- Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101198019
感想・レビュー・書評
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小学校の教科書だったろうか、「雪」が載っていた。
どこまで理解を深められるかは別にして、新美南吉の「ごんぎつね」や太宰治の「走れメロス」等、大人になる程に、幼い頃から名作に触れていたのだと気付かされる。
そして改めて書籍を手にする日がやってくる。
さて、この詩集は「いしのうへ」をゆっくり読み深めたい思いで購入したのだが、やはり素晴らしかった。この美しい世界観にいつでも浸れる。
詩集には理解の及ばないものも含まれていたが、それでいいと思っている。
「昼の月」「遠き山見ゆ」等、幾つも胸を突く作品があったし、読み手の生活環境や年齢によって、急にその詩の全貌が見えたりするからだ。
一度読んでイマイチだからと手放したりせず、月日を重ねてまたふと詩集を開いてみることをお勧めしたい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
フォロワーさんからのお勧めで手に取りました。読解力のなさから、読んでぱっと理解が及ばない作品が多かったですが、詩のリズムや語呂が心地よく、音読したら楽しそうだなと思いました。敬愛していた萩原朔太郎を詠じた詩や友人だった梶井基次郎を失った時に書いた作品などは読んでいてぐっと胸に迫るものがありました。一番好きなのは「閑雅な午前」。とても美しい詩。
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この素晴らしい抒情詩人を私は知らなかった。「乳母車」「涙」「丸木橋」等、師萩原朔太郎に優るとも劣らない。
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2008-02-00
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三好達治 詩集。最初の詩集「測量船」は難しい〜描かれた風景が思い浮かばない詩や心情がわからない詩があった。鴉(カラス)など 鳥がよく出るが、神を意味しているのだろうか。
「艸(くさ)千里」以後は 孤独の心情と風景が わかりやすい。まさしく抒情詩。リフレインが 孤独の深さを感じる。「砂の砦」「百たびののち」など 戦後復興期の詩は 感動する。逆境の方が 詩は 心に響く
測量船〜哀しい心情を伴う それぞれの風景
「春の岬」船旅の終わり
「雪」雪遊びに疲れた子供たち
「乳母車」母への想い
「甃(いし)のうへ」花びら、足音から孤独を連想
「湖水」湖で人が死んだ様子
「池に向へる朝餉」「冬の日」一人の哀しさ
「鴉(からす)」命令に従わざるえない。鴉は神を暗喩か?
「庭」庭で動物が撃たれて死んだ様子
「僕は」笛は詩人の自分か?
艸(くさ)千里〜リズムの良さ、死生観
「涙」父と子の別れ、つながり
「紅花一輪」神との出会い
「あられふりける」あられは人生を意味するのか?
「汝の薪を運べ」人生の厳しい局面に備えよ
「おんたまを故山に迎ふ」戦争で亡くなった兵士
一点鐘〜太平洋戦争中「一点鐘二点鐘」河盛好蔵の解説がわかりやすい
朝菜集「師よ萩原朔太郎」朔太郎への弔辞
花筐〜朔太郎の妹と再婚「遠き山見ゆ」「わが名をよびて」過去をふりかえる
砂の砦〜終戦「氷の季節」敗戦に耐え、戦争を反省
百たびののち「落葉つきて」「砂の錨」
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終始、静かです。
モノクロのサイレントムービーのよう。
「村」「鹿」二つの詩で、鹿の姿が描かれていた。
騒がず鳴きもしない、潤む瞳に澄んだ世界を映し出す・・・三好の詩に合っているのかも。
人間に捕えられ、きつく縄を縛られた鹿の生命力とまなざしに作者の思いが重なってみえた。
『私の詩は 三日の間もてばいい 昨日と今日と明日と ただその片身であればいい』 -
綺麗な詩が多い
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いかんせん、文語調で理解の及ばないところもありますが、
それでも、非常にリズムがよい詩が多いですね。
個々の詩をしっかり租借していくと、非常に噛み応えがあります。 -
寂寥をここまで美しくつづる人が居てくれることに安堵する。
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リズム感、語呂の良さ、フレーズ使いのセンス…心というか、体と自分のコアの部分にググッとキます。
晩年の方が好みかもですが、最初あたりの整った文体と色彩がバッと目に浮かぶような作品も好きです。