向田邦子の恋文 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (176ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101190419

感想・レビュー・書評

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  • 向田邦子の秘めた恋、そして妹:和子から見た姉:邦子の姿。邦子と恋人の手紙と日記による第一部を経て、真ん中に挟まれた邦子の若かりし頃のポートレイト。何枚かは知っているものだが、改めて、その弾けるような美しさに息を呑む。
    飛行機事故で邦子が他界した後のことなど、和子が綴る姉への思いは、読んでいて切なくなる。そして、身内だから語れる家族のこと。妹目線の様々なエピソードから、向田邦子像の輪郭がくっきりしてくる。あまりにも家族思いな、長女:邦子。本当にいい娘、いい姉で、そして、謎めいたところもあって。本書はそう長くはないので一気に読めたものの、読了後様々な思いがかけ巡り、うまく言葉にならない。そんなまとまらない思いを、太田光が解説で非常にうまく表現してくれた。本当に彼の向田邦子愛には頭が下がる。
    生死についてすごく考えさせられた…悩んで迷って悲しんで、それでも生きていく、ということ。思った以上に深い一冊だった。

  • 向田邦子さんが33歳から34歳の時にお付き合いしていた13歳年上の妻子あるカメラマンN氏に宛てた手紙とN氏の日記。

    邦子さんは突然の飛行機事故で亡くなられたので、茶封筒にそっとしまっておいた〝秘め事〟を妹さんに公表されるなんて思っていなかっただろうと思うと読んで良かったのだろうか?という気持ちにもなりました。

    妹和子さんから見た邦子さんという人は向田家を支え、危機を救った人です。そんな邦子さんが唯一何でも相談出来るお相手がN氏だったのでしょう。

    爆笑問題の太田光さんの解説が的確でとても素晴らしく読みながら何度も頷いてしまいました。

  • 「まいったなぁ。」

    これがこの本を読み終えて、真っ先に出てきた言葉だ。

    これは向田邦子さんの妹、和子さんの著書である。
    四人きょうだいの末っ子である和子さんが、世間では有名な脚本家だった
    邦子さんのことを少しも脚色せず、ただただ妹として、
    不幸にも飛行機事故で急逝した姉の人生に向き合っている。
    物書きとしては素人の和子さんが、丁寧に書き綴っている。
    そのことがとても胸に迫って、たまらなくなった。

    「まいったなぁ」

    わたしもいつか死んだあと、思い出したり振り返ったりされることになる。
    その時に近しい人たちが、誇らしく、愛おしく、思い出すことが嬉しくなるような
    そんな人生を歩んでいくようにしよう、だなんて思ってしまったではないか。

  • "向田邦子"の作品(ドラマ、小説、エッセイ)って好きなんですよねぇ。

    男女の違いはありますが、生き方についても憧れる部分があり、、、
    妹の"向田和子"の著書『向田邦子の恋文』を読みました。

    前半は"向田邦子"が恋人に宛てた手紙と恋人の日記が時系列に紹介してあり、後半は"向田和子"の回想という構成になっています。

    他人の手紙や日記を読むのって、何かイケナイ感じがして、読んでいると罪悪感めいた気持ちが湧いてきたのですが、もっと"向田邦子"のことを知りたいという気持ちが強く、そのまま読み続けました。

    男女の付き合い方や家族との接し方、他人に対する気遣いについて、改めて考えさせられましたね。
    「人間、オギャーと生まれた時から苦を背負っているのよ。口に出して言うか、言わぬかの違いはあっても、誰にも苦労はある。そこをどうしていくかが、知恵のつかいどころ。あまりクヨクヨしないで、時が経てば笑い話になる」
    印象に残った"向田邦子"の言葉です。

  • やっぱり向田邦子が好き

  • 恋文自体の公開はどうかと思ったんだが、のぞき見趣味的な気持ちで読了。

    驚くべきは向田邦子さんのすさまじい公私すべてにおける働きっぷりである。寝てんのかこの人!

    しかも全然怒らないらしい。私は『怒りが俺を生かしている』(byジョン・ライドン)状態で日々ぷんぷん生きてます。邦子さんすげーなーと感じるとともに、結局そういう彼女に周囲の人(特に家族)がめっちゃ依存してたのが分かりまたしても怒りが湧いて来るのだった!

    『忙しいのは分かってるけど、話がしたくてつい何度も電話する母にイヤな顔せずに対応する姉(邦子)』とか美談風に書いてるけどそれ美談じゃないわ。止めろ母を。

  • たまにはノンフィクションも読まなければと思って。前半の手紙のやりとりで、邦子からN氏へ送った手紙の、締めの挨拶がとても好き。「愛してる」とかそういう言葉ではなく、「手足を冷やさないように」とか「みかんを大いに食べるべし」とか、きっと手紙の内容よりも、この最後の“挨拶”が、恋文の本題なんだと思う。ほとんどメールの文化しか知らない私、この“挨拶”を切り捨ててしまった気がして少し淋しくなった。
    太田さんの文章まで読了後、女でいることの責任感みたいなものを勝手に感じてる。強く生きなきゃだめなんだなって。

  •  読んだとき、とてもショックを受けたのを覚えています。
     妹さんがこんな私的なことを明かしていいのかと。
     若かったので、邦子さんのイメージが崩れたとおもったのか。

     今では、この向田邦子さんだから、あの短編集の数々があると思っています。

    • korotterさん
      男っけない、てのが通説だったからねぇ。
      まだ、未開封の封筒が和子さん宅にあるらしい。
      男っけない、てのが通説だったからねぇ。
      まだ、未開封の封筒が和子さん宅にあるらしい。
      2010/04/17
  • 最後に読もうと、読まずに残しておいた文庫本『向田邦子の恋文』を読みました。
    後半、実妹の向田和子氏の書いた姉像を読んで、今まで想像していた向田邦子像が、また少し良い意味で変わりました。

  • 内面の強さを感じた。
    自分がある。

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著者プロフィール

向田和子(むこうだ・かずこ)
1938年、東京生まれ。エッセイスト。向田邦子の末妹。邦子が考案した小料理屋「ままや」の経営者。おもな著書に『向田邦子の遺言』『向田邦子の恋文』など。

「2021年 『向田邦子シナリオ集 昭和の人間ドラマ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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