ローマ人の物語〈17〉悪名高き皇帝たち(1) (新潮文庫)

著者 : 塩野七生
  • 新潮社 (2005年8月1日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (233ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101181677

ローマ人の物語〈17〉悪名高き皇帝たち(1) (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 「悪名高き…」というタイトルの中身を作者は最初に解説しています。後世の歴史家の悪評に、ホントにそうなのか?という懐疑的な見方を述べているとあります。
    ローマ帝国の事実上のアウグストゥスの後を引き継いだティベリウスは、イメージとして孤愁を滲ませる姿があると作者は書いています。ティベリウスは、晩年を風光明媚なナポリ湾にある小島、カプリ島に居て帝国を統治したようです。別邸の図面も載っていてこれを読むと一度は訪れて見たいという思いに駆られます。しかし、この風景とは裏腹の孤独な生き方をティベリウスは、統治姿勢にも貫きます。
    彼はアウグストゥスの築いた帝国の基礎を更に盤石にする為に、様々な政策を実行していきます。庶民の人気取りとは離れた、地味で苦労のある政策でした。公衆安全、緊縮財政、隣合ったゲルマニアの防衛ラインの撤退など平和な暮らしには欠かせないものでした。名門の血筋でありながら、アウグストゥスの血筋を引き継いでいないというハンディキャップのあったティベリウスでしたが、更に不幸に見舞われます。次期皇帝として公認されていた息子に64歳にして死なれます。それでも悲哀に負けることなく、適材適所の人事を当て任務を着実に遂行していきます。
    この一連の出来事を読むと、2000年後の現代にあって、一国のリーダーの資質は劣化しているのではないかと思うしかありません。歴史に学ぶ姿を持って欲しいと切に願います。

  • 2代皇帝ティベリウスの物語。アウグストゥスから受け継いだ帝国経営は、皇帝の絶対的な支配権によるものではなく、元老院の承認のもとに支配を委託された矛盾に満ちた形態であった。しかも皇帝ティベリウスはこの元老院階級の名門出身のせいもあってか元老院制下の皇帝というい責務を果たそうと真摯に果たしたが、その結果、元老院が責務に及び腰になる。カエサルが描き、アウグストゥスが建てたローマ帝国は、ティベリウスによって仕上げられたのであった。

  • タキトゥスはティベリウスのことを嫌いという話だが、「そんなタキトゥスでもこう書かざるを得なかった。『○○(ティベリウスを賞賛する言葉)」という引用が多く、タキトゥスにツンデレ感が漂っていた。

  • ・アウグストゥスの血をひかない皇帝ティベリウス
    ・ゲルマニクス人気とゲルマニクスの死
    ・帝国の維持 → 緊縮財政、防衛

  • 二代皇帝ティベリウス。カエサル、アウグストゥスとは異なる地味で勤勉な仕事師。大国を創成期から安定期に移行させるには、カリスマではなく人事に長けた有能な指揮者が必要ということか。
    「ローマ帝国は、カエサルが企画し、アウグストゥスが構築し、ティベリウスが盤石にしたと言う事実では間違いない。ティベリウスは何一つ新しい政治をやらなかったとして批判する研究者はいるが、新しい政治をやらなかったことが重要なのである。アウグストゥスが見事なまでに構築した帝政も、後を継いだ者のやり方次第では、一時期の改革で終わったに違いないからだ。アウグストゥスの後を継いだティベリウスが、それを堅固にすることのみに専念したからこそ、帝政ローマは、次に誰が継ごうと盤石たりえたのである。」

  • 初代皇帝アウグストゥスの後を継いだティベリウス帝の苦闘を描く。

    著者は明らかに、ローマ帝国の維持発展という重荷をただ一人で担ったこの冷徹峻厳で孤独な政治家ティベリウスに肩入れしていて、気楽な議論ばかり続けている元老院(富裕なローマ市民600人からなる終身制の最高統治機関)には批判的。読者は自然、現在の日本の国会議員たちの言動に思いを至たすことになる。

    カエサル、アウグストゥス、アントニウスやクレオパトラが登場し、ローマ本国や周辺諸国を巻き込んで派手な軍事闘争を行った前の時代に較べて、動きはぐっと地味になるが、中身は充実。著者のパワーは衰えるどころか、逆にアップしたように感じられる。

  • 第二皇帝ティベリウス、第三カリグラ、第四クラウディウス、第五ネロの「悪名高い皇帝たち」の時代のお話。
    彼らを「悪」で括るのが正しいのかは置いておいて、彼らは「血統」で皇帝になった世代として括ることができる。

    初代が作り二代目で傾き三代目が潰すとかそういうフレーズがある。
    初代は思想と行動が、持っている実力のレベルで完全に均衡が取れている。というか持てる全てで理想に近づけることでそうなる。
    潰れるのが三代目かどうかは不定だと思うが、少しずつ思想がずれ、持てる行動力も上下することで、結果は元の理想から外れていく。そういうことだ。
    コピーはオリジナルから劣化するが、人間の引き継ぎの場合、劣化ではなく変化があるのだ。個性の違いと言ってもいい。

    丁度アウグストゥスが志したローマ帝国を潰すのに必要だったのが、五代目時点だったということだろう。
    決して彼ら個人個人が「悪」であったのではないと、私は考える。
    尤も、「悪」で無かったとは言えないことも多々あるようではあるが。

    人間は絶対に死ぬ。
    個性は絶対にある。
    ならば体制は絶対に続かないのか。
    当初の理想そのままでは、そうなのだろう。

  • アウグストゥス亡き後の、ティベリウス・カリグラ・クラディウス・ネロの四人の悪名高い皇帝の話。本巻はその第一章であるティベリウスの話。と言ってもティベリウスは堅実であり賢帝である印象を受ける。むしろアウグストゥスに途中あれだけ冷遇されたのに、こじらせずよくやっているな、と。私欲が垣間見えない分、アウグストゥスよりも清廉潔白な印象

    P200
    アウグストゥスが遺したシステムであっても、残すべきところは残しつつ、改めるべきところは改めるというやり方は、アウグストゥスの政治を継承することとは少しも矛盾しない。なぜなら、必要に応じての手直しをほどこしてこそ、構築した当の人の意図の永続に通ずるからである

    P212
    誇り高い人とは、何よりもまず自分自身に厳しい人である。自らを厳しく律する人間は、一人息子の死であろうと、悲哀に負けることだけは絶対に許さない。悲嘆にくれ、仕事を放り出すようなことは普通の人のやることであり、普通の人とは思っていない人間には、死んでもやれないことなのである。

  • ティベリウス即位とその統治

  • ティベリウスちゃんとやってるやん、というのが素直な感想。

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