五年の梅 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 246
レビュー : 45
  • Amazon.co.jp ・本 (305ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101192215

作品紹介・あらすじ

友を助けるため、主君へ諌言をした近習の村上助之丞。蟄居を命ぜられ、ただ時の過ぎる日々を生きていたが、ある日、友の妹で妻にとも思っていた弥生が、頼れる者もない不幸な境遇にあると耳にし-「五年の梅」。表題作の他、病の夫を抱えた小間物屋の内儀、結婚を二度もしくじった末に小禄の下士に嫁いだ女など、人生に追われる市井の人々の転機を鮮やかに描く。生きる力が湧く全五篇。

感想・レビュー・書評

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  • 山本周五郎賞受賞作。
    この5短編の作者名を伏せて、次の3人(①山本周五郎②藤沢周平③乙川優三郎)から作者を選べ。
    こんな問題があったら、全て正解できるだろうか、そんな妄想が浮かんだ(笑)
    市井の人々、とりわけ社会の片隅に生きる人々への優しいまなざしを持った3人の作家。
    山本周五郎、藤沢周平亡き後、その跡を継ぐ作家として、今後とも乙川優三郎氏に期待したい。

  • 乙川優三郎 「 五年の梅 」 男と女の生き直しをテーマとした短編集。花の映像を転換点として、人生のやり直し、生き直しがなされる。山本周五郎 のような 感動の終わり方

    後瀬の花
    「卯の花〜か細い枝に綺麗な花〜おれたちもあんなふうに
    生きればよかった」

    五年の梅
    「ひどい回り道をしたが、今からでは駄目だろうか〜この梅も 花のあとから葉がつく」

  • ★2002年度山本周五郎賞

    配置場所:2F文庫書架
    請求記号:913.6||O 86
    資料ID:C0025368

  • 相変わらずの乙川節です。
    特に目立った作品は無いのですが、一方で破綻もありません。というより、全てが及第点を楽々超えて行きます。
    どちらかと言うと、大きなストーリーの流れより、小ぢんまりとしたストーリを丁寧に描くのが美味い作家さんのようです。そういった意味で、この人の短編は読み応えがあります。

  • 時代小説マストリードから。短編集だし、そんなに本も厚くないから、軽い内容かと思って読んだけど、良い意味で期待は裏切られました。世知辛い現代だけに、純真を描くためには時代小説の形態がより好ましいんですね。現代が舞台だと、ともすればあざとく感じられかねない内容も、時代背景も相俟って、心に響く感動物語に仕上がっています。もちろん背景設定だけじゃなく、その筆致とか心象描写の妙とか、それがあってこその素晴らしさなんですが。5つの短編から成る本で、全てが好きってのもなかなか無いことで。男女の葛藤が根底に流れるテーマだけど、恋愛ものがあまり好きでない自分ですら、大いに満足させられる内容でした。

  • 少し重いかなと思ったけど、後半の話は少し救われた気がした。「小田原鰹」はちょっと読んでて不快になる内容だった。あまりに身勝手な男に腹が立ったのでこのままの内容だったらパスかなとあきらめたんだけど、「五年の梅」は良かった。

  • 2016年、24冊目です。
    表題作「五年の梅」は、心に染みる作品だった。
    山本周五郎賞受賞作品です。表題作を含め5編の短編が収められています。
    描かれているのは、江戸時代の世を生きる様々な人々です。
    彼の作品の主人公たちの生き方には、決して華やかさなどありません。
    むしろ不器用に、もっと言えば無様に生きているのです。そんな男や女の中に、
    消え残るかのように灯る人としての矜持を見る気がする。最後まで人を見捨てない
    暖かさのような気もします。器用に生きられないからこそ、そういった人間だからこそ、大事に守っておかなくてはいけない心情があるのだという気にさせられます。
    それを失わなければ、人として生かされている意味があるということだろか?
    それにしても、主人公へというか市井で生きる人に対する愛情を感じる作品集です。
    「小田原鰹」という作品は、最後までなんで小田原鰹なのか分かりませんが、
    主人公”おつね”が理不尽な夫婦生活の中で決して荒ぶことなく生きる心情には、
    感情移入してしまいます。また小品「蟹」も、主人公の女性が、生き直す希望を
    見出す様が素敵な作品でした。

  • 後瀬の花、行き道がいまいちスッキリとせず、あまり期待していなかったが後半の小田原鰹、蟹、五年の梅は面白かった。人生の転機というよりは漸く掴んだ幸せ、平穏といった感じで後味はよい。ただ、終わり方については、どれもこれからというところで終わるので
    (それがいいという人もいるのだろうが)、もう少し書いて欲しいなぁと思ってしまった。

  • 人情時代小説傑作選「世話焼き長屋」より、「小田原鰹」が気に入ったので。「小田原鰹」以降3編がよかった。

  • 時代小説作家として、既に確固たる地位を築いている乙川氏ですが、初めて読みました。

    市井の人々の暮らしを丁寧に描いた佳作です。
    どの登場人物も胸に屈託を抱えていながら、辛くならない展開で、皆さんそれぞれの幸せをつかむという結末なので、読後感がよかったです。
    淡々としすぎていて、他の作品まで読みたいかというと、もう少しドラマがほしいかなー。でもこの作家さんの良さはそういうことじゃないと思うので、そこは好みによるところでしょう。

    山本周五郎受賞作だそうで。
    この賞を取る作品は個人的に好感度大です。

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著者プロフィール

1953年東京都生れ。96年「藪燕」でオール讀物新人賞を受賞氏デビュー。97年「霧の橋」で時代小説大賞、2001年「五年の梅」で山本周五郎賞、02年「生きる」で直木三十五賞、04年「武家用心集」で中山義秀文学賞、13年初の現代小説「脊梁山脈」で大佛次郎賞を受賞。16年「太陽は気を失う」で芸術選奨文部科学大臣賞を、17年「ロゴスの市」で島清恋愛文学賞を受賞。著書に「トワイライト・シャッフル」「R.S.ヴィラセニョール」など。

「2018年 『ある日 失わずにすむもの』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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