ローマ人の物語 (28) すべての道はローマに通ず(下) (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101181783

感想・レビュー・書評

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  • ローマ水道と医療、教育の巻。
    ローマはキリスト教公認以前は明るく、活気に満ちていて魅力ある世界だった。テルマエの中庭で遊ぶ子供達を想像すると、今と変わらない姿が思い描けて微笑んでしまう。

  • こちらではローマの水道、医療、教育について語られている。
    キリスト教の破壊力の大きさよ。それがいいとか悪いとかではなく、一つのことが世界を変えるということに思いを馳せた。
    ローマ人のインフラにかける想い。実利も公益も兼ねた合理的な結果。そして、2000年の時を超えて今もある遺跡。
    今、多様性とか色々言われているが、元祖多様性の帝国。帝国という言葉から程遠く感じる、この敗者を受け入れ、認め、包括してローマ帝国とする懐の大きさは唯一無二だと思う。今こそ、ローマ帝国を見直し、参考にするべき時なのではないかと思う。起こっているいざこざは2000年前も今も変わらないし。
    次からも楽しみだ。

  • ローマのインフラの説明。
    写真や図等が沢山。
    ローマの遺跡を回ってみたくなりました。

  • 広く浅く税金をとるからこそ、限りある税金の中でどれだけ効率的に、合理的に市民の安全と食を確保するかを考え続ける。税率を上げるのではなく…
    ローマ人の創造と継続の傑作にふれられたような気がした。

  • 「インフラとは、需要があるからやることではなく、需要を喚起するためにやることである」
    前章までのアッピア街道などローマ街道建設に続いてこの章ではアッピア水道をはじめとする11本に及ぶローマ水道や下水などインフラ構築について展開。
    清潔な水の安定供給を人間らしく生きるための必須の大事業として、6割を公共と皇帝用に供し4割を私用、私用を4割に抑えるために許認可手続きの煩雑化、世襲も相続・贈与も認めないという工夫。円周の異なる10種の3メートル導管による料金計算、流しっ放し方式で健康や清潔を保つシステム。これを属州を含め全ローマで展開。
    このような道路・上下水道のハードインフラについで教育や医療のソフトインフラ整備についても最後に描写。2000年前の話とは思えない、今の日本のほうがこれより遅れている気がする。ローマ帝国の肝がここにある。

  • 2020I038 232.8/Shi28
    配架場所:A4(立志プロジェクト-人間)

  • ローマのインフラについて書かれたこの『全ての道はローマに通ず』。
    上巻では道と橋を、そしてこの巻では水道と、ソフトなインフラとして医療と教育についてが書かれている。
    現実主義者であるローマ人は、とにかくインフラ整備には力を入れていたことがわかる。

    ハードなインフラ→街道。橋。港湾。神殿。広場。公会堂。楕円形競技場。半円形劇場。円形闘技場。上水道と下水道。公衆浴場。
    ソフトなインフラ→安全保障。治安。税制。通貨制度。郵便制度。貧者救済のシステム。育英資金制度。医療。教育。

    医療と教育は、ローマではついに公のものにはならなかった。
    例えば整備された道路は無料でどこまでも利用できたし、水道も個人用に引くのではない限り無料だった。
    けれど、公的な病院と効率の学校は出来なかった。

    何故かというと、医者と教師は税金などを優遇されることによって良い人材がローマに集まり、その結果、それほど高い料金を払わなくても一般庶民でも医者や私塾に通うことは可能だったのだ。
    逆に言うと、公的資金を投入することなく、医療と教育がある程度一般化していたということ。

    先進国に住んでいれば、インフラの重要さに気づかないまま暮らしていける。
    けれど、世界を見渡せば、水すら充分ではないところはたくさんある。

    ”経済的に余裕がないからか。
    インフラ整備を不可欠と思う、考え方が欠けているからだろうか。
    それとも、それを実行するための、強い政治意思が欠けているからか。
    それともそれとも、「平和」の存続が保証されないからであろうか。”

    今の日本は、徐々にこのインフラ整備がおざなり…から、なおざりになりつつあるような気がする。
    医療費の負担が重くて通院を我慢する老人世帯。
    高騰する教育費。
    作りっぱなしでメンテナンスをしない箱もの行政のつけ。

    ローマのインフラ整備が滞ったのと、医療と教育が国家の事業になったのは同じ頃。
    キリスト教以外を邪教とされてからのことである。
    現世を重視するローマ人と違って、キリスト教徒は死後に天国に行くことが大事なので、道やら橋やらの整備には興味がなかったのだろう。
    そして、実際の能力ではなく、信仰の篤さ重視で免許を与えられた医師と教師の下で、医療と教育も骨抜きになった。
    公衆浴場で汗を流して清潔を保つローマ人たちは、裸を悪とするキリスト教の下で、入浴の習慣すら手放した。
    暗黒の中世というのは、そういう時代だったのだ。

  • あえて★一つといたしたく。
    折角、時系列のある意味紋切り話から逸脱し、かつ、面白い内容かと思ったのに、結局カエサル礼賛の前振りかい、というお話でちょっとどうなのよ?という感じ。
    当方、この作家のファンでも無いし、ローマ史に詳しくも無いので何ですか、結局カエサル至上主義とキリスト教への批判という観点の押しだけでは辛い、読み手としては。

  • インフラのうち、水道、医療、教育に関する話。医療が特に興味深かった。神殿に行けないような人は途中で脱落、着いたら着いたで周りは病人だらけ、自分はマシな方かもと元気になる。結果、神頼みは効果がある!となるのが面白い。

  • ローマのインフラに焦点を当てた編のうちの下巻。
    水道橋、上下水道、医療、教育についてが語られる。
    2000年前とは思えないインフラの整備状況には驚かざるを得ない。

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