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Amazon.co.jp ・本 (419ページ) / ISBN・EAN: 9784101187044
AIがまとめたこの本の要点
この本を表す言葉
みんなの感想まとめ
テーマは人間存在の曖昧さと、死や時間に対する独特の感覚であり、作品全体を通じて不条理な日常が描かれています。主人公の「先生」は、自由で奔放な生活を送りながらも、周囲から理解されずに孤独を抱えています。...
感想・レビュー・書評
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夏目漱石『こころ』の島田雅彦的解釈によるオマージュと捉えれる本作。
作品中盤から約200pに及ぶ“先生”の冗長な日記は、作者の意図的な悪ふざけ・ナンセンスを感じ個人的に楽しく読めた。
ただ、伝えたい内容は非常に掴みづらく、作者の自由な筆に付き合わされた感は拭えない。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
もう人間はいなくなってしまった。人間の影だけだ。現実もまた消えてなくなってしまった。
日記は嘘しか書かない。ここに書かれた私はフィクションである。
ラーメンのスープには高分子状態の妄想が溶け込んでいる。
イイワヨワタシモヒマダカラヒトリデタベルノハシノウカニワルイワ。ぼくの期待を一字ずつなぞるような答え。
ウィーンと東京の距離は飛行機で十二時間。魂は飛行機ほど早く飛べないし、よく飛ぶ方向を間違える。
結局、黒を白といいくるめたり、相手を煙に巻いたりできる言葉を人は母国語と呼ぶのだろう。
しかし、「リカちゃんの茶室」にはあった不思議な距離感、何もかも曖昧なままなのに関係だけはでき上ってゆく雰囲気はホテルの部屋にはなかった。そこでは二時間の休憩という枠組みの中で一挙手一投足があらかじめ意味づけられているのだった。私はホテルを出たあと、恋人にいう。
ー君のアパートへ行こう。
先生は誰にも理解されず、永遠に胡散臭さの固まりであり続けるべきなのです。先生はその正体を誰にも明かしてはなりません。正体が謎である限り、来世でもしぶとく生き延びてゆけるのですから。
地に足が付いてない。霧の中から世界を眺めるような。悲壮な覚悟の遊び人。夢の中で死者と交わる。鈍いのぞき魔。
テーマも内容も面白くないけど、死と時間の概念がおぼろげで、各章節の終わりの余韻が気になって読んでしまう。なんだか全て空想と肉感の世界に遊んでいるような、夏目漱石というより世俗的な光源氏。謎の師弟関係。最後の10ページくらいの回想・手紙部分でなんかやっと落ち着いた。行間の隅の隅から、簡単に言いくるめてガール・ハントをして女の子とベッドインを妄想している脂っぽい哀しいおじさんの姿が見え隠れする。どれだけこの本の欠点を指摘しても、彼岸先生は「それこそ私の意図するところだ」と開き直るのだろう。
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「こころ」を再読し、これも再読した。
こころのフォーマットをなぞってはいるが、これを「平成版こころ」というのは違うと思う。読み入るような心情描写はなかった。変態版こころ、といったところだろう。 -
おもしろい
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あまり面白くなかった。
変わった小説家とその弟子の話。
女性を口説くテクニックだったり、小説家が狂ったので、その日記を弟子が読むとか。
けっこうどーでもよいっと思ってしまう。
人の考えなんていろいろ。その考え方を理解する事にあまり興味をそそられない。
ましてや共感を持てない人となるともっと。
そういう事でけっこう読む飛ばした。 -
恋文の技術をふと思い出す
追記
きくひとか ああ、なるほど -
夏目漱石の『こころ』を下敷きにしてはいるものの、途中から太宰治的要素が強くなり、惰性で読み通した。
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読んで損なし。
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ロシア語専攻の大学生、菊人(きくひと)は、近くに住む小説家の先生(川向うに住んでいたので「彼岸先生」と彼は呼ぶ)に師事し始める。先生は、女遊びばかりで口がうまく、嘘をついてばかり。遊んでいるばかりの先生はいつも何を考えているのかわからない。のらりくらりと捉えどころがないが、自分の生き方について深刻な悩みを抱えているように見える。そんな先生を菊人がどんな人間か描写していく話。本の大半は先生の日記に費やされている。
