着物をめぐる物語 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 148
感想 : 25
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  • Amazon.co.jp ・本 (259ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101191195

作品紹介・あらすじ

華やかな歌舞伎座の楽屋に、藤娘の衣裳を着て現れる女形の幽霊。唐子の着物をほめてくれた混血の美青年が戦時中にたどった運命。夫と息子に先立たれた老女が黙々と織る越後上布。男に翻弄されたホステスが遺した大島。老境を迎えた辰巳芸者の着物への執念。畳紙に包まれ密やかに時を刻んでいた着物が、繙かれ鮮やかに語り始める…。縦糸と横糸のあやなす、美しく残酷な11の物語。

感想・レビュー・書評

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  • 着物にまつわる11の短篇エッセイ。私は着物の知識はないが、一気に読み終えてしまった。着物には呪う力、怖しい執念とか、女は着物に踊らされ、狂わされるなど、まるで薬物に溺れるかのように、魔物のような人を夢中にさせる力があるのだろうか…。怖いけれどのぞいてみたい、不思議な読後感だ。

  • 2017 1/3

  • 色彩豊かな小説。

  • こういう本を読むと
    何かの折に着物を着たくなる。

  • 本の帯びからもっと恐ろしい話なのかと思ったらそうでもなく。第三者からの視点で書かれているためかサラッと触れているだけの感じがした。
    自分は中古衣料に携わっており、どんな服にもエピソードがあって当たり前だと思っているので、その中でも「念」がこもってしまっている物の存在は着物に限った話ではない。
    またこの本に出てくるのは高級な着物ばかりであり普段着は無い。それをセーターやスーツと同等とするのは違和感があった。
    しかし花柳界と越後上布の話は興味深く読んだ。

  • ゴージャス、絢爛でおどろおどろしい、女と着物に纏わる短編集。着物といってもウール、木綿などお呼びでなく、ポリは論外。正絹小紋ですら怪しい。古着を「絹の死体」と称されたのは若干ショックであった。物語自体は、異世界を垣間見るようでたいへんおもしろい。

  • 着物にまつわる11編の短編集。


    語り口調で書かれている文章がとってもきれい。
    もともと着物には興味があったのだけれど、母の着物も、叔母の着物も全て譲ってもらえたらどんなにいいだろうな……とかいつの間にか考えてしまっている。
    扉の着物の写真にうっとりしてしまったり、読んでいる間にだんだん自分も着物に執着を持ってしまう感じがしました。

    ほとんどの話に死がからんでいたり、読後はすこし重苦しいです。それでも着物、着物と思うのは、着物には人を魅了する力があるんだなと思います。

    1番頭に残った話は「その六 姉妹」
    戦時中、着物道楽の姉と、姉とは正反対に真面目な妹。
    着物に親のお金もつぎ込む姉の箪笥の中身が見てみたい、着てみたいと思います。(でもこの姉の身勝手さはいけすかなかったり)
    いろいろ苦労した妹より自分勝手な姉の方がいい結婚をした時は悔しかったです。

  • 着物好きには絶対オススメ!!!

  • 資料番号:010341774
    請求記号: F ハヤシ

  • まさに着物にまつわる人々の短編集。

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著者プロフィール

1954年山梨県生まれ。日本大学芸術学部を卒業後、コピーライターとして活躍する。1982年、エッセイ集『ルンルンを買っておうちに帰ろう』を刊行し、ベストセラーとなる。86年『最終便に間に合えば』『京都まで』で「直木賞」を受賞。95年『白蓮れんれん』で「柴田錬三郎賞」、98年『みんなの秘密』で「吉川英治文学賞」、13年『アスクレピオスの愛人』で「島清恋愛文学賞」を受賞する。18年『西郷どん!』がNHK大河ドラマ原作となり、同年「紫綬褒章」を受章する。その他著書に、『葡萄が目にしみる』『不機嫌な果実』『美女入門』『下流の宴』『野心のすすめ』『愉楽にて』『小説8050』『李王家の縁談』『奇跡』等がある。

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