脊梁山脈 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 61
レビュー : 13
  • Amazon.co.jp ・本 (487ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101192277

作品紹介・あらすじ

上海留学中に応召し、日本へ復員する列車の中で、矢田部は偶然出会った小椋に窮地を救われる。復員後、その恩人を探す途次、男が木地師であることを知った矢田部は、信州や東北の深山に分け入る。彼らは俗世間から離れ、独自の文化を築いていた。山間を旅するうち、矢田部は二人の女性に心を惹かれ、戦争で失われた生の実感を取り戻していく……。絶賛を浴びた著者初の現代長編。

感想・レビュー・書評

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  • 2018.4.1(日)¥280(-2割引き)+税。
    2018.4.21(土)。

  • 主人公は上海から復員してきた矢田部信幸。
    故郷に向かう、ごった返す車中で体調を崩す。
    偶然乗り合わせた同じ復員兵 小椋康造に
    窮地を救われるも何のお礼もできないまま
    東京で別れることに。
    帰郷後、その恩人を訪ねる旅を出かける事を
    思い立ち、信州へと向かう。
    その旅では小椋との再会を果たせぬものの、
    彼が木地師(ろくろを使って、お椀などの
    木地を作った職人)として第二の人生を送って
    いることを知る。
    この関心が信州・東北の深山幽谷へと誘い、
    「木地師」の歴史の深奥に触れる。
    知的好奇心を大いに揺さぶられ、
    研究に没入していく矢田部。
    そして、ひとつの仮説が立ち昇る。
    「千数百年前から存在する木地師の歴史は、
    日本人のルーツ・古代律令国家の成立にも
    深く関わっているのではないか」。
    木地師の誕生は朝鮮半島からの渡来人
    なくしては語れず、その足跡は海上ルート
    ではなく、列島を貫く「山脈ルート」を通じ
    良木を求めて自由に交流し、文化の面においても
    大いに付与していたに違いないと。
    その研究は机上を超え、私財を投じ無名の
    芸術家「木地師」たち匠の作品を収めた図録
    制作へと向かわせる…。

    読み手によっては、この小説があまりにも
    多面的であるため、持て余すかもしれない。
    古代史好きとしては、否が応にも「木地師を
    巡る冒険探偵小説」的な展開に身を乗り出し、
    夢中でページを繰った。
    ひとつの木椀が結ぶ古代と現代をスリリングで
    壮大な着想に牽引されながら読み終えた。

  • 小説というにはくどいし、研究書というには半端。作者の後書きが無かったのが残念だなあ。何が言いたかったんだろ。
    主人公は独りよがりのボンボンだし、目的がコロコロ代わる。最後にムリヤリ軌道修正したけど付けたし感は否めない。女は都合の良い人ばかり。
    日本人のルーツは東南アジア系で、朝鮮由来ではないというのは既に遺伝子から分かってるんじゃなかったか?百済などと現代朝鮮は民族が違うというのも聞いたことがあるから、古代の話を引き合いにして日鮮同祖とか言われても、そこが気になってしょうがなかった。古代日本が百済やペルシャの渡来人を政権中枢に置いていたというのは事実らしいけどもね。

  • 2017年、32冊目です。

  • 20160901 読むのが辛かった。乙川さんの本は時代物しか読んでなかったので新鮮だった。戦後の雰囲気かよく描かれていると思う。

  • 108

  • 終戦後に復員した主人公が、その列車の中で出会った小椋に助けられ、その後その恩人を探す旅に出ます。その旅の中で木地師という存在を知り、またその魅力にとりつかれ、彼らの道のりを知ることを目的に生きることになります。木地師が日本の歴史を裏からどのように関わってきたのか、その重要さが、縁の下の力持ちという形で好感を持てました。またそれに付随して、日本書紀などの文献から本当の日本の歴史を想像するスケールに、知的好奇心を刺激されます。
    木地師と日本の歴史に深く埋没していく物語に、良い意味でそこから引き戻してくれる女性達の存在があり、その都度都度の物語を一歩引き戻して見つめなおせる仕掛けもあり、楽しんで読ませていただきました。

  • まずタイトルに惹きつけられた。

    木地師の歴史をたどる旅とその過程で巡り合う二人の女性との交流が全体の流れ。
    古代史まで遡る木地師の歴史は興味深い。が、それを受け入れ、または否定したりするだけの知識が私にないのが残念。

    舞台設定は終戦から15年間になっているが、やはり東日本大震災に読み替えるべきなんでしょう。

  • うーん、途中まですごい面白かったけど、なんか、矢田部さんが恵まれ過ぎてて、ちょっと白けてしまった。

  • 敗戦直後の日本列島を舞台に、新生を模索する日本人のあり様を描き出す。
    主人公の矢田部信幸は復員時20代にもかかわらず、戦争の影を背負っているためか、老成している。彼は、古代日本の源流へと遡行するように木地師の足跡を追いかける。それは思わぬ仕方で、天皇制ファシズム国家としての日本を相対化していく。
    信幸が出会う二人の女性は、それぞれに人生への強い衝動を抱えつつも、過去と境遇の重荷を背負わされている。そういった両義性が、物語全体を牽引していく。
    かつて1950年代に「国民文学論争」が文学者の間で展開されたことがある。論争の中で中国文学者の竹内好は、日本の民衆の哀歓をまるごと掬い上げるような作品を待望した。
    あれから60年以上の時をへた震災後の日本社会に、ようやく「国民文学」の名にふさわしい作品が誕生したことを、まずは言祝ぎたい。

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