- 本 ・本 (608ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101186368
感想・レビュー・書評
-
最高だった。この感覚、内容は読んだ人しかわからない。
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
怒濤のクライマックス! 一気読みの下巻、603P!!
正直半分くらいはついて行けない様な展開なのですが
そこを脳みそを必死コイてのフル稼働で、喰らい付いて
行く先には、なんとも言えない脳内麻薬がジワーっと!
いやー、凄い、もの凄い作品ですなー。
ストーリーの着地点は途中から見えては来たものの、
そこに至るまでの運びは何度もハラハラさせらるし、
中盤での推理合戦がこうやって後半に活きてくるのを
感じるだけでもニヤニヤしてしまう。
そして何より...「水星C」の存在感! 133Pで書かれた
イラスト図がこんな伏線だったなんて!! 最高にカッコいい!!
単に紙に印刷された文字の羅列を目が追い、その内容を
理解しようとするだけで、自分の中で、その紙に書かれた
活字は上下左右、奥行きを持ち、自由に脳内にその世界を
構築するのだ。きっと自分が小説を読む事が止められない
理由がそこにあるんだろーなー。
ラストに書かれるインドのムンバイのカエルのシーンには
あまりの美しさに思わず涙が溢れ出てしまった。
もっと自分がジジイになった時に必ず読み返そう! -
舞城王太郎『ディスコ探偵水曜日』読了。
初の舞城作品だったが、最初は独特の文体に苦戦、しかし100ページも読む頃にはすっかりハマってしまった。リズムさえ掴めば非常に読みやすい。そしてこの作品は何より収集がつかないのではないかと思うほどにあらゆる方向に物語が発散していく。幼い子どもに未来の少女が「入ってくる」というSFのような展開を見せたと思えば、中学生の意識だけが抜かれる怪奇事件も起き、そしてパインハウスなる建造物に十数名もの名探偵たちが集い一つの変死事件に対して推理合戦を行う。その全てに振り回されながら、それでも中心に居続ける迷子探し専門の米国人探偵ディスコ・ウェンズデイ。物語は世界や宇宙、心や時間を飛び越えて縦横無尽に踊り狂う。それなのに、読み終わった頃にはその整然と処理され収束しきった神話のような物語にガツンと殴られ、もはや何を感想として残したらいいのかわからない。
初読みでもわかるのはこれが舞城王太郎の集大成だということだ。いくつかの著作の登場人物の名を知っていれば、彼らの名を借りた人物がこの『ディスコ探偵水曜日』にも登場することが判る。同時に、彼らが同一人物ではなくて、この物語が独立していることも判る。だが、ミステリの文脈で文学や人生、世界を描いてきたと思われる舞上の作風はこの作品にて大きな着地点を見出したのではないかと思う。だから、舞城を追ってきた人にはきっと僕以上に堪らなく面白いと感じる描写や展開があるのかもしれない。
この作品は近年、第五の奇書として称され始めた。それは探偵小説三大奇書や第四の奇書『匣の中の失楽』へと続く黒い水脈として受け止められる表現の仕方だが、おそらくそれは違う。この作品は確かに奇書と言っていいほどに「ぶっ飛んでいる」が、それはおそらく第五にしてこれまでとは全く違う次元の「第一の奇書」なのかもしれない。新たな頁を開く長大なスケールの物語として、この物語は位置づけられたのではないか。
しかし、そんなことすらももはやどうでもいい。ただ面白くて最高、そういう小説だった。 -
久しぶりにこの作者の本を読んだけれど相変わらずのスピード感。上・中・下と割と長いのに全くそれを感じさせなかった。沢山のキーワードと大量の文脈があったけれどあまり混乱せずに最後まで読めたな。内容は読んだらわかるというかスケールがでかすぎる話。主人公ディスコも面白い奴だったけど水星C、お前最高に面白い奴だよ。
-
ストーリーに面白いところもあるんだけどね、何しろSF的なところが分からん、というか理解しようという気持ちになれないのよ。どこらへんまで推理なのか、推理の前提のSF的なところが頭が固くて追いつけないのか。まぁ何にしても分からん。
しかし水星のオールラウンダーっぷりが半端なくて、これに比べればいちいち言い訳ばかりの水曜日はヘタレでしかなく、水曜日がのび太なら水星はドラえもんであって、そうなるとなぁ、インチキじゃんてなるけどまぁのび太ものび太なりに頑張った。 -
『好き好き大好き超愛してる。』でみせた「愛は祈りだ。僕は祈る。」の信念を、言葉だけでなく実践してみせた、怪作にして舞城の最高傑作。
序盤は村上春樹的な奇想のロードムービーをやり、中盤ではがっつり密室モノのミステリをしつつ序盤の奇想までもを伏線として回収してゆく。大勢の"名探偵"たちによる壮大な推理合戦は、その論理が披露されるごとに新たな真相がアップデートされてゆく。この感じは麻耶雄嵩が『翼ある闇』で試みたそれと近いものがあるのだけど、本作においてはその推理は十三回にもおよび、長大だ。「名探偵は必ず真相を解き明かすがゆえに名探偵である」という循環論理はメタ的には真理で、そのことにさえ自覚的な名探偵たちは「自らが真相を創っている」という考えにいたる。かくして世界は人が思うような姿で在り、それぞれの世界観のつながりのなかで揺らいでいるというさまを解き明かしてゆく。密室の謎を解くことが、世界の成り立ちの謎へと接続する。
超常を一つ一つ許容してゆくごとに世界が拡張してゆくさまはまさに快楽で、下巻では論理のインフレが次第にディストピアSFへと変幻する。
迷子探し専門の探偵、ディスコ・ウェンズデイが子攫いのキャッチャー・イン・ザ・ライになるまでを描く一代記。すなわち愛の実践。 -
ふう、やっと読み終わった…。最後うまく丸め込まれた感じだけど、やっぱり私にはどうにも難解すぎた。しまいには語尾の「のだ」の執拗な繰り返しにアレルギー反応起こしかけたし(本読んでてじんましん出そうになったの初めて)。だけど、もしあの宇宙論やら時間論やらを理解できる頭があったなら極上の小説世界を堪能できたはずだと思うと、ちょっと、いや、かなり残念。このあと舞城さんがこの方向に突っ走らず『キミトピア』や『淵の王』など私にも理解できる、いや理解できすぎるすばらしい作品を書いてくれたことに心底感謝してる。
-
ようやく読み終えた。。一体これは何小説だったのだろうか?全くわからない・・巷では第五の奇書?とも云われるらしいが...
-
このミスベスト10、2009年版9位。これは難しすぎ。上巻はすごく面白くって期待が膨れるんだけど、だんだん話がでかくなるとともに難解になってくる。中巻あたりからしんどくなってきて下巻は苦痛。さっぱり理解できません。これって、きちんと意味をなしてるんだろうか。哲学うんちく系のやつみたいに悶絶しかけました。無駄に時間がかかってしまったし自分的には評価低いんだけど他の人の感想がとても気になる。
著者プロフィール
舞城王太郎の作品





