最後の恋―つまり、自分史上最高の恋。 (新潮文庫)

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本棚登録 : 2612
レビュー : 310
  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101201238

作品紹介・あらすじ

もはや、少年少女が出会うような、初々しい恋じゃない。変わらない恋心なんてない、そんなのとっくに知っている。だけど…。大人になっても「こんなの初めて」ってあったんだ。すれ違いや別れをくり返してきた彼らだけが知る、「最初で最後」のかけがえのない瞬間たち。8人の作家が描き出す、経験してきたすべての恋を肯定したくなる珠玉のアンソロジー。最後の恋、それはつまり、自分史上最高の恋。

感想・レビュー・書評

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  • 8人の作家が紡ぐそれぞれの物語は異なる味わいで享受できますが、胸キュンのツボに入ったのは乃南アサさんの「キープ」。
    ローテンション人生だった主人公の奇跡。アラスカの氷が一気に南国アイランドにたどり着いて、ココナッツを結実しそうな勢いの恋心が手に取るように伝わります。そして、角田光代さんの「おかえりなさい」は夫婦の別れを描いていますが、日が西に傾く頃の一瞬の美しさを目に焼き付けようとしたくなる心情に。
    ラストラブって初恋と違った切なさ、ノスタルジーを感じさせてくれますが、1つ分かったのは恋心が終わったという定義だけではないということ。最後が永遠という意味に限りなく近いということも分かりました。

  • 手に取ったのはMEN'Sを読んだので女性編も、という安直な理由。
    個人的には女性作家の恋愛小説は苦手な部類に入るものが多いのだが
    このアンソロジーは期待以上に当たりが多かった。

    春太の毎日(三浦しをん)
    『きみはポラリス』にも収録されてるから読んでるはずなのに全く記憶にない(爆)。
    春太が何者なのか途中で気がついたという。
    読み終わってからSEX MACHINEGUNSの『犬の生活』が脳内リピ(笑)。
    改めて歌詞を読むとまるっきり内容がリンクしている。

    ヒトリシズカ(谷村志穂)
    よく考えてみたらこの方の小説は読んだことがなかった。
    文体の印象は『結婚しないかもしれない症候群』の頃と変わらないかな。
    この話のからくりも途中から薄々わかってきた感じ。
    女性作家の書く恋愛小説としては王道な気がする。

    海辺食堂の姉妹(阿川佐和子)
    当たりのうちのひとつ。
    昔ばなしか民話かっていう感じの語り口なのにも拘らず
    登場する姉妹のキャラと役割がイマドキだというギャップが面白かった。

    スケジュール(沢村凛)
    初めて読んだ作家さん。
    この中ではいちばんテーマに沿った話だと思う。
    淡々と話が進む中で、主人公が見せる『最後の』恋へのこだわりと
    人生のスケジュールを遵守することに対する執念がなんとなく怖かった。

    LAST LOVE(柴田よしき)
    終盤に差し掛かるところまでは、いちばん苦手なタイプの話だと思ってたのだが
    残り3ページほどの婚約者と猫のくだりで、印象が当たりへとひっくり返った。
    『このひとでいい。このひとが、いい。』という1文が印象的。

    わたしは鏡(松尾由美)
    この方も初めて読む作家さん。
    ミステリ寄りと見せかけて、謎解きがちゃんと恋愛小説に機能しているのがすごい。
    個人的な感想だが、この話の読後感がいちばん切なかった。

    キープ(乃南アサ)
    『スケジュール』や『LAST LOVE』と雰囲気が似ている。
    違うのはどんでん返し感が薄いところ。

    おかえりなさい(角田光代)
    離婚届を出す寸前というリアルさと、老婆との遣り取りの実感のなさ。
    ふたつが絡み合って醸し出される空気感がとても不思議な話だった。

  • 「春太の毎日」は春太がかわいかった!麻子に向けるまなざしの優しくてあたたかいことといったら・・・!最後の春太の独白(?)が切なかったけど、とても優しい気持ちになれるお話でした。

    「ヒトリシズカ」は悲しかったです。悲しい中に切なさと狂気とが混じっている感じがしました。こんな最後の恋は辛すぎる・・・。

    「海辺食堂の姉妹」、おもしろかったです。妹が倒れたことによって、明かされる妹の性質。面白い姉妹です。姉さんよかったね!

