王朝まやかし草紙 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (537ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101194301

作品紹介・あらすじ

時は平安。都では、東宮と契った女は物怪にとりつかれるという噂が流れていた。東三条家、温子姫の女房・弥生は、母・近江の死に関する妙な噂を耳にする。真相を探るため、旧知の人々を訪ねる弥生。母の遺した和歌が二つの噂に関係しているらしいと突き止めるが、周囲で次々と怪死事件が発生し…。愛憎と欲望渦巻く宮中を舞台に描く、時代ミステリー。

感想・レビュー・書評

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  • 馴染みのない名前が、数多出てくるので、何度も、頁を戻したり、巻頭にある宮中人物関係図を、参照したりで、なかなか、進まず。

    それもそのはず、重要人物は、全て、作者のフィクションであるとの事。

    物語の、要になる、歌は後撰和歌集の中の「詠人知らず」の歌を用いる所等、流石、諸田玲子さん。

    類稀な美貌で、歌の才に秀で、宮中の公達と、次々と浮名を流したが、やがて、帝の寵を得、御子を孕ったところが、 火事に見舞われ、焼死したと言う、母親の、死の真相を調べる弥生。

    父親が、無実の罪を着せられ、公卿の子息から一転して、流浪の民となり、殿上人に恨みを抱いている、音羽丸。

    故事、慣例に通じて、「陶化坊の白楽天」と呼ばれている楽天爺さん。

    この三人が、物怪や、迷信や、貴族の愛憎や、恋愛等、微妙にこんがらがっている事件を見事に、解決していく。

    最終章は、ようやく、ホッと肩の力が抜けました。

    宮中の雅な描写。それに対する、市井の人の困窮。
    皇位継承問題。継母の虐め等を絡めて、読み応えのある本でした。


  • 500ページにもなる大作、いっきに読んだ。色々な感情が渦巻いてしばらく余韻で放心。最近ライトなものを読んでいるせいか、難しく感じてしまいました。平安ものはどうしても名前が似ていたり聞き慣れない物事が多くて、混乱するのですが、通りの名前やらとにかく描写が細かい。巻頭には系図と平安京図があるのでコピーして見ながら読むとわかりやすい。今回も間に昔話をもってくると言う構成と、視点がいくつも細かく切り替わるので最初の頃は頭が??だらけなり混乱しました。平安朝ものというと陰陽師がらみや、史実の時代をおり混ぜたものが多いですが、全てフィクションなのが新鮮でした。もう道長時代はお腹いっぱい。市井の悲哀や禍々しい話のなかで重苦しくなるのですが、主要2人、のち3人のやりとりに救われます。何気に中盤まで活躍する中将が良いキャラでした。この話は文庫化にあたり巻末を加筆と解説にありますが、私は入れない方がよかったなとなんとなく思う。

  • その人は美しく歌の名手で帝を始め数多の貴公子に愛されたという…一切記憶にない母の面影を追い求めて粟津の里から都へ乗り込んだ弥生。
    折も折、都では東宮にまつわる物の怪騒ぎがそこかしこで囁かれ、不穏な空気が漂っていた。
    王朝物という私の好物であることに加え、いくつもの謎が混在してあっという間にひきこまれた。登場人物たちもみな個性がしっかりしていて、市井の生き生きとした日常と内裏の陰湿な人間関係まで行ったり来たりで飽きさせない。
    途中から頭が混乱してくるが、それも読み返す楽しみが残って良かった。

  • 舞台は平安時代。宮中の権力闘争と愛憎劇を題材にしたミステリー。
    意外な展開もあって面白かったけど、真相がはっきりしないところもあった。特に気になったのが、
    ①山吹の首に琵琶の弦が巻き付いていたのは何故か。
    ②琵琶の中に柘榴石が入っていたのは何故か。
    あの人の関与をほのめかしながらも、あえてはっきり書かなかったのかな~とは思うが、ちょっと消化不良な感じがする。

  • 挿入される小話がなるほどとなって、面白い。
    登場人物が実在しないと知り、驚き。リアリティーあるのに。

  • 平安ミステリ。なので歌の謎賭けやら宮中でのあれこれやらちょっとなじみないものが多めです。が、すらすら読めてぐいぐい引き込まれました。ミステリ部分も歴史部分も面白かったです。

  • 王朝ミステリー。
    探偵役のヒロインが外出しますが、当時そんなに簡単には
    出かけられなかったのではと思ってしまいます。
    ま、いいけれども。

  •  厚い本だけどサラリと読める。
    王朝ものが好きなので手に取ったけど、他ではあまり描かれない市井が描かれていて、それが面白い。
    「人」って思われていたのは一握りだったんだなあ。。。
    道端に捨てるってけっこうすごい。山に囲まれてるけど、そこまで捨てに行くということにはならないんだ。

     事件はわりと早いうちに犯人がわかってしまう。
    登場人物が少ないから、すぐに当たりがついちゃうっていうか。。。
    なので、ラストはかなりアッサリ終わった感じ。
    ハッピーエンドでよかったけど。

  •  かつて帝に寵愛された母の秘密
     たぐいまれな美貌の東宮の光と闇
     忌まわしい過去の事件と香と琵琶
     ばらばらに見えるすべては、一つの糸に

  • どこかに笑いを含んでいるかのような文章。

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著者プロフィール

諸田玲子
静岡県生まれ。上智大学文学部英文科卒。一九九六年『眩惑』でデビュー。二〇〇三年『其の一日』で吉川英治文学新人賞、〇七年『奸婦にあらず』で新田次郎文学賞、一八年『今ひとたびの、和泉式部』で親鸞賞を受賞。著書に『お鳥見女房』『あくじゃれ瓢六』『きりきり舞い』シリーズのほか、『四十八人目の忠臣』『波止場浪漫』『帰蝶』『女だてら』『尼子姫十勇士』『しのぶ恋』など多数。

「2023年 『其の一日 増補新版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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