ローマ人の物語〈22〉危機と克服(中) (新潮文庫)

著者 : 塩野七生
  • 新潮社 (2005年9月28日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (235ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101181721

ローマ人の物語〈22〉危機と克服(中) (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

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  •  ネロ帝死後に帝位に就いたガルバ・オトー・ヴィテリウスの3人による内乱を平定した後のヴェスパシアヌス帝の物語です。紀元69年のローマ人による帝位をめぐる内乱の時期に勃発したガリアで発生した反乱と,その前後の時期に発生したユダヤ戦役,そしてそれらの反乱を鎮圧した後のヴェスパシアヌス帝の治世が話題になっています。
     内乱の経緯を描写することでの内乱の性質とそれへの対応に関する記述,そしてユダヤ戦役を舞台としての民族性に関する記述は,現在でも影響している課題にも通日内容が多いとおもって読み進めていました。
     そして,これらの大きな2つの反乱の後に帝位に就き,ネロ帝の後の混乱を収めて再建し,再びローマを成長軌道に乗せたヴェスパシアヌス帝を,時代が求めた指導者として,塩野さん「健全な常識人」と評します。塩野さんらしい表現だと思っています。

  • ガルバ、オトー、ヴィティリウス。3人の皇帝が次々と倒れた後に

    立ったのは、これまでの貴族階級出身ではなく、軍団叩き上げ

    の人ヴェスパシアヌス。日本流に言えば「平民宰相」というとこ

    ろか。

    しかし、打ち続いた内戦で大きな問題が持ち上がる。ユリウス

    ・カエサルが制覇したガリアで、独立の機運が高まった。

    精鋭と言われて来たローマ軍団は、それぞれが皇帝を擁立して

    ばらばら。しかも、首都ローマでの市街戦でローマの守護神

    ユピテルの神殿が火災で焼失。

    「なんだよ、ローマ軍団それほど強くないじゃん。守護神の

    神殿まで燃えちゃって神々にも見放されてるじゃん。よしっ、

    独立するなら今がチャーンス」

    有力部族の長たちは軍団を編成したばかりか、ローマ軍団

    内部からの反乱も引き起こす。だが、すべての部族がガリア

    帝国の夢に参加した訳ではなかった。

    これまで同様、ローマへの忠誠を誓う部族もいた。これが計算

    違い。でも、反ローマの部族にも親ローマの部族にも「ユリウス」

    の家門名を名乗る人がなんと多いことか。

    それもこれも、かのユリウス・カエサルがガリア制覇の際に自分

    の家門名を大盤振る舞いした結果だ。あっちもユリウス、こっちも

    ユリウス。カエサル、なんと太っ腹。読んでいて少々混乱したけ

    どね。笑。

    そして、ガリア問題と並ぶのがネロの時代からの課題だった

    ユダヤ問題だ。内戦での中断はあるものの、結局はローマが

    勝利を収めるのだがユダヤ人の描写を読んでいると、聖地を

    追われたのは自業自得に思えて来た。

    さて、ヴェスパシアヌス。治世はおおむね善政で終始している。

    健全なる常識を持った人は、この内戦を教訓とし早々に自分の

    息子を後継者として周囲に認めさせる。

    「かわいそうなオレ、神になりつつあるようだよ」

    これまで大病もなく過ごして来た常識ある皇帝は、死・の床で

    呟いた。帝位に就く時に公約した、平和と秩序の再復・維持を

    実現して。

  • 9代目 ヴェスパシアヌス登場
    混乱を収拾したヴェスパシアヌス帝の約10年の治世とユダヤ戦役。

    紀元60~70年代。
    ユダヤ教が歴史の前面に浮上するが、キリスト教はまだ姿を見せない。

  • ガリアの反乱
    ユダヤの反乱
    ウェスパシアヌスの治世と死

  • 内紛・外紛をおさめて平和を回復したヴェスパシアヌス帝の巻。健全な常識の人、適度なバランス感覚で見事にローマ帝国を立て直します。相変わらず読みやすいです。

  • 皇帝といえども絶対ではなく、民衆の怒りを買えば殺されてしまう。軍隊での指揮官としての能力は政治に使えるんだな。

  • ガリア人とユダヤ民族の反乱、その鎮圧。ヴェスパシアヌスの治世。

  • 混乱をきわめた時代の後に皇帝となったヴェスパシアヌスはもともと東方に赴任していた軍出身。王家の血筋ではないが、混乱に嫌気がさした属州の軍団から支持を受けて力をつけ皇帝までのぼりつめ自らの血統のフラウィウス朝を創立した。皇帝になってからの業績は功罪がある。功は浪費を排除した常識的な治世で一定の支持を集めたこと。罪は皇帝法を定めたことで外部(この時代でいうと元老院)からのチェック機能を排し皇帝への権力集中を強めたこと。

  • いわゆる「ガリア帝国」による内乱を中心に、ヴェスパシアヌス帝の死までを描く。

    属州にてゲルマン人たちに叛旗を翻されても首尾よく反撃し、さらにはローマを裏切った軍団兵にもゲルマン部族にも、最終的には「クレメンティア」(寛容)の精神で臨んだローマ人。
    今までにも、敗者を赦しつつ同化する政策がしばしば取り上げられたが、今回もそれが徹底していて、現代人は政治的思慮深さにおいてローマ人に遙かに及ばないとも思う。
    当時のローマ帝国は膨張する必要性を失っていたから最早異民族を同化する意味もなさそう、と早計してしまうが、実際はそうではなかったところなど興味深い。
    ましてや皇帝位の争奪が絡んでいたから、短期間とはいえ国家的危機ではあったのだ。
    帝国の維持に無駄なエネルギーを費やさない、先を見通す、ローマ人らしい合理的対処だと思う。

    他方、ユダヤ戦役では徹底的な反抗が認められた(ユダヤ人とローマ人とでは「自由」の捉え方が異なった)から、ローマも非寛容に徹して暴虐の限りを尽くす。
    このようなローマ人の物事への処し方は、一見矛盾しているようで、実は柔軟極まりないケースバイケース思考に拠っている。

  • 書くことがなくなってきた(笑)相変わらず面白かった。繰り返しになるけど作者がローマ寄りの考えなので読んでいて気持ちがいい。

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