    「スケジュール」はナウシカの件とアイデンティティの件がおもしろいなと思いました。そして、まさかのラスト。自分の中のルールは都合よく臨機応変に変えるもんですよね(笑)

    「LAST LOVE」はタイトル通りこの作品集のテーマと一番直結してました。最後に高橋が猫を持ってやってきたところから、とてもきゅんきゅんしてました!

    何気に一番この作品集のなかで好きだったのは「わたしは鏡」でした。
    作中作の「わたしは鏡」とリンクしている「わたし」の最後の恋。最後のいずみの告白はどきどきしたし、とても潔くて切なかったです。「田村いずみではない別の誰か」が幸せな人生を歩めますように。
    謎解き風のお話の進み方もおもしろかったです。

    「おかえりなさい」は独白っぽい感じで少し不気味なお話を聞いている感じでした。ぎらぎらした夏、ゆらゆらした大学生の夏休みという気だるい感じと、暗く冷えた老婆の部屋がすごくリアルに想像できました。不思議な夏のエピソードのようで、宗教などが出てきてなんだか現実的なお話でした。

    さまざまな「最後の恋」のとらえ方があって、このシリーズおもしろいです。

  • 恋愛小説はあまり読まないのですが、特に女性作家の。
    この本もずいぶん前に購入して本棚に入っていたのを見つけて、(;'∀')

    -作品紹介-
    もはや、少年少女が出会うような、初々しい恋じゃない。変わらない恋心なんてない、そんなのとっくに知っている。だけど…。大人になっても「こんなの初めて」ってあったんだ。すれ違いや別れをくり返してきた彼らだけが知る、「最初で最後」のかけがえのない瞬間たち。8人の作家が描き出す、経験してきたすべての恋を肯定したくなる珠玉のアンソロジー。最後の恋、それはつまり、自分史上最高の恋。

    8人の作家さんそれぞれの色みたいなものがあって、なかなか面白かったです。
    柴田よしきさんの「LAST LOVE」のような最後の恋ができる女性が幸せになれるのかもしれないと思う。
    または、沢村凛さんの「スケジュール」のような最後の恋を手に入れるくらいの執念があるとか?(^^;

    私が一番気に入った作品は、松尾由美さんの「わたしは鏡」です。ちょっとミステリーもあってよかった。長編も読んでみたいなと思います。

  • 松尾由美さん「わたしは鏡」が良かった。

    ・春太の毎日/三浦しをん
    犬の春太が語り手。
    好きな相手を残して死んでしまうと悟っており、それでも飼い主の幸せを祈る春太の想いが切々と伝わってきて良かった。

    ・ヒトリシズカ/谷村志穂
    山が好きで、山で命を落とした恋人のことが忘れられない女性の切ない行動が描かれている。
    愛する人の死をわかっている半面、妄想の中で生きる恋人にすがらずにいられない。

    ・渡辺食堂の姉妹/阿川佐和子
    陽気で接客を担当する姉と、暗くて調理担当の妹。
    父母から引き継いで以降、姉妹二人で経営してきた海辺の食堂。
    姉は妹の身を案じ、親代わりに嫁がせよう、みたいな気持ちも入ってか、妹を受け入れてくれる男性を探していた。
    しかし両親の死に気を落とした妹が寝込んだ事で、妹の意外な一面が明らかになる。
    実は妹は自ら男性と関り、何人も恋人のような存在がいた。奥手だったのは姉の方だった。
    実はちょっぴり妹を見下していたことにも気づかされる。
    立場がくるんと逆転するところが鮮やか。

    ・スケジュール/沢村凜
    何子ごとも計画通りに進められることが唯一の取り柄である主人公・天音。
    25歳までに結婚しようと思い、相手も見つけ、交際してきたが、一瞬で落ちる恋だけはそうもいかなかった。

    ・LAST LOVE/柴田よしき
    「最後の恋をしたいから君と別れる」という言葉を残して主人公を振った男。
    主人公は「最後から二番目、ブービー賞の恋だったのか」という想いに支配される。
    吹っ切れないまま条件だけで見合いをし、結婚を決めるが、実はその相手こそが運命の人だったことに気づく。