先生、奥さん、書生のぼく、という種類の登場人物、生き方に悩む先生、自殺、先生からの手紙と日記、これらのことは夏目漱石の『こころ』をたしかに意識しているように思える。
蓮實重彦の解説でそうだったのか!となった。たしかに諏訪響子は自殺をほのめかしており、先生を「彼岸先生」と呼ぶのは菊人だけだった。
先生のような女遊びばかりの人生は楽しそうだなと思った。 -
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物語のかなりの部分を占めるエロ自慢日記。それに対するとらえ方で、だいぶ作品の印象が変わるんじゃないでしょうか。個人的には楽しく読めました。タイトルや構成、登場人物も含め、夏目漱石の作品が頭から離れませんでしたが、内容的には、こっちの方がずっと好きでした。
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2012.11.08
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あくまで幸せを追求をどうなるのか。そのようなテーマにも思えるし、単なる虚構の世界を描いただけ、というものにも思える。
描かれている人物達は、彼岸先生を除いてはあまりに個性的過ぎて虚構であると感じられるのだけれど、そのためかえって彼岸先生の生き方が真実のように思えるのだ。とても深いなあ、と彼岸先生の年齢をはるかに上回るにも関わらず感じた次第。 -
村上春樹は本当は真っ当な人が変人になろうとしてる感じで、島田雅彦は純粋な変人が出てくる。
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久方ぶりの再読、ほとんど覚えていなかったな。
どうやら本書(および巻末の解説者(いつも偉そうです))は読者の知的レベルを要求しているようであるが、頭をシンプルにして考えれば結構酷い内容な気もしなくはない。
色んな解釈方法がこの本には存在するとは思うが、どう考えても中盤の日記のくだりは冗長で品がないでしょう。
権威に阿ることなく駄目出しをためらってはいけないということだけが記憶に残りそうな作品になりそう。 -
読みやすく興味深く、どんどん読み進めて行ったのだけれど、たぶん肝心な箇所だと思われる「彼岸日記」の章にかかった途端、かなりだるいんだよなあ。
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4日で読了。先生の思索部分など頭に入りづらい所もあり、読み易くはない。暇つぶしにはなる。先生の人格が破綻、性に奔放、自己破滅的。菊人は怖いもの見たさで傍観するのか。此岸から彼岸を見るもののように。
先生の日記でも、先生の人となりを形成はさた理由ははっきりせず、若干モヤモヤとする。最後の手紙は菊人の手紙だと蓮見重彦の解説を読んで分かり、何とか、菊人なりの答えが見える。此岸に留まり、彼岸を理解することの折り合いをつけるためにチベットを持ち出し、結論づけた。小説家として結論づけたんだなあと。 -
19歳の菊人と、小説家でプロの嘘つきである先生の、奇妙な師弟関係を綴った物語。後半は概ね先生の日記になる。平成版「こころ」と言われているけれど、どうだろう。
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あらゆる意味でレベルの高い本だ。
本のタイトルは『あるオナニスト作家のダメダメ日記』とでもしたほうがいいのでは?と思うほど、セックス、オナニー、射精等の言葉が飛び交うが、その文章はどこか熱く、気品に満ちている。
なので、やはりタイトルは『彼岸先生』なのだ。
どこか狂気じみているようで、しっかりした軸があり、あっというまに読んでしまった。
大変興味深い一冊。 -
胡散臭さで男を上げ、孤高のフィクションを生きようとする作家の“彼岸先生”と、先生に弟子入りした“ぼく”との奇妙な師弟関係。先生から生き方を学ぼうとした“ぼく”は、やがて先生の日記を手にするが…。先生の目指した生き方とは一体何だったのか、分かるようでいまいち分からない。先生の奥さん、智恵子さんの存在の仕方が素敵だ。平成版『こころ』らしい。
☆泉鏡花文学賞
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