ローマ人の物語〈12〉ユリウス・カエサル―ルビコン以後(中) (新潮文庫)

著者 : 塩野七生
  • 新潮社 (2004年9月29日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (218ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101181622

ローマ人の物語〈12〉ユリウス・カエサル―ルビコン以後(中) (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 来て、見て、勝った
    そしてカエサルは殺された

  • 上巻を読んでからだいぶ間があいてしまったなぁと思い、ブクログでの読書記録を見てみたら、なんと上巻を読んだのは1年前のこの時期でした…。
    シリーズを読み始めたころは、月に1冊くらいのペースで読みたいな…なんて思っていたのに…反省。
    今回も前の巻の内容をうんうん思い出しながら読むハメになってしまいました。

    ポンペイウスとの対決に勝利し、ローマの内乱を鎮めたカエサル。
    本書ではその後のカエサルの動向と、新体制樹立のための改革全般について詳細に述べられています。
    カエサルの改革の内容を見ていると、グラックス兄弟がどれだけ先見の明を備えていたのかがよくわかります。

    また、勉強不足で知らなかったのですが、カエサルは造本の方法について提案していたのですね!
    当時のローマでは巻子本が主流だったのですが、カエサルは巻物を切断して紙の束にし、それらを綴じて本にすることを考えたのだそう。
    必要なところをすぐ読めるように、という効率重視の発想はカエサルらしいです。
    この提案は当時のローマ人には評判が悪く採用されなかったとのこと(当時は長い巻物を繰る方がかっこいいとされたようです)。
    しかし、その後中世から現代に至るまでカエサル流の造本がされているというのだからすごいです。

  • エジプト平定後、来た、見た、勝った (Veni, Vidi, Vici)で有名なポントスに勝ち、ポンペイウス派の残党とのタプソスの戦いで圧勝。会戦における包囲殲滅戦の応用系だ。そしてローマ内政改革、都市計画、公共事業などカエサルの頭脳に収められていた新しい統治様式が明らかになる。そして最後ペルシアの大国パルティアとの雪辱戦を果たすその目前、紀元前44年3月15日にカエサルは14人に刺され死んだ。
    子飼いの第10軍団の従軍拒否に、「望みは何か?」、「退役を許す」、「市民諸君、給料・報酬はすべて約束どおり支払う、ただしすべての戦いを終え、凱旋パレードの後だ」のエピソードは人間を知り尽くしたカエサルの器の大きさを言い尽くしてあまりある。

  • ゼラの戦い。「来た、見た、勝った」。アフリカ戦役、タプソスの会戦、小カトーの自殺。ローマにもどったカエサルの凱旋式と国家改造。スペインに逃げ込んだポンペイウス派の残党との戦い。ムンダの会戦。ラビエヌスの戦死。社会改革。

  • この巻では、ついにカエサルが内戦を終了させて、国家改造に取り掛かるところまで書いてあります。
    来た、見た、勝った、というかの有名な言葉を残すほどに、戦では抜群の功績を残して内戦を終了させます。カエサルの戦闘は基本的に相手と場所を見て作戦を考えていたようですが、敵方より少ない人員で勝ち続けているんですからこの人半端ないです。
    国家改造は、淡々と書かれていますが短期間でよくここまで一気に変えれるなぁ、と思うほどです。きっと、ずっと暖めていた案なんでしょう。個人的には、ユリウス暦の採用の話で、Julyがユリウスから来ていることを初めて知りました。

  • エジプトの内紛を収めてから、暗殺される直前までの巻。ポンペイウス派との争いをおさめ、独裁者としての地位を築くとともにローマ圏の維持・安定のため様々な政策を打ち出す。公共事業や流通の活性化など、現代でも日々行われている(成果が出ているかは別として)活動を推し進める様子に驚きを覚えた。

  • ローマ世界全体を手中に治めたカエサルによる諸改革を概説。
    これが一人の手になるものとは信じがたいが、だからこその政治的・軍事的天才なのだろう。

    生涯敵対した小カトーから観たカエサル。

    「清廉潔白に生きることを何よりも重視し、曲がったことならば何でも反対した彼のような人物にとって、カエサルのように、クリーンでもなければ身持ちもよくなく、野望となれば並はずれており、借財があろうと苦にもせず、政治をしても戦闘をしても勝ち、民主的に振る舞うわけでもないのに支持者に不足せず、そのうえこれらを陽気に進めてしまうような男は、許すことのできない存在であった」(p80)

    その小カトーは、カエサルとの戦闘に敗れ、自死してしまう……。

  • カエサルと同時代に生きた著名人にキケロがいますが、一級の弁護士であるだけでなく政治にも情熱を持っていました。内戦状態の時にポンペイウス側に付いたため、カエサルの自分への処遇に慄いている心境が手紙に綴られています。作者もカエサルが「真の貴族精神の持ち主」であったため、キケロさえも彼を理解していないと嘆いていますが、その様子は小心者といった感じでガッカリします。帰国後キケロと会った時のカエサルの寛容な態度を作者は、人間の品位の違いとさえ表現しています。
    カエサルはその後、アフリカやスペインの地でのポンペイウス派の残党制圧を成し遂げ、世界国家とも言える帝国を築くべく独裁者の地位に就きますが、暗殺されてしまいます。その死を知ったときの暗殺者に送った手紙もまたキケロの人格を表す内容でした。この巻の最後にカエサルの書いたキケロ宛の親愛の情のこもった手紙が引き合いに出されているので、余計に虚しく思えました。
    人たらしのカエサルのこの手のエピソードには事欠かないようですが、その中でも凱旋後にカエサルの子飼いの兵士たちがアフリカへの従軍を拒否した場面、このエピソードは圧巻です。「カエサルはただの一言で兵士たちの気分を逆転させた」と古代の史家たちが異口同音に言っているようですが、当にかっこいい〜の一言でつくづく感心させられます。

  • 「来た、見た、勝った」のアフリカ戦役から、その後の国家改造、そして暗殺直前まで。まさか暦の改定までカエサルの手がけたことだったとは。。。
    戦いも含め、カエサルの行っていることは、短期~長期それぞれの射程で、解くべき課題を適切に解いていて、しかもそのスピード感が半端じゃない。昔からすべての問題について考えていたわけではないだろうから、ほぼ直感的に解いていったのだと推察。キケロとタメをはる教養人だったというから、そこで培われた直感なのだろう。凄すぎ。

    P16
    パクス(平和)とは、優劣なき国々相互の話し合いによるものよりも、絶対的に優勢な国による調停とか裁定とか、やむをえないとなれば力で押さえつけるとかで成り立つ可能性のほうが高いのが、人間世界の現実でもある。パクス・ロマーナ、パクス・ブリタニカという呼称からして、この「現実」を示している

    P68
    どうしたって敵が戦闘せざるを得ない状態にもっていくには、敵が放置を許されないどこかを攻撃する必要がある

    P98
    「市民たちよ、女房を隠せ。禿の女たらしのお出ましだ!」(凱旋式時の兵たちの賑やかし)

    P157
    ローマ人にとっての神とは、人間の生き方を律する存在ではなく、行き方を律するのは法律と考えていたからだが、法律によって生き方を自ら律する人間を、保護しその努力を助ける存在なのである

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