分整ったと言えるだろう。

  • GSRアウトプット宿題

    1回目
    時間:15分
    目的:勝者の混迷とは
    概要:ミトリダテス、スッラ、スッラ体制の崩壊、人材はいたのである、グラックス、映画スパルタクス、スパルタクスの乱、カーク・ダグラス、ローレンス・オリヴィエ、67歳になっていたマリウス、元老院、船、奴隷、闘士、騎士、離婚しなかった、逆鱗に触れた、逃げた、5人目の妻、死後すぐに、火葬はしないで遺体を、ポンペイウス、青年期のポンペイウス、独裁、三頭政治、ギリシャ、スペイン、ローマ市民、革袋、コルネリウス、小カトー、戦役、教師、海賊
    学び:スッラ派に優秀な人材はいたのにスッラ体制は崩壊した

  • ポントスの王ミトリダテスがローマに敵対して小アジアで戦争が勃発する。国内ではスッラが内乱を収めるが、彼の死後、秩序は崩壊。そこで台頭してきたポンペイウスが小アジアを平定し、ローマは地中海全域を支配下におさめる。

    p.186から引用されていた、パルティア王に宛てたミトリダテスの手紙が面白かった。征服される側から見たローマという国についての見方が、現在のアメリカや中国について語られる見方に似ているところがあると思った。覇権を争う国というものは、いつの時代も同じような振る舞いをするのかもしれない。

  • 前半はスッラ、後半はポンペイウスが主人公。本書でも触れているが、著者はスッラを高く評価している。それは、スッラが独裁的な政治を行ったのが自らの欲を満たすためでなく、共和制ローマを守るためであり、また権力の座にしがみつかず、目的を達するや権力の座から潔く降りたためだろう。もちろん、これは物語なので事実はわからないが。

    終盤に出てくるミトリダテスの手紙が興味深い。この物語の主人公であるローマ人も、他国から見たら強欲な侵略者でしかないということだ。

  • カエサルの登場以前である――
    紀元前二世紀半ば、第三次のポエニ戦役で強大国カルタゴを完全に滅亡させたその後から、BC63年、ポンペイウスのオリエント制圧によって地中海に面した全域がローマの覇権下となるまでを描く。グラックス兄弟、マリウスとスッラ、そしてポンペイウスと連なる約百年間、共和制下ローマの覇権拡大の道のりは決して平坦なものではない。軍事指導者と元老院たちとの対立相克が絶えずつきまとい、制度的な矛盾を露呈しつつ、ときに血の粛清が繰り返されもする。属領、属国の拡大は奴隷層の民をも飛躍的に増大させる。BC73~2年にはスパルタクスの叛乱も起こった。

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