ローマ人の物語 ユリウス・カエサル ルビコン以前 上 (8) (新潮文庫)
- 新潮社 (2004年8月28日発売)


- 本 ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101181585
感想・レビュー・書評
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「賽は投げられた」「ブルータス、お前もか」などの名言を残したカエサルが主人公の話。ローマ史など全くもって興味がなく、カエサルのこともほとんど知らない中だったがとっつき易い文章と、著者の噛み砕いた解説や考察でどんどん読み進みられた。小説ではなく解説本ではあるが、そこまで堅い文章ではないので、その中間的な位置付け?のような印象であった。
カエサルの生い立ち〜35歳ぐらいまでの話で、彼の人物像が良く分かった。ローマ史なので〜ウス系の名前が乱発されるので、当然誰が誰だか状態になるのだが、本当に重要人物は数名なのでそこは気にしなくても良いのかなと。
ただ、この作品を機にローマ史やカエサルのことももっと知りたいと思えたので、自分にとって転機となりそうな素晴らしい作品だった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
久しぶりにバクバクした(心の臓が)。
おい、カエサル…貴様いつか暗殺を企てるブルータスの母親と交際していたなんて…。暗殺の原因それもあったんじゃ…。なんてね!思ったりしてね!…いや、あり得るよね。命狙われてる人は愛人とか作るのはよそうよ。
だってスッラ派に反乱を起こそうとした人、それを酔っ払って愛人にしゃべっちゃったりして、ろくなことないよ! と思いましたね…。
カエサルって遅延型天才だったんだなあ。だから、カエサルおじさんになってから、有名になったのか。
カエサルが神殿よりも、アレクサンダー大王の像を見に行くところで、本当に天下を取りたいって気持ちが強かったんだなあと思った。
面白かったo(^_^)o -
作者は、ガリア戦記のところで考えを述べているが、私に何を伝えようとしているのか、カエサルについては、このシリーズの一つの中心となるものなので、よく考えてみたい。
〇近現代のローマ字の研究者の中では評価の高い、ジェローム・カルコピーノ著の「カエサル伝」を選んで貨した。
〇人間ならば誰にでも、現実の全てが見えるわけではない。多くの人は、見たいと欲する現実しか見ていない。
〇ガイウス・ユリウス・カエサル
〇幼時に母の愛情に恵まれて育てば、人が自然に、自信に裏打ちされたバランス感覚も会得する。そして、過去に捕らわれずに未来に眼を向ける積極性も、知らず知らずのうちに身につけてくる。
〇立派な男までが羨望感ずるのは、カエサルが、女たちの誰一人からも恨まれなかった、という一事ではないか。第一に、愛する女を豪華な贈り物攻めにしたのはカエサルの方である。第二に、カエサルは愛人の存在を誰にも隠さなかった。彼の愛人は公然の秘密だった。第三は、史実によるかぎり、どうやらカエサルは、次々とモノにした女達の誰一人とも、決定的には切らなかった。 -
前半はカエサルを知るにあたって今までの復習なので、「読んでみたいけど40冊はちょっと…」というかたはここから読んでもいいかもしれません。
カエサルについては生まれた環境、子供時代から39歳までが書かれています。
「カティリーナの陰謀」があったことを記録しておきます。
今までたくさんの英雄を見てきて、特に彼に惹かれることはありませんでした。しいてあげれば、スッラに「キンナの娘と離婚せよ」と言われて拒否したところぐらいでしょうか。
特別目だった活躍したこともなく、よく生き残ったなと感心するなどのエピソードは多いですが、女たらしで借金まみれ。
塩野女史が当時生きていたら彼の愛人になるんだろうなと思いました。私はなりません。高価なプレゼントに興味ないし、ヤキモチ焼きだから無理。
でもこれから読み進めていくうちに、どんどん惚れてしまうのでしょうか? -
これまでの巻でカエサルは登場していたものの、彼を中心として書いたものではないので、この巻では時計の螺子を巻き戻すように、スッラの活躍した時代の事などの歴史的事実が再度書かれています。著者も重複していることは承知ですが、それはカエサルが37歳にしてようやく起ちはじめたからです。それ以前の彼の出自や青年時代の期間の方が、年月にすると長いからなのです。同時代には若き凱旋将軍として大衆に人気があったポンペイウス、小カトーやキケロなど名だたるこの時代の権威者たちを巧みに退け、頂点に近づいていきます。首が回らないほどの借金があり、やたら女にもてたが恨まれることがなかった、というカエサルの人柄。カティリーナの陰謀を弁論する場面の演説は、著者が長いがと理りながらも何故引用したのかがわかります。
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カエサルが「起ち始める」までが書かれた第8巻。前巻と年代的に重なる部分があるが楽しく読めた。この男を中心に世界が回っていくんだという期待に胸を踊らされるばかり。何人もの人妻を寝とり、借金を重ねても苦にしないとはなるほど大した男である。そのハッキリとした態度、ブレない軸を持った才能あふれるカエサルに魅了される人が多いのも本書を読んで納得した。その一方でキケロにも魅力を感じた。カエサルが主人公であるため、キケロに対する印象は悪いかもしれないが、戦争とは違う実力で地位を勝ち取ったこの男にも僕は賞賛を与えたい。
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■評価
★★★☆☆
■感想
◯カエサルについて知りたいと思って手に取った本。コテンラジオで深井さんが面白くしまとめてくれたが、原文を見たいと思って手に取ることに。
◯この巻では、カエサルはまだ何者にもなっていない借金王でハゲでおしゃれに気を使った人でしかない。それでも人間的魅力と無鉄砲さで、いつ死ぬかわからなくてヒヤヒヤするけど魅力に溢れている。
◯カエサルが何故モテたのか、それだけでなく、何故女に恨まれなかったのかの考察がめちゃくちゃ面白い。きざったらしい立ち振舞もかっこよかったのかなと感じた。 -
さて第4巻、文庫版の8冊目にしていよいよユリウス・カエサルの登場だ。ジュリアス・シーザーといったほうがなじみ深いが、ここは紀元前のローマ、やはりカエサルでなくてはならない。そのカエサルの物語は2巻にわたり文庫版でも6冊もある。その前半部はルビコン川を渡るまでのガリア戦役を描く。いやあ強い。ローマの物語でありながらその舞台はフランスを中心とした西ヨーロッパ主要部で、ゲルマンとの戦いではライン川の東までも及び、取って返してイギリス上陸すらしているのだから、すごい行動範囲。まさにヨーロッパの歴史がここから始まったといっても過言ではない。ヨーロッパの父だな。そしてあまりに強く民衆の人気も高いがゆえに、元老院からは憎まれて失脚を計られるというのも、どこかできいた話だ。ところで、大半を占める戦争描写も胸がすくものだが、前半部の最後におかれた腹心のラビエヌスが離脱してポンペイウス側に奔るシーンがとても印象的だ。古代ローマでも義理と人情では義理が重いんだ。
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ついにユリウス・カエサルの話が始まると思ったら、前半ほとんど前巻の内容とかぶる。
カエサルを幼年期から追うため仕方ないが、逆に言うとカエサルを知りたければこの間から始めても充分な始まりではあると思いました。
塩野七生の作品





