死にゆく妻との旅路 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
3.18
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本棚登録 : 226
レビュー : 55
  • Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101186214

作品紹介・あらすじ

高度成長期、縫製一筋に生きてきた私は小さな工場を経営し、苦しくとも充実した日々を送っていた。が、中国製の安価な製品が容赦なく経営を圧迫し始める。長引く不況、膨れ上がる借金。万策尽き果てた時、私は妻のガンを知った…。「これからは名前で呼んで」呟く妻、なけなしの五十万円、古ぼけたワゴン。二人きりの最後の旅が始まった-。

感想・レビュー・書評

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  • とても重い雰囲気が文章全体に漂う中、読み進めていかなくてはなりません。

    テーマが重いせいか、文章の書き方なのか、それとも日本海側に土地勘があまりないからなのか、なかなか文を読み進めることができませんでした。

    とても薄い本ですが、完読するまでに相当時間を要してしまったのを覚えています。

    まだ自分は独身ですが、自分が結婚しその立場になったらどうするだろう、どういう感情を抱き、どういう行動をとるだろう。そもそもこういう状態になる前に何かできなかったかなど、日本海の荒れた冷たい波を想像しながら読み終わった後もずっと考えてしまいました。

  • 涙なしには読めません。特に中年以降の方には。

  • 実話。 著者清水氏による手記である。

     北陸、金沢の近くで小さな縫製工場を営む「わたし」は妻とふたり暮らし。構造不況で会社は巨額の借金を背負い込み経営が悪化。時を同じくして妻は病に倒れるが、夫のそばに居たいと願い、入院を拒む。会社を立て直すため夫は車で各地を駆け巡り金策を続けるが、借金は膨らみ続ける。 ふたりはやがて、逃避行のようなあての無い旅に出る。
     
     オンボロのワゴン車に乗って、北陸の各地を虚しく走り続ける夫婦ふたり。旅は、西は鳥取、東は仙台へ…。そして妻のガンは日に日に悪くなってゆく。お金も尽き、ワゴン車でのホームレスのような暮らしに落ちてゆく。
     
     妻は年上の夫を「オッサン」と呼ぶ。夫は「ひとみ」と呼ぶ。「これからは名前で呼んでほしいわ」と妻がつぶやいたからだ。 「オッサンといられれば、それでええ」。妻の言葉がいじらしい。
     
     不治の病を抱えた妻との極貧の旅、未来の無い旅路。
    中年夫婦のふたりの日々なのだが、まるで純愛のようである。
    オッサンの優しさ、悔い、弱さ。 妻ひとみのけなげな想い…。
    しみじみと深く心に沁みる。 

  • 読みやすかったが、筆者の弱さが前面にでた作品。この人は若いころからずっと目の前の問題に取り組まず、逃げてばかり来た結果こんなことになっているのだと思った。しかし、弱い心は誰でももっているし、私もある問題からは目をそむけている。できるだけ誠実でありたいものだ。しかし、病気、貧困というのはつらいものだな。

  • こういう輩には腹が立つ。
    その場しのぎの行動しかできなくて、
    実直に生きてさえいれば悪いことなど起こるわけがないと思っている甘えぶり。
    ただの依存夫婦。

  • 2011年読了。映画化。

  • ・妻には十分なことをしてやった、なんてその時に言える男が一体どのくらいいるんだろうか。などと思いそこで考えることをやめる。

  • この著者は別に作家でもない素人の人。奥さんとの旅を書くためだけに筆を取った人。
    そんな人のわりに(言い方わるいけど。。。)、とってもよく書けてると思います。
    ただ、たまに昔の回想シーンが突然紛れ込んでくるので、ちょっとわからなくなる時があったけど、
    奥さんに対する思いがヒシヒシと伝わってきました~。

    ただね、本編が始まる前に、作家の高山文彦氏の解説が載ってあって、それを先に読むようになってるのよ。
    はじめの解説で大体の本筋がわかってしまうし、それを読むだけで涙が出そうになるのよね。
    だから、本編を読みすすんでも、ストーリーが分かってしまってたので感動がかなったのよね。
    ほんとは、涙が出る本なんだろうし、こういう本に弱い私は絶対に泣くはずだったのに泣けなかった。。。
    この解説はね~、従来の本通り、後にもっていくべきだと私は思うよ~。

    でも、、、、。
    なんで男寡っていくのは可哀相なもんなんだんろう。
    Widowよりもなんかこう哀愁をおびると言うか、孤独感がいっぱいに感じるのよね。
    自分勝手に生きてきた男の人に限って、奥さんに死なれると反省するのか、死んでやっと奥さんの存在の大きさを知るのか、涙がでるよね~。

  • 妻が死ぬまでだけの旅を書いているのではない。
    妻の喪失と共に、苦しみぬいた<私>の手記だ。

    弱っていく妻を見て病院に行くことを勧めた<私>だったが
    「一緒にいられなくなるわ…」とぽつりと呟く妻の言葉が引き止めた。
    旅はゆるやかに、だが妻の病気、そして死に向き合わねばならないものであった。

    「妻のいる気配がして、よく横を向いた。そしてひとり、初めて寂しさを知った。」
    フィクションとは違う、リアルな苦しみ。
    妻がいなくなってからの様子は本当に苦しげだ。
    だが、その苦しみを乗り越えていった<私>は強い人物なのだと思う。

  • 2012/07/24 津市津図書館---芸濃図書館。

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