小説8050 (新潮文庫)

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  • 新潮社 (2024年4月24日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (512ページ) / ISBN・EAN: 9784101191256

作品紹介・あらすじ

このままでは、我が子を手にかけ、自分も死ぬしかない。歯科医の大澤正樹とその妻、節子は悩んでいた。長男の翔太は中学で不登校に、以後七年間引きこもり続けている。一方、一流企業に勤める姉の由依は、弟のせいで結婚できないと両親に訴える。ついに息子と向き合う決心をした正樹が知った恐ろしい真実とは――。引きこもり、家庭内暴力、不登校、いじめ……現代日本を抉【えぐ】る社会派エンタメ長編

感想・レビュー・書評

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  • 没入して読める、終始感情を揺さぶられる小説でした。
    語り手が父親の正樹なので、つい正樹の立場で見てしまい妻の節子の言動を煩わしく思ってしまうけど、節子の抱えてきた苦悩もわかるし、正樹の自分本位な物言いもひどい。そして何より翔太のように成人して暴れて会話にもならない状態は恐怖だしあんまりでした。とにかく読みながらずっとイライラしました。
    厳しい状況が続く展開だったけど、最後の法廷シーンはグッときて泣きました。
    引きこもりの原因は、傷ついている翔太を親が責めて心の壁ができてしまったことだと思うけど、8年間も経ってしまったことを逆に「見放さなかった」ととらえて壁を壊すことにつながったなら、その8年も多少救われるかも。
    とてもいい話だったし、林真理子さんの小説の中でもずいぶん違う印象を受けました。


  • 林真理子の本を久しぶりに読んだが、新潮社内で「チーム8050」を作って執筆しただけあって、取材もしっかりしてあり、一気読み。林真理子の本の中でもよく書けている本ではないだろうか。
    序盤は読むのが苦しかったが、希望の持てる最後でよかった。
    裁判は私刑(リンチ)ではないとの弁護士の言葉はなるほどと思うのだが、私的には父親同様、被告の困る様子が見たかった。が、これもリアリティーがあるということかもしれない。

  • 8050問題が何かを知らずに読み始める。
    子どもを持つ親としてはホントに人ごとじゃない。

  • 中学受験をし進学校に入学したもののイジメがきっかけで引きこもりになってしまった息子。かれこれ7年間も引きこもっている。将来を悲観した親が息子のために奮闘する話だ。大事な可愛い息子がこんな状態になってしまうなんて、親なら色んな後悔や葛藤があるだろう。そしてこんな目にあわせた奴らを決して許すことは出来ないであろう。どんなに優秀な他人の子供より我が子がいちばん愛おしいのだから。
    内容は衝撃的だが、親なら何とかしてあげたい気持ちはすごくわかる。
    悪因悪果。イジメた奴らに言ってやりたい。

  • 物語の主人公、父 正樹は『正欲』の寺井啓喜に似たものを感じた。職業柄、自分の正義や主観を世間一般の常識や通俗として正論という形で発出する。正しそうなことを言っているように言うのが上手い。いや、時代の価値観の違いや読み手である自分の穿った見方もあるのかもしれない。少なくとも、未婚である自分は、父という立場からこの小説を受け取ることは出来ない。三浦友和ではないから。結婚して子供も生まれてからなら、内容の捉え方も変わってくるのだろう。強権的な父、断定的な父の面影を追いかけ、感情移入とは違った意味合いで刺さった。何故こんなに自分が正しいと信じて疑わないのか。身内になら何をしても何を言ってもいいのか。妻なら怒鳴ってもいいし怒りをぶつけてもいいのか。一体息子の為にやってんのか体裁のためか父としての尊厳を保つためなのか。どこか終盤、この父に対しての「意趣返し」を期待している自分がいた。

    いじめの被害者に対しての浄化装置としての小説ともいえるのかもしれない。自分にはそう思えなかった。確かに、いじめられていたという事象を「いじられているだけ」と認識してプライドを保つ。わかる。だが果たして自分自身は「いじられ」の範疇で認識していた「いじめ」に気づけていたのか?

    ところで、「8050」って小学校で馴染み深かった「8020運動」のことかと最初思ってたけど、正樹の職業が歯医者なのはそれと掛けてる?

