- Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101194233
感想・レビュー・書評
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代々お鳥見役を務める矢島家は現当主の妻、しっかり者の珠世が中心となって回っている。
「千客万来」
仇と狙われている源太夫は5人の子供を引き連れて、昔ほんの少々の縁があった矢島久右衛門を頼ってやってきてしばらく逗留することになる。男を仇と狙う沢井多津もひょんなことから同じ久右衛門の家に宿を借りることになる。すぐにお互い仇と狙い狙われるものだと察するが。なんとも不思議な縁と言える。
「柘榴の絵馬」
子供を失った母親の悲しみ行くばかりか。
5人の子を持つ源太夫を多津が撃てばその子らは父親を失った多津と同じ悲しみを背負うはず。
仇討ちなどおやめなされ。
「恋猫奔る」
人が恋する季節はいつなのか。
矢島家に次々と起こる恋の季節は複雑に絡み合っていた。
「雨小僧」
七度探して人を疑へとは子供の頃に教えられたが、人を見たら泥棒と思えと比べてどちらが役に立つのだろう。
「幽霊坂の女」
女心を弄んではいけません。
そして女の怨念を甘く見てはいけません。
松原市之助はその姿形の良さのためかえって女性の恨みをかうことに。
男たるもの、女性にモテるなどと思い上がってはいけませんね。
「忍び寄る影」
お鳥見役の仕事のうちに他藩を探る探索があり、かなり危険な役目で矢島家の先先代も役目のうちに命を落とし、息子も同じ探索の役目を賜りなんとか生きて戻り隠居をしているがその息子の現当主にも同じ役目が回ってきてしまった。
「大鷹狩」
P300
「子供たちだけがあっけらかんとした顔で飯をかきぉみ〜」
この内容で「あっけらかん」は誤用ではないか。
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将軍の鷹狩に用いる鷹や鷹場の管理をするお鳥見役。その役に代々ついている矢島家の内儀珠世。
ある日父を訪ねてきた浪人を居候させる事になったが、彼には五人もの子供がいた。しかも彼を親の仇と狙う女剣士が現れ、彼女も居候させる事に。
その上夫が仕事で出掛けた沼津で行方不明になる。
珠世が浪人一家に振り回されながらも持ち前の朗らかさで受け入れていく。
いつも優しく明るく逞しい珠世と家族の物語。
大きな事件がおきるでもないので少し物足りなさがあるかな。 -
諸田玲子さんの作品はこの本がはじめて。
面白かった。
人として、子を持つ母として、珠世さんは私の理想そのものだ。
きっとこれから何度も読み返すことになる本。 -
諸田玲子さんの、さらっとした語り口に惹かれての購入。
源太夫の登場する場面には生理的な不快感を覚えたけれど、これも著者の力量の発露か。
後半100頁程が特によかった。 -
「したいようにさせてやるのが、子の務めだと思うけどな」
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ずっと気になってたシリーズ。面白かった!
一家の母、珠世さんが素敵。どんな時も、物ごとの良い面を見る。見習いたいな。
まだまだ気になることがたくさんあるので、続きが楽しみ。 -
シリーズ第一弾。
将軍の鷹狩りの下準備をする、“お鳥見役”を担う矢島家に子だくさん浪人と、彼を仇とする少女が転がり込んできた事から起こる悲喜こもごもが描かれています。
矢島家当主の女房・珠世さんがポジティブで心が広くて、本当に素敵な人なのです。(私だったら源太夫にイラっとしちゃうと思う・・。)
色々心配な事があっても、明るい矢島家が今後どうなるかを見守りたいと思います。 -
シリーズものと知らず3作目http://booklog.jp/item/1/4101194262 を先に読んでしまったため若干ネタバレあり、ですが楽しく読めました。
時代小説は用語が分からなかったり価値観が違ったりするので構えながら読みがちでしたが、この作品は楽に楽しく読めます。
家族っていいなぁ。。。 -
えー、ここで終わり!?
絶対に次も読まなきゃ!と思わせる作品。
最初はどの登場人物もアクがなくてキャラが掴めず、次はないな…と思っていたのだけれど、だんだん贔屓のキャラができてきて、はまってしまいました。
よくもまあそんなに居候を抱え込んで…と思う節もあるけれど、そこは時代小説なので気にしないようにしないとね。
サクサク読めて楽しかった。
短編が積み重なっての長編というスタイル。 -
雑司ヶ谷散策の際に、友人から教えてもらったこのシリーズ。
面白い、人がよい、適度な謎。
次も読みたくなる。