ローマ人の物語〈34〉迷走する帝国〈下〉 (新潮文庫 し 12-84)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101181844

感想・レビュー・書評

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  • このままローマはどんどん坂道を転がり落ちていくのかと思っていたらそんなことはありませんでした。

    前座がクラウディウス・ゴティクス
    今までの流れを変えて順調
    でも疫病で1年半で亡くなりました。

    アウレリアヌス(5年)とプロブス(6年)は本当に久々に立派な皇帝が出てきたと思ったら、心無い人たちに殺されてしまうんですね…。

    アウレリアヌス暗殺については塩野女史もかなりお怒りなのでしょう。主犯のエロスは

    >生きたまま身体を裂かれるという極刑に処され、

    と明記されています。エロスにそそのかされて加わった将官たちの中には後悔の思いに苦しみ自殺した人もいるそうです。

    「実力重視の皇帝」の、欠点としては距離が近いこと。
    >いわゆる「貴種」、生まれや育ちが自分とはかけはなれている人に対して下層の人々が説明しようのない敬意を感じるのはそれが非合理であるからである。多くの人にとって素直に胸に入ってくるのは、合理的な理性よりも非合理的な感性のほうなのだ。

    そんな非合理に慣れ親しんだ一般大衆に敬意を捧げられるには距離をおくことがよい方法ですが、それには時間が必要だそうです。

    >リーダーであり続けることは相手が感性に左右されやすい人間であるだけにむずかしい。親近感をもたれながら距離感もいだかせる必要があるのだから。

    プロプスの頃には皇帝になってもすぐにローマに行く余裕もなく蛮族やペルシャに勝利して凱旋式挙行でしかローマへ行くことはなかったそうです。後のハリウッド製ローマ史劇ではパラティーノの丘全体を占める壮麗な皇宮で乱痴気騒ぎを享楽する場面があるらしいのですが、もしもこの時期のローマ皇帝たちがこれを見たら「こうも誤解されるのならば一度くらいは実際にやるべきだった」とくらいは言うかもしれないと塩野女史。

    もうひとつ笑ってしまったところ
    >ペルシア戦役再開を告げる告示を、兵士たちは歓声をあげて迎えた。鍬をもつ日々から開放されただけでなく、オリエントは彼らにとって、豊かな地と同意語なのである。まるでイタリアとかガリアの名を聴くだけで金や銀貨の山を思い浮かべてしまうゲルマン人の蛮族と変わりないが、ローマ軍の兵士たちも三世紀も末になると、このようなことでも蛮族化が進んでいたのであった。

    巻末にキリスト教について書かれています。

  • 1〜34の これがシリーズ最終巻です。
    現在 手元には、ない・・・。

    内容 :
    疫病の流行や自然災害の続発、そして蛮族の侵入といった危機的状況が続く中、騎兵団長出身のアウレリアヌスが帝位に就く。
    内政改革を断行するとともに、安全保障面でも果断な指導力を発揮し、パルミラとガリアの独立で三分されていた帝国領土の再復に成功。
    しかし、そのアウレリアヌスも些細なことから部下に謀殺され、ローマは再び混沌のなかに沈み込んでいく。
    のちに帝国を侵食するキリスト教も、静かに勢力を伸ばしつつあった。

    著者 :
    1937年東京生まれ。学習院大学文学部哲学科卒業。
    「ルネサンスの女たち」でデビュー、70年以降イタリア在住。
    著書に「海の都の物語」「わが友マキアヴェッリ」など。

  • 迷走を続ける3世紀のローマ帝国は蛮族からの襲撃に苦しめられる。その中で現れたのが、軍人で騎兵団長出身のアウレリアヌスの皇帝就任。混迷期に珍しく、就任当初から明確な考えをもってグランド・デザインを描き、それを実行していく冷徹さを持っていた。蛮族を打ち破り混迷が打開されるかと思いきや、自分にも他人にも厳しい性格が災いし側近に忙殺される。混乱の最中のローマ人は目の前の蛮族襲撃、農耕地帯の荒廃に直面し、なぜ我々は生きているのか、という問いに自信を持てなくなってしまう(アイデンティティ・クライシス)。
    そのローマ帝国の弱体化と疲弊化のなかで、人々の最後の希望として映ったのがキリスト教である。

  • 新潮学芸賞

  • ★2008年12月7日 96冊読了 『ローマ人の物語34 迷走する帝国(下)』塩野七生著 評価B
    混乱の3世紀後半をガリエヌスからディオクレティアヌス登場まで描く。蛮族の北からの侵入、東からの圧力、ガリア帝国の成立、パルミラ王国の成立など従来の広い版図を誇った帝国が分裂の危機に瀕し、ギリギリの所で踏みとどまるも既に全盛期のローマ帝国とは比べものにならない体制に陥り、次々と軍人皇帝が擁立されては、謀殺されていく歴史はこれまで知らなかった側面を知らされる。

  • ゲルマン民族の来襲下、パルミラ王国、ガリア帝国に3分割されるローマ帝国。
    皇帝アウレリアヌスによる再統合。
    社会不安とキリスト教の浸透。

    中東の歴史の中でよく出てきたパルミラ女王ゼノビアがここで登場。
    しかし、作者は彼女を不誠実なお調子者と見ていたようで、評価は高くない。

    蛮族の侵入、疫病と戦争、内政不安の中、ローマ帝国は衰退を続ける。

  • 第三章のローマ帝国とキリスト教が興味深い。宗教も人間が必要として生まれたものなのか。「寛容」は宗教に限らず、人間関係の中で重要なキーワードだ。

  • ローマ皇帝が簡単に変わっていく。

  • 古代ローマの死因は無能な皇帝でもキリスト教の台頭でもない。
    ローマは老いて疲弊し、老衰で最期を迎えたのだ

  • 疫病の流行や自然災害の続発、そして蛮族の侵入といった危機的状況が続く中、騎兵団長出身のアウレリアヌスが帝位に就く。内政改革を断行するとともに、安全保障面でも果断な指導力を発揮し、パルミラとガリアの独立で三分されていた帝国領土の再復に成功。しかし、そのアウレリアヌスも些細なことから部下に謀殺され、ローマは再び混沌のなかに沈んでいく。のちに帝国を侵食するキリスト教も、静かに勢力を伸ばしつつあった。

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