  • 母ちゃんにも父ちゃんにも姉ちゃんにもほんまにイライラさせられるけど、これがまたリアリティがあって一気読みだった
    イジメって絶対に無くならないけど、した事の責任は絶対に取らせて欲しい

  • 中学でのいじめをきっかけに7年間引きこもりとなった青年とその家族の話。
    途中までよくある再生していく話かと思っていたら全く違った。
    いじめの描写は読むのが辛かったけど、裁判を起こすと父子で立ち上がったあたりから夢中になって一気に読み進めた。関係が再生してよかった。最終的に家族はバラバラになってしまったけれど、これが大橋家の形なのかなぁ。
    私自身、子どもが急に学校に行かない!と言い出したらどうするかな‥と考えさせられた。でも真正面から向き合っていくしかないんだろうな。

  • 面白かった。
    他人事じゃない。ここまでじゃないけど自分もいじめられてたし、引きこもり気味だったから。あと、家族に他害する人がいる辛さと、解決できない絶望感分かる。昔、警察署に相談に行った時、消極的な警察署の人が結婚指輪を付けているのを見て何とも言えない気持ちになった。

    林真理子、初めて読んだけど他の本も読んでみたい。この本は違うけど、タワマン文学とか上流階級ものとかそういうの好きだから興味ある。

  • いじめが原因で中学生の息子がひきこもりになった。
    やがては暴力を振るうようになり、ここにきて父親の意識が変わる。

    働くこともなく、ひきこもりのまま成人して親の年金で生きていく。
    そのまま親が80代、子供は50代になる。
    8050の問題を恐れる気持ちはあるが、この話の核はいじめであって8050問題とは違う。

  • どうにもならない状況を打開していくのに、裁判という手段を使うのか、と一気に惹き込まれて読み進めました。
    当事者の繊細な思いや気持ちを追っていけるのは、ノンフィクションには難しい、小説ならではの良さだと思います。この小説を書いてくださった林真理子さんの作品、他にも読んでいきたいです。

  • 8050問題というよりはその可能性と向き合い方。読者としては、第三者目線なのでもっとこうすればいいのに、そういうところだろうなと問題を可視化してしまうが、果たしてそこに自分がいた場合どうだろうか。父親、母親、息子、姉、加害者、どの立場にいたとしても回避出来ず、同じような思考で行動したのではと、少しぞっとした。面白いという感想は違うかもしれないが、小説として展開が良く、読んで良かった一冊になった。

  • 読む手が止まらなかった。あっという間の500ページ。とはいっても二日間だが。分かりやすい文章で畳みかけてくれる。考えさせられる。いじめ、引きこもり、結婚、就職、様々な問題がこの小説には含まれている。いわば社会の縮図であり、決して他人事ではない。

  • 読んでる最中、息継ぎを忘れて、苦しかった

    クライマックスで嗚咽した
    読了後衝撃でしばらく放心していた

    これは。子供を育てているすべての親が読んだ方がいい気がする、読んでほしい、心から

    傲慢な人間も、気が弱く優しい人間も、いじめをしたことがある、いじめられたことがある、どちら側の人間も
    自分のやってきたこと全てを肯定できる人間、全てが正しかったと言える人間なんていないのだから

    父親、母親、ともに完全には共感できない、厳しすぎるし甘やかしすぎだし、その対応間違えているだろうと思う箇所がいくつもあった
    だが、揉め事、事件事故の当事者になったとき、冷静でいられる人なんているのだろうか
    ましてやそれが家族だった場合

    辛すぎて、胸が抉られて、ページを捲る手が止まらず、しかしこの希望のあるエンディング
    物凄い傑作だと思った
    あの、息子が、ここまで変われるとは

    「8050問題」を引き起こさない家庭に変わりたい、と決心して動いたのは父親であり、紛れもない引きこもっていた本人だ。
    学校も社会も、楽しいことばかりではなく、苦しいこと、辛いこと、心が折られること、信じられないような嫌な人間に出くわすこと、がある
    それでも生きる糧になるのは、自分の場合、母親だった。ずっと味方でいてくれて、愛をくれた、見捨てないでいてくれた母親だった
    この物語の母親の自己陶酔、自己中心的な言動や行動には辟易としたが。
    娘(姉)も結果自分を守ることのできる、自分で行動を起こせる、強い女性で良かった。

    いじめっ子、加害者側が完全な悪として描かれる時、
    物語では罰せられるのに
    日本の現実社会では逃がされる、罪が軽い、その無念さをいつも思う

    集中できる時間帯に読んでよかった

  • 久しぶりの林真理子
    一気読み
    学長を辞めて面白い本をたくさん書いて欲しい!!!

