- Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101201238
作品紹介・あらすじ
もはや、少年少女が出会うような、初々しい恋じゃない。変わらない恋心なんてない、そんなのとっくに知っている。だけど…。大人になっても「こんなの初めて」ってあったんだ。すれ違いや別れをくり返してきた彼らだけが知る、「最初で最後」のかけがえのない瞬間たち。8人の作家が描き出す、経験してきたすべての恋を肯定したくなる珠玉のアンソロジー。最後の恋、それはつまり、自分史上最高の恋。
感想・レビュー・書評
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(LAST LOVE より)
最後の恋。
これで最後。
それは、ラスト、という意味じゃなくて、ベスト、という意味なんだ。
今、好きなひと。
今、好きになったひと。
そのひとのことが、今まででいちばん好き。
そういう意味なんだ。
私は今、年甲斐もなく恋をしている。
いや、いくつになっても恋は恋だと思うから何ら恥じる事はないのだけれど。
今まで幾度となく恋はしてきた。
この人とずっと一緒にいたいと思ってきた。
始まりは夢中になったものだ。
だけど、これが最後の恋になればいい、だとか、最後の恋にしたい、とは思ってこなかったような気がする。
どこかで、本当にこの人でいいのかな?この人なのかな?という思いがあったような気がする。
そんな私は何度も離婚を経験して今に至っている。
そしてそんな私が今、最後の恋にしたいと強く思っている。
こんな風に思える相手と出会えて、恋をして、二人の未来を考えたりなんかして。
そりゃあ毎日が幸せいっぱい夢いっぱいなんて事はないけれど。
今まで恋をした相手とは終わってきたわけだから、〇か✕で言えば✕の、失敗だったわけだから、最後の恋ではなかった事になる。
このまま人生が終わるか、このまま今の人と一緒にいられれば、これが最後の恋になる。
先の事は誰にもわからない。
未来を心配しても今答えが出るわけではない。
だから今を積み重ねていくしかない。
そんな思いを抱えながら、この本を手に取りました。 -
8人の作家が紡ぐそれぞれの物語は異なる味わいで享受できますが、胸キュンのツボに入ったのは乃南アサさんの「キープ」。
ローテンション人生だった主人公の奇跡。アラスカの氷が一気に南国アイランドにたどり着いて、ココナッツを結実しそうな勢いの恋心が手に取るように伝わります。そして、角田光代さんの「おかえりなさい」は夫婦の別れを描いていますが、日が西に傾く頃の一瞬の美しさを目に焼き付けようとしたくなる心情に。
ラストラブって初恋と違った切なさ、ノスタルジーを感じさせてくれますが、1つ分かったのは恋心が終わったという定義だけではないということ。最後が永遠という意味に限りなく近いということも分かりました。 -
恋は落ちるもの…月並みなセリフを思い浮かべながら読んだ。
10年以上積読してた本書は、女性作家8人のアンソロジー。
命を賭け身を削るような恋愛の話しは少なく、予想よりライトな物語がほとんど。
印象に残った【ヒトリシズカ】と【わたしは鏡】は切なく、【LAST LOVE】は強さを感じた。
【海辺食堂の姉妹】は寓話でしょうか?(笑)
落ちてしまった恋が熟成し、いつしか愛情へかわって人生を送れているか⁈ 確かめたり、振り返ってみたい時にオススメ(^^) -
現時点で、人生に影響を与えた本トップ3に入るくらいのお気に入りの一冊です。
高校生のときにキュンキュンしたーい!と安易に手に取り、当時は思っていたのとは違う淡々としたテンポに戸惑いました。
が、この本の本当の良さは歳を重ね読み返すうちに分かってきた気がします。
大学生になったとき、社会人になったとき、人生の節に読み返す度、自分の考えや価値観、捉え方が変わっていることに気づかせてくれました。
この本の良さは、総合力だと個人的に思っています。物凄く感情移入できるものもあれば、正直共感しにくい話もある。けれど、それもその作者の思う最後の恋なんだな、と。
恋ひとつとっても、人によってこんなに捉え方が違うという面白さを教えてくれた、その人の最高はその人にしか分からない、決められない、そんなことを教えてくれた、大切な本です。
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題名通り色々な恋のお話です。
松尾由美
乃南アサさんのお話が個人的に好きでした。
最後に悲しいお話は読みたいときだけでいいかなと思うので
好きな作家さんを探すために読むのがいいかなぁと思います。 -
最初の「春太の毎日」(三浦しをん)、これには参った(^^ゞ
まさに、恋するバカ!(爆)
とにかくバカでかわいくて、いじらしい。
ていうか、なんでこの話を最初にしたんだろう?
春太の「ふは、ふは」したテンションにのせられちゃって、続く話が全然つまらないw
…というくらい、この本の中で頭一つ抜けている話。
「海辺食堂の姉妹」(阿川佐和子)は、いい意味で“つくりもの”な話を書くなーと感心した。
あくまで“つくりもの”の話としたからこそ、いいんだと思う。これは。
イマイチなんだか巧いんだか、よくわからない文章を書く人だなーと思う反面、表現や描写はすごい!
ただ、この話って、「恋」の話?w
「わたしは鏡」(松尾由美)は、この中で、たぶん一番「恋」な話。
それも、まさに「最後の恋」(やや、お題に沿って話を書きました臭が漂うけどw)。
「春太の毎日」はともかく、この本に入っている話って、「恋」というよりは「恋愛(それも、生活に疲れた恋愛w)」な気がするんだよね。
「恋」っていうのは、「恋愛」に突入するまでのわずかな期間を言うんだと思うんだけど、この話はその刹那をうまく捉えているように思う。
とか言って、どこまでが「恋」で、どこからが「恋愛」かは永遠の謎(^^ゞ
上の3つみたいな話ばかりだったら、★を4つくらいでもいいと思うんだけど、「恋」の話って。作家、それも女性作家は向かないのかなぁーw
全般に、「恋」というものを斜に見ているっていうか?
「恋」に変にしゃっちょこばってて、屁理屈や主義主張を唱えてたり、あげくの果てには「恋」を損得勘定してみたり。
とにかく、全般に素直じゃない(爆)
「恋(愛)は盲目」なんて言葉があるように、「恋」したヤツの頭の中なんて、浮かれバカか、悲観バカでしかないわけだ(^^;
そもそも、「恋」なんてもんに正解も不正解もない。実ろうが実らなかろうが、それは人生の糧なのだ。
なら、照れてないで、バカになりきって書けばいいじゃん!って話だw
(もっとも。今というのは、照れて「恋」描くからこそ、今の女性の共感を得て。だからこそ、本という「商品」になるのかなーとも思ったw)
昔、「藍色夏恋」という映画を見た時、DVDのジャケットの後ろに、“日本人はどうしてこういうプラトニックな世界を失ってしまったんだろう”という松本隆の言葉があって、なんだか、一瞬、「あー」となにも言えなくなってしまったことがあったんだけど。
なんだろ? 小説、特に最近の小説って、ウケ(巧い作り話。あるいは、共感や思いやり)を狙いすぎてない?
それが、作家のせいなのか、それとも、出版社のせいなのかは知らないけどさ。
TVの「漫勉」を見ていて思ったけど、漫画家(少女漫画家)たちの方が、よっぽど「恋」を潔よく正面から物語っているように思える。
著者プロフィール
阿川佐和子の作品






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