- Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101199252
作品紹介・あらすじ
お江戸深川にゃんにゃん横丁。長屋が並ぶこの場所は、その名のとおり近所の猫の通り道。白に黒いの、よもぎにまだら。愛らしい猫たちがあくびをしているその横で、雇われ大家の徳兵衛は、今日もかわらず大忙し。悲しい別れや戸惑いの出会い。報われない想いや子を見守る親の眼差し-。どんなことが起ころうと、猫がニャンと鳴けば大丈夫。下町長屋の人情溢れる連作時代小説集。
感想・レビュー・書評
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初宇江佐作品。気になっていた作家だったが、調べて見ると7年前に亡くなっていた。残念。
人情物だが、タイトル通りネコが絡んだ6編の話し。
深川にネコが多い通りがあり、にゃんにゃん横丁と呼ばれるとのこと。そこの喜兵衛店と呼ばれる長屋が中心。世話好きのお婆さんである「おふね」と隠居していた「徳兵衛」が無理矢理大家にされ、この二人の幼馴染の自身番の書役である「富蔵」が居て、この三人の掛け合いがいい味を出している。
ネコ好きが多く、どんどん増えて行くネコの世話も住人達が行っており、ネコに絡んで話しが進んで行く。言葉を話すネコ達や飼い主の気持ちが分かるネコなど。ネコ好きなら、この本の面白さを分かると思う。最後は悲しい話しで終わってしまったのが辛い。
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小説新潮2007年2月号ちゃん、7月号恩返し、10月号菩薩、2008年1月号雀,蛤になる、4月号香箱を作る、8月号そんな仕儀、の6つの連作短編を2008年9月新潮社刊。2011年3月新潮文庫化。猫の仕草に「香箱を作る」というのあるなんて全く知りませんでした。宇江佐さんにしては、軽めで平凡な展開が続きますが、ラストの「そんな仕儀」は心に残るぐっとくるお話でした。
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お江戸深川。
長屋が並ぶこの場所は、にゃんにゃん横丁と呼ばれる近所の野良猫たちの通り道。
白いの黒いの、よもぎにまだらと愛らしい野良猫たちがあくびをしている
下町長屋の一角で繰り広げられる人情味溢れる連作物語。
おふよ姐さんのたんかにゃ胸がすきますねぇ....
どこかものさみしくて切ない話の中にも、江戸っ子の気さくな人情に
野良猫たちの愛らしさがほどよく絡み合うとほわりと心が温まります。 -
深川の裏店で繰り広げられるエピソードに、さりげなく猫が寄り添うように登場しているところが、江戸の情緒あふれる時代背景にマッチしていて、ほっこりした。
連作短編集で、それぞれに、大家さんをはじめとする深川の人達の、人情あふれるあたたかさがあふれでていて、こんな時代もいいなぁって思うお話でした。 -
長屋が並ぶ深川のにゃんにゃん横丁は、その名のとおり近所の猫の通り道。悲しい出来事も辛い出来事も、猫がニャンと鳴けば、明日は明日の風が吹く。下町長屋の人情溢れる連作時代小説集。
親父の情愛や男女の惚れた腫れたは、江戸の頃も現代も変わらない。でも決定的に違うのは、隣近所の人々との近さ加減かもしれない。子供の躾は地域の全員で…という気持ちが、現代では失われている。 -
舞台は同じにゃんにゃん横丁の幼馴染の3人を中心に描かれているが、章ごとに話がまとまっている。
それぞれの話のなかで猫と共生するまちの温かさが伝わってくる。
義理や人情、この現代で失いかけている日本人特有の考え方や村の中での生き方が描かれている。
猫、が主人公でなく、話のキーになるわけでもないが、話に色を与えている。
象徴のようだ。
わたしもにゃんにゃんに囲まれて人を大事にする生き方、義理の立て方を見守られたいものだ -
おふよさん、好きー!
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2020.9.5読了
お江戸深川のにゃんにゃん横丁はその名の通り猫の通り道。
そこにある長屋で巻き起こる数々の事件。
悲しい別れも小さな幸せもニャンがいれば大丈夫。人情溢れる時代小説。 -
深川の人情と、そこに暮らす猫たちの関わりが、生き生きと子どもっぽくなく語られる。
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哀しいお話でも、何処かに救いがあるのが宇江佐さんの作風の一つの特徴。
日々が穏やかに過ごせます。
あと何冊未読の宇江佐さん著作物があるのか、一抹の不安が。