  • 前々から読みたいと思っていた本。
    先日、図書館に行った際に目に入ったので借りてみました。

    本書は、いわゆる「8050問題」(引きこもったまま50歳前後になった我が子を、80歳前後の親が支える構造をもつ家族問題)をテーマにした小説ですが、読んでいてひとごととは思えず、物語に引き込まれ、一気に読んでしまいました。

    我が家には引きこもりはいませんし、この本のような問題がすぐにでも起こるような状況にあるわけではありません。
    が、これから先、ちょっとした出来事をきっかけに、本書のようなことが起こる可能性はあるわけで、その対策のためにも、日々を丁寧に、そしてコミュニケーションをこまめに取りながら生きていくことの大切さを考えさせられました。

    林真理子の小説を読んだのは、実はこれが初めてですが、他にも面白そうなものがあれば、少しずつ読んでみようかな、と思っています。

  • 5080問題かつ途中から7年前の学校であったいじめ実行犯を訴えるという2つのテーマで展開される。
    引きこもりになるかどうかはくじみたいなもの、と言われるように家庭環境や学校など原因は様々にあれど、どうしたらきちんとした大人になれるか、と言った教育論は人それぞれ次第のため、親がどんなに苦心してもその心は伝わらない。同様に子どもの多感な時期の心は大人になってしまった両親には伝わらない。それでもいつかやってくる5080を前に親として何ができるか。今回は引きこもる原因となったいじめ犯と学校に、7年前あったいじめを認めさせる裁判を起こす

  • 林真理子さんの本は初めてかな?
    重いテーマだけど、展開が気になって一気読み。

    登場人物みんなが必ずしも「いい人」でなく、それぞれが自分の守りたいものに必死で、それもなかなか変わらないところがある意味小説的でなくリアル。

    8050問題とまとめてみても、背景や解決はそれぞれで福祉の課題って本当に難しいなと改めて考えさせられました。

  • 現代の社会問題という事もあり、
    気になって読みました。
    林真理子先生の念入りな取材に脱帽しました。
    あまりにもリアルで、途中はやり場のない気持ちで読み進めるのが苦しかった。
    家族の擬かしさや焦りもわかる。
    最後に希望があってよかった。

  • 一気に読ませます。ただし、タイトルとは違い、これは小説5020です。面白いんですが、なんとなく世間で話題になっていることをつぎはぎして作ったような感じが透けて見えて、感動とか心揺さぶられる、とかには至りませんでした。

  • 休みの朝に読み始め、気づいたら夜になっていた。
    どこかで自分で決めて、向き合うことに一歩踏み出さなければならない。時に休んだり、逃げたりすることも必要。でも、自分のために自分のことを自分で決めること。それが自分を大切にすること。
    一歩踏み出した主人公たちはすごいなぁ。

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著者プロフィール

1954年山梨県生まれ。日本大学芸術学部を卒業後、コピーライターとして活躍する。1982年、エッセイ集『ルンルンを買っておうちに帰ろう』を刊行し、ベストセラーとなる。86年『最終便に間に合えば』『京都まで』で「直木賞」を受賞。95年『白蓮れんれん』で「柴田錬三郎賞」、98年『みんなの秘密』で「吉川英治文学賞」、13年『アスクレピオスの愛人』で「島清恋愛文学賞」を受賞する。18年『西郷どん!』がNHK大河ドラマ原作となり、同年「紫綬褒章」を受章する。その他著書に、『葡萄が目にしみる』『不機嫌な果実』『美女入門』『下流の宴』『野心のすすめ』『愉楽にて』『小説8050』『李王家の縁談』『奇跡』等がある。

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