    ・わたしは鏡/松尾由美
    文芸サークルで同人誌の編集長になってしまった主人公の女子大生・比呂。
    そこへ、署名のない謎の原稿が現れる。美容室のちっぽけなサブ鏡を主役にした小説が書かれていたが、比呂は恋の暗示であると予想する。
    そこで、誰から誰への思いなのかを探り始める。
    「女性」として最後の「女性への恋」。

    ・キープ/乃南アサ
    十五歳の頃の失恋を引きずったまま大人になり、一度は結婚したがすぐに破たんし、仕事に生きる女性が主人公。
    落ち着いたバーでキープしたボトルを楽しむのが息抜き。
    出世して上司や部下との板挟みになるキャリア女性の感情が良く描かれていました。

    ・おかえりなさい/角田光代
    主人公の男性は、貧乏していた学生時代、宗教のパンフレットを配るというバイトをしていた。
    そこである老女と出逢う。老女は主人公のことを亡くなった伴侶だと思い込み、ごちそうを出してくれる。パンフレットも貰ってくれるので最初はいいカモの扱いだったが、だんだん情が移っていく。

  • 題名通り色々な恋のお話です。
    松尾由美
    乃南アサさんのお話が個人的に好きでした。
    最後に悲しいお話は読みたいときだけでいいかなと思うので
    好きな作家さんを探すために読むのがいいかなぁと思います。

  • 短編集は好きではないのだが、女性作家の本はあまり読まない方で、気になっている方々の文章をちょこっと読むには適しているなと思い手に取る。

    タイトルをみるとド直球の恋愛物かと思うが、そこはさすが一癖も二癖もある著名人、読書感は不思議な感じすらする。

    名前は知らなかったが松尾由美氏の「わたしは鏡」が面白かったな。
    そして角田光代氏の文章の存在感!

  • *もはや、少年少女が出会うような、初々しい恋じゃない。変わらない恋心なんてない、そんなのとっくに知っている。だけど…。大人になっても「こんなの初めて」ってあったんだ。すれ違いや別れをくり返してきた彼らだけが知る、「最初で最後」のかけがえのない瞬間たち。8人の作家が描き出す、経験してきたすべての恋を肯定したくなる珠玉のアンソロジー。最後の恋、それはつまり、自分史上最高の恋*

    お気に入りは、三浦しおん「春太の毎日」と角田光代「おかえりなさい」。犬や老婆の恋が主役と言う異色作ですが、純粋で、真っすぐで、透き通った想いに溢れた素晴らしい作品。その身が現世になくても残る、恋を越えた、あたたかな何か…そんな余韻を堪能できます。

  • 女性作家8名による『最後の恋』をテーマにしたオムニバス短編。
    少々期待しすぎたのか、最初にテーマ在りきで、それに沿って執筆したのだろうが、妙にわざとらしく感じ、また奇をてらった結末が多かったりする感が否めず、★3つ。

    最後の角田光代さんの「おかえりなさい」は、ミステリアスな導入から、意外な結末となり、しめくくりとしてはハズしていない。

  • 三浦しをんさんの「春太の毎日」は既読でしたが、それ以外は全部初めて読みました。
    阿川さんの小説は初めて読んだけど、面白かった。
    こういう出会いがあるからアンソロジーはいいなと思える。
    あとは「ヒトリシズカ」と「LAST LOVE」が好き。
    LAST LOVEの「いとしのエリー」を聞きながらメールを打ったというくだりで笑え、最後のネコのオチでほろりときました。

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著者プロフィール

阿川佐和子

1953年、東京生まれ。慶應義塾大学文学部西洋史学科卒。エッセイスト、作家。99年、檀ふみとの往復エッセイ『ああ言えばこう食う』で第15回講談社エッセイ賞、2000年、『ウメ子』で第15回坪田譲治文学賞、08年、『婚約のあとで』で島清恋愛文学賞を受賞。12年、『聞く力――心をひらく35のヒント』が年間ベストセラー第1位、ミリオンセラーとなった。14年、第62回菊池寛賞を受賞。

「2019年 『いい女、ふだんブッ散らかしており』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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